・ ゴンドラ についてのあれこれを

さて今回は、ヴェネツィアで見るあのすらっと細長い船
ゴンドラ・gondola、複数形でゴンドレ・gondoleについてのあれこれを。

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ヴェネツィアで、とお断りしたのは、最近は世界のあちこちで「ゴンドラ」と
名乗る船がいる様子で、サイトでとんでもなくずんぐりむっくりのを見たり、
ゴンドリエーレ・ゴンドラ漕ぎ、が半パンを履いていたり! の大反則で。

そういうのではなく、ヴェネツィアの運河にいるゴンドラ、最近ゴンドラを
描く事が増え、かなり見知っている筈が、えっ、ここどうなっていたっけ?!と
焦る事もあるので、1度しっかり調べて見たい、と思っていたのでした。

ヴェネツィアの写真が何千枚にもなっていて、その中からゴンドラの写真を
探そうと思うと時間がかかり、ここのはもっと良いのがある筈と思いつつも
なかなか上手く探し出せませんでしたが、へへへ、と言い訳を、
       
いつかヴェネツィアにお出いでになりゴンドラに乗られる際に、
お役に立ちますように、  ん? 立つかなぁ? はは、
既に乗られた方はその時を思い出し、お楽しみ下さいませませ!

ヴェネツィア全体のご案内は
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/460835393.html     



まずはヴェネツィア名所に見るゴンドラの姿で、
溜め息橋

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対岸のサン・ジョルジョ・マッジョーレ島を望み、

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サンタ・マリーア・デッラ・サルーテ聖堂が奥に。

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こちらが休んでいる覆いの架かったゴンドラの姿で、冬などは全部覆われている
事が多いのですが、たくさんの各部の様々な覆いがあるでしょう?
櫂も、あんな風に先っちょが仕舞われるのですね。 

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現在のゴンドラの船体は、最初に見て頂いたように細長く、10,8~11m、
幅が、1,4~1,6m、 船体のみの重さが、350kgあるのだそう。

ですがこれは昔からの姿ではなく、こちらが1500年に描かれたジェンティーレ・
ベッリーニ・Gentile Belliniの絵の中に見るゴンドラの姿。

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現在よりもずっと短く、すんなりとしておらず、1番の違いは現在のように
左右非対称ではない事で、漕ぎ手の位置も平らで低く、櫂受けも現在の様に
曲がっていないと。

そして17~18世紀にゴンドラの使用が大きくなり、船体が長く船体の前後の
傾斜も大きくなり、着いている金属部も大きく、櫂受けも曲がって来たそう。
          
19世紀になると船体の長さも11mとなり、漸くにここで緩やかな船体の非対称が
導入されたのだそうで、これはゴンドラの漕ぎ手からの操作についての必要性
による物で、最終的に現在の形になったのは20世紀の初めなんだそう。

ゴンドラの船体が左右対称でないと言うのは、漕ぎ手が1人で、船首に向って
左側にいますから、それでバランスが取れるように竜骨が曲がっていて、
左舷の方が右よりも約25cmほど長いのだそう。

ゴンドラの黒い色についても、1609年以降、それまでの様々な色や華美な装飾を
廃することが公示され、現在の黒1色になったそうで。
黒はいつもエレガントな色と見なされていた事に因るのですが、
はい、黒は葬儀の色ではなく、当時の喪の色はパヴォナッツォ・pavonazzo
と呼ばれる暗い赤紫色でした。
       


古い写真に見るゴンドラの姿で、これは19世紀のもの。
2人漕ぎで、中ほどにフェルゼ・felzeと呼ぶ客室が見えます。

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この客室があるのは、ヴェネツィア貴族の間では1家に1艘か、または
それ以上のゴンドラを持っていて会合や船での出歩きに使われ、
1般でも1種の交通手段となり始めると、人目を避けたり、また冬などは
厳しい寒さを避ける為にも必要だったよう。



これはドゥカーレ宮の中庭に展示されているドージェの使ったゴンドラで、
一般の物よりもずっと大きく、客室もある、舳先の彫り物が見事なもの!

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ゴンドラの製作は、280もの異なる部分から成り立ち、木材も8種類、
樅、桜、クルミ、楡、オーク、シナ等など、勿論すべて手製で制作に1年以上かかり、
お値段は約2万エウロ! 20年間は使えるそう。 
       
これは確かヴェネツィアで1軒のみ残っていると聞いたサン・トロヴァーゾ・
San Trovasoのゴンドラ製作所・スクエーロ。

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ここはサン・マルコの運河越しの斜め向かいのドガーナ・税関から、
南のジューデッカ運河沿いのザッテレ・Zattereをずっと辿り、
サン・トロヴァーゾ教会の隣にあります。

建物自体も16世紀頃の物のようですが、ゴンドラの船底が平底で、緑色に
塗られているのも見え、大きなマグロがゴロンと寝ている様でもあり・・!



