・ モデナの 伝統バルサミコ酢 ・ 醸造元見学 

先月モデナに出かけた時、イタリアの伝統食品を代表する一つである
モデナの伝統バルサミコ酢の醸造元を見学しました。

いつも我が家で使っている大量生産のスーパーで買う品とは違い、
風味といい、味といい、お値段といい、ははは、
さすがに違う物だと大いに認識を新たにしましたので、
今日はモデナの伝統バルサミコ酢というのは、
どういう過程を経て作られるのかをご覧頂きますね。

写真は、訪れた醸造元のボンパーナ・Bompanaの品
左がモデナ伝統バルサミコ酢のDOP 12年以上の醸造
右がエクストラ・ヴェッキオといわれる 25年以上の品
       
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ちょっと横道にそれますが、これはイタリアの大幹線道路、太陽の高速道路・
アウトストラーダ・デル・ソーレと呼ばれる、ミラノ~ローマを結ぶ高速A1線。

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片側4車線で、これでミラノからフィレンツェまで行った事がありますが、
ただしボローニャからフィレンツェに抜けるアペニン山脈越えのときは、
片側2車線になります!

この日高速の上を往復し、先回のパヴァロッティの家博物館と、
モデナ伝統バルサミコ酢見学と回りましたので、
どちらも田畑の広がる農村地帯にあった、という事を言いたくて、ははは。
この高速の高架橋はパヴァロッティの家博物館からは東に少しの位置にありました。

アッペンニン越え ・ ボローニャ ~ フィレンツェ
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461812720.html


この日のモデナの見学は、見学先が狭いのでと、朝バスの中で右側席30名、
左側30名と半分ずつに分けられ回ったのでしたが、
       
ここバルサミコ酢醸造元ではそれでも多い位で、中の様子が分かりやすいよう、
サイトからの写真も拝借しまして。

ここは2階にある醸造庫の様子で、既に階段を上がる時から、
ぷ~んとあのバルサミコ酢独特の匂いが満ち満ちており、

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こんな感じの部屋で、ここボンパーナの跡継ぎである女性2人が説明を。

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モデナの伝統バルサミコ酢・Aceto Balsamico Tradizionale di Modena・
アチェト・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・モデナは、
モデナとレッジョ・エミーリアのみで製造される、というか、
ここでしか出来ないワインから作る酢なのですね。

ローマ期からの歴史があり、折々の記述から珍重された様子が窺えますが、
とりわけルネッサンス期に、フェッラーラからこの一帯に領土を持つエステ家で
事あるごとに重用され、王侯貴族間に評判となった、という歴史を持ちます。

なぜモデナとレッジョ・エミーリアの一帯のみなのかですが、この一帯の特殊な
気候的要素による物と見られ、冬の寒さ厳しく、夏は暑く風通しがよい、という
古い建物の屋根裏に寝かされ、
夏は40度にもなる気温の中で、酵素が勢いよく働き蒸発し、
冬は不純物が樽の底に鎮まり溜まる、という繰り返しで熟成を重ねるのだと。

かっては各農家のそれぞれの伝統、不出の口伝えの醸造法により作られ、
量も少なく、それゆえ高価で、報酬とか税の品払いにも使われた程だそう。

それが1977年にDOCの表示を得て、市況に出回る夜明けとなり、
1983年にモデナの伝統バルサミコ酢・ABTMの名を得て、
2000年にはヨーロッパ議会での承認も得たという事になります。

説明の後、12年醸造、40年醸造、そして中間品の味見をさせて貰いましたぁ。



上と同じ部屋の反対側の眺めですが、奥の小部屋にも醸造樽が見えます。

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これは説明を聞きつつ撮った、shinkaiの後ろに並んでいた樽で、

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1971年と記された札が下がる棚で、

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並ぶ樽に付けられた標識には、樽番号、醸造が始まった年1971年、
樽の材質Rovere・樫、35L 満杯具合83%と。

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反対側の列には1987~1990年からの醸造樽が並び、

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窓は開け放たれているのですが、それでも匂いが充満!

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お気づきになりましたか、樽の上に白い布がかかっていますね。 この下の樽に
長方形の穴が開けられ空気が通り、中の液体が蒸発出来るようになっているのですね。



こちらは奥の部屋で、右横には一番小さな樽が並んでいるのも見えます。

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バルサミコ酢、のバルサモ・Balsamoとは芳香の事で、鎮痛剤とか、シャンプーの
リンスの事もバルサムと呼ばれますが、

ではどの様に醸造され熟成されるかですが、こちらイタリアで酢というとワイン酢で、
白と赤があり、それとの違いは芳香材を加え熟成させたものが、バルサミコ酢とでも。

使われる葡萄の種類は、モデナとレッジョ・エミーリアの地域内で
栽培されたトゥレッビアーニ・trebbiani、ランブルスキ・lambruschi、
アンチェロッタ・ancelotta、サウヴィニョン・sauvignonなど。

まず搾った葡萄の汁・モストを熱します。
この段階もモデナとレッジョ・エミーリアでの基準が違うそうで、モデナの方で言うと、
75度から90度Cの温度で14時間以上、28~30%の濃縮度にし、酵母菌を加えます。

たくさんたくさん科学的な説明があるのですが、こういうのはまるでダメなshinkaiで、
結論のみ要約して、へへ、書いておりますが、
この段階は、後に続く一連の樽を移し変えての熟成期間と別でして、
    


樽の図をどうぞ。 これはボンパーナで貰って戻った説明書にあったもので、
大体似た図が各醸造元の説明で、一連の樽はバッテリーア・batteriaと呼ばれ、
7つ並ぶ醸造元もありますが、ここのは5連で、要はなぜか必ず奇数なのだそう!

