・ ジェノヴァの街角 ・ 見下ろす守護神

かって日本の道端にもよく見かけた小さな祠や道祖神、土地の人々の信仰の
対象であり、通りがかりの人を見守り保護する、そんな存在だったと思うのですが、
同じ物がこのイタリアにもたくさんあります。

タベルナーコロ・tabernacolo と言い、教会内に設えられたホスティア・聖体拝受で
頂くお煎餅、を入れた器を仕舞っておく場所をこう呼びますが、
一般には、街角の壁の上に作られた守護聖人を祀った壁龕もタベルナーコロと
呼ぶようですので、ここでもそれに従いますね。

素朴な信仰対象の小さなタベルナーコロはイタリアのどの街にも見かけますが、
ウンブリアの古い小さな町角に見かける物は素朴で愛おしい物が多く、
道端の道祖神的祠にも親密感を感じます。
       
所が今回ジェノヴァの街で見かけた物は素晴らしく立派で大きな物が多くて驚き、
辿ったほんの中心地の道筋で撮っただけで14,5枚も!
という事で今日はこのジェノヴァのタベルナーコロをご覧下さいね。

まずは中心のサン・マッテオ広場の教会横にあった小さめながら立派な作りの物。

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こちらは中心の駐車場に向かうバスの窓からで、立派な建物の、大きな窓の間に。

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ジェノヴァ・Genovaの街の地図、そのほんの中心をどうぞ。
白く見える道が車通行OKで、グレイの色の部分は車進入禁止部分、つまり一番の
旧市街部分で、道も狭いのですね。 この部分に車で入るには許可がいる筈で、
我々もここは歩いて回りました。

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港の横の道、白い部分の最後に付けた赤い四角、ここに観光バスが停車し、
我々の降りた後またどこか他所の駐車場に。 例の真っ赤な市内周遊観光バスも、
ここから発着の様子。

緑の点々は観光バスで街の上のカステレット・Casteletto、ここはかって処刑場が
あったとか、まで行った道で、街の大パノラマを見つつ説明を聞き、
再び下って来て、右に付けた緑の四角辺りでバスを降り、
徒歩で街の見物をした部分を赤の点々で記しました。

ですから今日ご覧頂くタベルナーコロは、この徒歩見物の間に見た物、という事で。
ついでにちょっと番号順にご説明しますと、見難い地図をご容赦、
3. ガリバルディ通り・Via Garibardi ここはユネスコの世界遺産指定で、
   博物館にもなっている素晴らしい建物群が建ち並ぶ通り
5. サン・ロレンツォ聖堂・S.Lorenzo  ジェノヴァのドゥオーモ
1. ドゥカーレ宮・Palazzo Ducale
   その右横の数字なしが、ジェズ教会・chiesa del Gesù
9. コロンブスの家・casa di Colombo
   その左手前の門が ソプラーナ門・Porta Soprana
10. サン・マッテオ広場・Piazza S.Matteo  美しいマッテオ教会が
2. 水族館・Acquario   この辺りが古い港・Porto Antico    
  その右に見える数字なしが、サン・ジョルジョ宮・Palazzo S.Giorgioで、
  イタリアでは最初の現代的な銀行サン・ジョルジョが1408年に開かれた建物 

といった様子で、私の見たのはもうほんの少しの部分ですが、
それでもそれでも素晴らしく、やはり凄い街なのでした! 



ここは古い港に接する広い長い広場で、カリカメント広場・Piazza Caricamento
積み荷広場とでも言いましょうか、
かっては船の積み荷と荷降ろしでさぞや賑やかだった事でしょう。

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黄色いメリーゴーランドが見える向こうにバスの発着所があり、ここには原則として
車は入って来ず、左手は港に面してたくさんのベンチが並び、人々がのんびりと憩い、
市内中心を抜ける車は、左手上に見える高架を通る、という訳。

右手手前に切れて見えるのが、サン・ジョルジョ宮で、



こんな正面!