これは舳先の彫り物部分。 如何にも職人仕事である事が分かり、
好きな絵葉書の1枚。

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ゴンドラの舳先のあの鎌みたいな金属ですが、衝突から船を守る為でもあり、
美しさを加味し、そしてヴェネツィアを象徴しているのですね。

よく聞く説明ですが、6本の歯はヴェネツィアの6区を現し、上からサン・マルコ、
サン・ポーロ、サンタ・クローチェ、カステッロ、ドルソドゥーロ、
カンナレッジョ、後ろに伸びるのはジュウデッカ。

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間には挟まる3つは、ヴェネツィア・ラグーナの代表的な3つの島で、
上からムラーノ、ブラーノ、トルチェッロを。

あの大きな一番上はドージェ・ヴェネツィア総督の冠を現し、
その下の半円部分の上のラインはリアルト橋を、中はサン・マルコ前の海、湾と。

いずれにしてもこの重さは10kあり、使っている金属によりそれ以上にもなるそう。
金属の質を書いてあるのが見つかりませんでしたが、やはり鉄でしょうね。

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艫にもやはり金属の飾りがあるのですが、ここの形は様々で、やはり船体を
衝突から守る為とはいえ、はぁ、こんな風に力尽きているのも、結構見ますです。

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ゴンドラ内部の装飾となると、これはもう注文主の美的センス、金銭状態を示し
様々でして、豪華なのから少し質素なのまで!
あれこれ写したのをご覧下さいね。

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こちらは新婚カップル用のゴンドラで、ゴンドリエーレの衣装も違うのですよ。

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これはサイトで見つけた、新婚カップル専用ゴンドラ・レンタル会社ので、

はい、ご用命はこちらのサイトに色々ございますので、どうぞ!
http://www.matrimonio.com/proposte-originali/royal-gondola--e131096



ヴェネツィア名所のその2、リアルト橋にやって参りまして、

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こんな風にカップルでゴンドラを楽しむ人もあれば、

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何艘も連なっていくグループもあり。 

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大概こういうのには、アコーディオン奏者と歌手が乗り込み、歌いながら行きますが、
時に「サンタ・ルチーア」などが聞こえたり!  ナポリじゃぁないんだよぉ!
       


大運河を行くグループは、ヴァポレットやモーターボートと一緒で、
すれ違う時などちょっと波が立ったりしますが、
脇にそれて小運河を行くと、今度はゴンドラ同士のすれ違いがあり、

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ほらね、右の真ん中のゴンドリエーレは足を使っているでしょう?
あれは壁に近寄って、ゴンドラがこすれない為で~す。



狭い運河での出会いの衝突を避けるため、勿論ミラーが付いている場所もあり、
ゴンドリエーレが警笛代わりの声を上げます、「オェ、オェ~!」というような。

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ゴンドラは細長く、そして平底で水面下に沈まないので、あの大きさでも操縦が楽
なんだそうですが、それでも熟練と機敏さとバランス感覚が大いに必要だそうで、

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こんな狭い間を、総勢6人も乗せたのを漕いで行くのですものね、
やはり大変ですよね。

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懐かしい写真が見つかりましたので、
1951年、ハンフリー・ボガードと奥さんのローレン・バコール。
彼も素敵だったけど、彼女のあの目はなんとも素晴らしかった!

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前の教皇様、ベネデット16世。

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一緒に乗っているのはゴンドリエーレの衣装ですけど、みんな棒、もとえ櫂を
持ってからに、警備の人じゃないのかなぁ、ははは。



客待ちのゴンドリエーレ。
冬はお客が少ないからと言って、これは半分職務放棄の姿ね。
    
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ゴンドリエーレ・ゴンドラ漕ぎにとって大事な櫂受け。 
材質はクルミの根で、これは彫りの入った大変美しいものですが、
この様々な角を使って角度や速度を決める様子。
       
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前進で普通に漕ぐには、上の右の半円状に当てているのを見ますが、



英語のこんな図も見つかり、大体これで漕ぐ時の櫂の置き場が分りますね。

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そうそう、櫂の長さは4,2mで、長年寝かせたブナ材から掘り出すのだそう。
       
櫂受けは、取り外しが出来るようになっていて、仕事を終え覆いの架かった
ゴンドラには見えません。



この写真、奥に見えるのはゴンドラですが、手前のカップルが乗っているのは
ゴンドラではなくサンダロ・sandaloと言い、舳先が違うでしょう?

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ゴンドラではありませんので、客引きがゴンドラ、ゴンドラ!と言っても、
引っかかりませんように!



と言うようなゴンドラについての様々でしたが、
ヴェネツィアはいつもヴェネツィア、世界唯一の独特の美しさを持つ街。

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おいでませぇ、ヴェネツィアに!!


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