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右から順に、葡萄汁・モストが熱せられ酵母が加えられたものが、
一番大きな樫の樽60Lに移され、次に50Lの栗の木の樽に、
40Lの桜の木の樽、30Lのトネリコの木の樽、20Lの桑の木の樽、と
次々と移され熟成を重ね、最後に瓶詰めにされます。

樽に使われる木は現在では75%が樫で、木が変わると加わる芳香も違うそうで、
それが各醸造元が求める味の違いとなるのでしょうね。


     
これは熟成期間中の様々な検査なのでしょうか、
樽の上の穴からの様子を見る写真もサイトで見つかりました。

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寝かせている間に蒸発する分に付いては、次の小樽に移す際に、新しい酵素を
加えたモストを注ぐのだそうで、こういう方法はスペインやポルトガルのシェリーや
マデイラ酒、イタリアのマルサーラ酒とも同じやり方なのだそうですが、

こうすると熟成何年というのがあやふやになるという問題もあり、熟成12年のDOP
というのは、あくまでも本体の液が熟成を始めた年から計算するという事の様子。

とにもかくにもDOP・原産地名称保護を名乗れるには12年の熟成期間が要るわけで、
これはもう高価な品になるわけですね。

ここボンパーナで聞いた説明では、彼らの曽祖父から始め今4代目、
バルサミコ酢の醸造と共にレストランを開き、そこで使える品をと始めたのが、
レストランの仕事は大変で今はバルサミコ酢の製造のみなのだと。



樽の列にあったパンフレット、パリオ・デッラ・ギルランディーナ・
Palio della Ghirlandina.

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ギルランディーナというのはモデナのドゥオーモの鐘楼の名ですが、聖堂のある
グランデ広場で毎年開かれる、伝統バルサミコ酒の競技。
味見をしてその年の出来の良いバルサミコ酢にパリオが、優勝旗が渡される競技が
ある事も知り、2016年の今年が第11回目、4月末から5月にかけて開催されると。


伝統バルサミコ酢に付いての説明が済んだ後、プラスティックのスプーンが
各自に渡され、3種の味見を次々に。
12年もの、確か40年もの、そしてもう一種、名前を覚えていませんが、へへ、
使いやすい品、として味見をさせてくれた物だったと・・。
確かに12年物は美味しく、やはりスーパーでの品とは違うと思ったのでしたが、
40年物はもう一段と円やかで、なるほどなぁと!



その後大きな倉庫風の建物に案内され、そこにもこんな様々な大きさの樽が
寝かされておりましたが、

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中央のテーブルに試食用の食べ物が用意されており、

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それぞれに違うタイプの伝統バルサミコ酢をかけて頂き、なにせねっとりとしていて、
なかなか瓶から出てくれませんで、ははは、shinkaiのお皿はこんな感じに。

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左上の白いのがパンナコッタ、その右がパルミッジャーノ・レッジャーノ、
下の四角いのはパンで、左下は卵焼き。

3種の各食べ物に違う種のバルサミコ酢をかけて下さったのですが、
どれがどうなのか、とは聞かないでやって下さいませませ、ははは。
右のワインは、この一帯の美味しいランブルスコ・ワインで、

これでお腹もかなりくちくなり、ワインでほこほこに! 美味しかったぁ!!



この後醸造元としては一番の目的である、ははは、販売部門に
皆を案内してくれたのですが、

例えば上の段に見える、このインク瓶位の大きさのこの品、
1971年からの熟成品という事ですが、50mmlで19,5エウロ!!

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この左の1L瓶、お勧め品なのでしょうが、170エウロ!!

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チョコレートの真ん中にバルサミコ酢がちょっぴりウィスキーの様に入っているもの、
店で味見させてもらいましたが、美味しかったです、
確かに美味しかったですがぁぁぁ、一箱15エウロ!

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グループの皆さん、あれこれ買い込まれていましたが、う~ん、shinkaiは
正直言って、ちょっと買う気になれませんでした。
確かに年期をこめて作られた美味しい品であるというのは、味見をさせて頂いて
よ~く分りましたが、それで十分です、という感じで、
自分の家で自分が料理する皿には相応しい品では無いなぁと、はい。

日頃スーパーで見かける大量製品のバルサミコ酢は、熟成されていないワイン酢に、
着色料やカラメル、香料を加えた物だそうですが、
う~ん、それでも結構野菜料理には美味しく頂いているもんね、ははは。

というような竜頭蛇尾式見学記でしたが、きゃはは、サイトで検索すると、
様々なバルサミコ酢を使った料理が見つかったので、ちょっとご案内しますね。

これからの季節にピッタリの、アスパラガスに。 付け合わせにも良さそう。

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茄子のグリルに。
       
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カボチャのクリーム・スープに。

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ズッキーニの入ったパスタに。

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これは美味しそう、サーモンに! 海老に!

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そして雄牛肉に、ビフテキに!

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そしてこれはもう定番の、イチゴと、パンナコッタ!!

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バルサミコ酢の美味しさを引き出すには、余り熱を加えない事だそうで、
料理の最後にさっと加えるのがコツだそうです。
うん、家で作る野菜料理にも、今後は仕上げにかける事にしよう!!


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