・ n.1 古寺巡礼  スポレートのドゥオーモ ・ Duomo di Spoleto

ここ暫く友人から拝借の写真でのご案内が続きましたが、ご案内する場所の
ネタ切れではありませんで、はい勿論、
溜まりに貯まって、どこから手をつけたら良いものやら・・!

という事で、お盆も近づく事ではありますので、はは、古寺巡礼シリーズとして
何回か、纏めてアップをと思います。

まず大好きなウンブリアの素晴らしいドゥオーモ、スポレートのドゥオーモを。
スポレートは何度かご案内したものの聖堂内部はまだでしたので、
古寺巡礼に相応しい、その典雅な美しさをどうぞ!

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スポレートには07年春と10年秋と2度訪れ、今回見て頂く写真は両方から選び、
10年秋に行った時は鐘楼が修復中ですっぱり覆われていたので、上の前景写真は
07年春の時の物。
       
ドゥオーモは町の中程の東隅、とでもいう位置にあり、石段をだらだらと下って行き
正面にこうして姿が現れる時、その美しさに魅せられます。



こちらも以前の写真で正面アップを。

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現在こうして我々が見る正面は、手前のルネッサンス式テラスの柱廊は別として、 
鐘楼、上のモザイクも含め16207年に完成、と記録に残ります。

つまりこの聖堂は、以前ここに存在した教会の上に建てられた物の様で、
それ以前の古い記録が残っていないのだそう。

手前に見えるすっきりした柱廊は15世紀のもので、それ以前に在ったのは薄板の
屋根のある素朴な柱廊だったそうで、上はテラスになっていて、今もなのかどうか、
町のお祭りの時には、ここに聖母のイコンが掲げられたと。

5連のアーチの外側、両脇に小さい窓様が見えますが、
       


向かって右側のみ10年秋に写しており、こんな形、説教壇だそう。

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という所で、正面壁の美しさをご堪能下さいね。

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こういう三角形の傾斜の正面壁を、納屋式正面壁・facciata a capanna
と呼ぶそうで、イタリア語の素朴な形容にちょっと笑えますが、
小さめの薔薇窓が全部で8つ、これがなんとも愛らしいというか・・、



こちらが上の層で、真ん中のモザイク「祝福するキリスト」には、
13世紀のモザイク師ソルステールノ・Solstèrno 1207年、という署名。
左右に見える小さめのアーチ形にも、モザイクが入る予定だったのでしょうね。

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こちらが下層の大きな薔薇窓とその周囲。 この部分が一番好きですが、
薔薇窓とその周囲に細かくモザイク柄が入ります。

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上の飾り部分、こんな鷲の姿が4か所に。 同じ柱の下側には雄牛。

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中央の大きな薔薇窓。

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アッシジの大きな1つだけの典雅な薔薇窓も大好きですが、このスポレートのは
小さめに繰り返す形で、とても可愛らしい。



取り分け好きなのは薔薇窓を支える姿の2人で、特に右の腰布の赤い翻りが大好き!
こういう形、色を、思いつく中世!
ここ迄アップして見ると、薔薇窓に入っていたモザイクが良く見えますね。

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で、こちらは正面柱廊の下、中央扉の脇にいるライオン君。

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内部は外の眺めと違い、17世紀に大改装されていて、

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この改装をしたのが、マッフェオ・バルベリーニ・Maffeo Barberini、
後の教皇ウルバーノ8世が、スポレートの司教になって後の大改装だったそう。

という様な事を知り、ああ、そういえば町の山上のアルボルノス要塞に
バルベリーニ家の蜂の紋章があった訳だ、と、また一つ知るshinkai。

正面内陣奥に見える壁画はフィリッポ・りッポですが、後ほど。

スポレート ・ アルボルノス要塞 その1と2
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/471736468.html
 
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/471736708.html
    
バルベリーニ家については、cucciolaさんがこちらに。
http://blog.livedoor.jp/cucciola1007/archives/923133.html