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建物全部にこんな感じにフレスコ画が描かれ、修復が済んだばかりか、まるで
ペンキ塗りたて式鮮やかさですが、1408年創設のサン・ジョルジョ銀行の名を
今回初めて知り、経済にはまるで疎い私ですが、歴史の中で果たした役割に
これまた感嘆。

正確にうまく説明出来ないかもしれませんが、つまり、ヴェネツィア共和国との戦争で
疲弊したジェノヴァで救出策を求め、フィレンツェの銀行組織を参考に、
8人の大商人が、現在と同じ様な銀行の仕組みを考え出して創設。

これがイタリアは勿論イギリスを含むヨーロッパ全土に普及するに至ったもので、
ジェノヴァ共和国の承認の元に、税制と公債、預貯金の運用とまさに現在の
中央銀行と同様の働きをするもので、元金保証、7%の利子と、ヨーロッパ中の
王族貴族の参加も含め17世紀には遂には手形・紙幣という方が正確かも、
の発行まで、という発展を遂げます。
       
ナポレオンが19世紀初頭にジェノヴァを占拠、フランス銀行を作るために、
何度もこの銀行から持ち出した時点まで活動し、
数世紀間に渡り、ジェノヴァが金融業で大繁栄をする元となったと。

現在この建物には、港管理の事務所が置かれ、内部はジェノヴァの歴史に関する
各種展示会場になっていると言い、 歴史あるサン・ジョルジョ銀行の名は
1990年代に復活し、現在はUBI BANCA の一部に、という事。



で、本題のタベルナーコロに戻り、これはサン・ジョルジョ宮の北の壁にある物、
立派でしょう?!

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これより3つのタベルナーコロは、ガリバルディ通りの東から狭い旧市街の道を
たどり、古くからの手仕事の店とか、歴史ある店とかが並ぶ通りを抜けつつ、
5.のドゥオーモに至る道で見かけたもの。
どれもが立派なもので、狭い通りの角から見降ろします。

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最後のは中の像が盗まれていて、不信心者め、罰が当たるぞ!



こちらはパラッツォ・ドゥカーレから南に下った所、小さな広場に面した建物の壁に。

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窓の鎧戸の片方が開けられない程の立派な物。

この下の角のバールで、お昼のサンドウィッチをね。 今回はホテルの食事が"梅”で、
仲間と一緒だと一人美味しい物は食べにくく・・、残念!



次の2つはまさに旧市街の中心部で。 こういうのは大概、夜は明かりが灯ります、

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コロンブスの家に向かう途中で。

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なぜこんなに立派なタベルナーコロが街中に多いのか、と質問しましたら、
ジェノヴァは世界中に出かけて行った船乗りの街ですよね、
きっと航海の途中に危険な嵐に出会ったり、海賊との遭遇やら、様々な命に関わる
出来事があったでしょうし、その時に「無事に戻れましたら、感謝のXXを捧げますから」と
祈ったに違いなく、無事に戻って後に、という事も大いにあったろう、と。
なるほど、と納得した事でした。



コロンブスの家の手前、ソプラーナ門にあったもの。
これは壁に嵌め込みの油絵で、キャンバス地が破れかけで・・。

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大きな立派な噴水のあるフェッラーリ広場・Piazza Ferrariから再び旧市街の
狭い道に戻り、サン・マッテーオ広場に、そしてオレフィチ通り・貴金属品通りから
バンキ広場・Piazza Banchi・両替広場と、
名前だけでかって並んでいた店が分かる様な通りを抜けて行きます。

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素朴な小さい物もありますが、圧倒的に立派で大きなタベルナーコロが目につき、
年代的にも時代がかなり下がってのスタイルで、ジェノヴァが如何に大繁栄を
していたかを物語るよう。

いわゆるイタリア国内での、その地方の人柄を表するのに「ジェノヴァの人間はケチ」
というのがありますが、shinkaiが言ったのではないので責任は取れませんが、
それから考えると、まさに命の恩は大きく高価!



信仰深い敬虔なお話が続きましたので、はは、今日は最後におまけをどうぞ!
なに、ご覧頂くだけで意味が分かります、はい。

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おまわりさ~ん、お務めご苦労さんです!! 風で紙が飛びませんように!



一体どこに停めているんだ、BK! しっかり払えよ!!

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ジェノヴァについては本当に無知のまま来ましたので、実際に行き、話を聞き、
見て、それから改めて読む、という順序で、知らない事ばかりが多すぎて大変、
でもやはり新鮮です。

ずっと早足早口、悪口言い放題のガイドさんでしたが、ははは、
トゥレヴィーゾ出身ジェノヴァ20年という女性で、ヴェネト女性は自分達の
お喋りばかり、つまり、ガイドの説明を聞かずにお喋りすると。 
一方彼女の夫君は、あんたはヴェネトの事ばかり云う、と呆れているそう。 

ははは、イタリアも広いのです! 
地方様々、人も様々、だから面白いのですよねぇ。


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