床模様をどうぞ。 今まで何度かあちこちで見て頂いたビザンチン式の
流れをくむコズマ式模様も見えます。

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n.1 大聖堂の煌めきを ・ アマルフィ
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/468056410.html 
     
n.2 大聖堂の煌めきを ・ アマルフィ
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/468059230.html



右側中程にある説教壇。

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内陣奥のフィリッポ・リッピ・Filippo Lippiの壁画「聖母マリアの生涯」。

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実は2010年秋に訪問した際、夕方に行くとミサの最中で、照明された聖堂内部に
見える壁画は大変に美しく、出直してしっかり撮ろうと翌朝再度。

所がお掃除の最中で照明なし! 聖堂内部は薄暗く、おまけに内陣はもっと暗く、
shinkaiの人生同様思い違いが重なり、ははは、上手く撮れず、
細部は07年に撮ったものでどうぞ!
   
    
           
受胎告知。
壁画下側は3場面に分かれ、一番左側にこれがあり、
       
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真ん中に、聖母の死。

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右にはキリストの誕生場面があるのですが、撮っておりません。
このスポレートの内陣壁画はリッピの最晩年、最後の作品で、61歳になった画家が
1467年から取り組むものの彼は2年後に亡くなり、その約3カ月後に
協力者達の手で完成した物。

が、こうして作品をご覧になってもお分かりのように、如何にもリッピらしい
繊細優美な作品で、最晩年、しかも亡くなった時の作品と知り驚きました。



そしてこの天井部の豪華絢爛たる「聖母戴冠」。
青の色が素晴らしく深く美しく、中央の金色によく映え。

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こちらは聖堂入り口に近い右側にあるエローリ司教の礼拝堂・
Cappella del vescovo Eroli.

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これはピントゥリッキオ・Pinturicchioの壁画1497年作で、上の天井部
にも絵がありますが、



麗しき聖母をどうぞ。
       
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エローリ司教という方は、法律家からナル二の司教になり、アヴィニョンの
教皇代理もされた方の様で、1500年没。

一方この礼拝堂に描いたピントゥリッキオは、当時のローマ教王アレッサンドロ6世に
招かれ、ヴァティカン内の「ボルジャのアパート」の壁画類、かのルクレツィアの肖像と
見られる女性像もある、を描き、成功裡にウンブリアに戻った時の仕事だそう。

ペルージャ ・ 町の中心を、ほんの少し
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/471449262.html



という聖堂内のご案内でしたが、最後にエピソードをひとつどうぞ。
やはり19年秋でしたが、聖堂のロッジャで会ったシニョーラ。 彼女は鳩用の
パン屑を持って来ていて、こんな風にロッジャの片隅にぱらぱらと置き、
呼ぶと、綺麗な白鳩がやって来て、パン屑をついばむのですね。

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訊ねると、1週間程前に何かの行事があって、聖堂前で鳩たちを離したのだそう。
所が、この鳩君だけは遠くに飛んで行かずに居残り、
シニョーラは可哀そうにと、こうして毎日ご飯を持ってくるのだそう。
       
ね、お互いに心が通じている様子でしょう?!
動物たちとの気持ちの触れ合いを見たり感じたりする時、言葉がない分、
もっと温かい気がしますが・・、しません?!



最後はもう一度、美しい正面をご覧下さいね。 夕暮れ時に少し粘って写した物で、
ミサの最中で、中の明かりが薔薇窓から見え、
       
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扉が開きミサを終えた人々が出て来ますが、この時は若者達の集いもあった様で、
大勢の若者の姿。

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中の明かりが消え、ロッジャの下と、外からの照明のみに。 空も暮れ始め、

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鐘楼の修復の覆いはもう外れたかな? 美しくなった聖堂を見に、
見残しの多いスポレートの町に、もう一度行きたいもの!!


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