・ n.2 リミニ ・ 絵画館、マラテスタ家のあれこれちょっぴり

リミニのご案内2回目は、先回に続き絵画館の内部を少し。
絵画館と言っても博物館と併設されていて、収蔵品はたくさんあるのですが、
例により独断と偏見でほんの少し、私めの好きなものだけ、ははは、
ご覧頂きますが、それに付随しての寄り道も少し。

と言うのも、ミーハー的にご贔屓の、ははは、「リミニの狼」と呼ばれた
シジスモンド・パンドルフォ・マラテスタについて自分がもっと知りたい、そして
書きたい想いで、じりじりと搦め手からにじり寄っている最中でありまして!
てな事で、ご了承の上、ごゆっくりお願いいたします。

写真は、絵画館の広い壁いっぱいに移された1916年発見のフレスコ画。

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10年後にこの様に保存されたと言う説明は撮っているのですが、どこの教会のかの
説明は写しておらず! 14,5世紀の物と思うのですが、大変に鮮やか。

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ジュリアーノ・ダ・リミニ・Giuliano da Riminiの1320年頃の祭壇画 
「聖母の被戴冠」

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修復された様子で、とても美しく。

イタリアに最初に来た頃は、この様な黄金背景の祭壇画全てに夢中になった物でしたが、
う~ん、今頃は作品によりけりとなり、ははは。



ジョヴァンニ・ベッリーニの「ピエタ・Pietà」・Giovanni Bellini、1470年頃の作。

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4人の小天使が、哀れみを込めて見つめながら抱き起こす、写真では少し色が
暖かく出ましたが、もっともっと透明感の漂う、色も凛と涼しい、素晴らしい作品。

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作品はシジスモンド・パンドルフォがその晩年に注文したものだそうで、
ですが作品の年号から見て、1468年の彼の没後に届いた様子。
彼は美しい物を愛したそうですから、もし実物を見ることができたとしたら、
どんなに喜んだことでしょうか・・。



ジョヴァンニ・ベッリーニは(1433頃–1516)ヴェネツィアの画家、ルネッサンス期の
著名画家の一人でもありますが、その83歳の生涯におき途切れることなく
70年程を描く事に注ぎ、しかも駄作がない、と言われる絵描きの鑑!

その作品中に「ピエタ」の作品が数多くあるので、幾つかを拾い出しご覧頂きますね。
大変有名な、ミラノのブレラ絵画館のもの、1465年頃  

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「メティネンゴ・Metinengoのピエタ」 ヴェネツィアのアッカデミア蔵・油彩

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ベルリンにあると言う「ピエタ像」 リミニのイメージに似ていますね。

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ヴェネツィア・コッレール博物館蔵

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「ペーザロ・Pesaroの祭壇画」と呼ばれる油彩画 ヴァティカン蔵

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ね、こうしてあれこれピエタ像をご覧頂くのも、リミニにあるのがいかに
美しい作品かを分かって頂こうという、shinkaiの謀略なのであります、ははは。



という所で、少し他の収蔵品のご案内も。
これはテラコッタ製と思う、たぶん聖母子像。右腕が欠けていて残念ですが、
和やかなお顔でしょう?

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木製彩色の聖母子像。 少し北方のイメージもあり、
幼いキリストの鼻がお母さんそっくりなのが可愛いというか、ははは。

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陶器の破片を幾つか。

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彫り込みのある木箱、中央下にマラテスタ家の紋。
1450年頃、モンテグリドルフォ・Montegridolfoからと。

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この町はリミニの領域とはいえマルケ州に近い山中に位置し、
モンテフェルトゥロ公との抗争により要塞化され、現在に残るそう。



さて、もうひとつご紹介したい絵を。
ドメニコ・ギルランダイオ・Domenico Ghirlandaio(1449-1494)とその工房
による祭壇画、現在はないサン・ドメニコ聖堂の礼拝堂に在ったものと。

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大きな板にテンペラ画で、光が反射するので正面から撮れませんで。
  
中段真ん中にドメニコ会派のヴィンチェンツォ・フェッレール・Vincenzo Ferrer
この方は、いわゆる病人等に奇跡の回復をさせると評判が高い方だそうで、
左にサン・セヴァスティアーノ、右にサン・ロッコと三聖人が並び、



下段中央右手、赤い衣装の男性が、リミニのマラテスタ家最後の領主である
パンドルフォ4世・PandolfoIV とその横にいるのは弟のカルロ・Carlo.

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左の女性2人、外の黒い衣装がパンドルフォ4世の母親エリザベッタ・
アルドブランディーニ・Elisabetta Aldobrandiniで、中央がパンドルフォの妻
ヴィオランテ・ベンティヴォーリオ・Violante Bentivoglio.

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最初は単純に絵がとても美しいと眺め、それからこの4人は誰?と探し、
聖人と一緒に絵に登場するのは絵の依頼主、と決まっていますのでね、
するとなんと、大変に興味深い事が次々、つまりです、ゴシップね、ははは、
分かりましたので、ここにお裾分けを、はい。

この絵は元々が今はない聖堂にあった、と書きましたが、当時は下部の人物像が
塗り隠されていたのだそうで、1924年の修復で、これら4人が明らかになったと。
ご想像あれ、隠されていた人物を突き止めた時の、修復師の驚き喜びを!

で分かった事は多分、1492年の町を襲ったペストの終焉と、一族内の陰謀謀反から
助かった事を感謝しての絵の奉納であったろうと。

妻のヴィオランテが感謝と祈りの手を合わせるポーズで、希望を表す緑の衣装を着け、
パンドルフォは、私です、と意思表示に掌を広げつつ母親を見つめ、
弟は単純に彼です、と指差し、母親は息子を見ている、と。

結局この絵は、本人達に似ていない、と言う事で了解していた値の半分にも
満たない支払いを受け、依頼した時の感謝の念の奉納宣伝をも取りやめ、
塗り隠されたままに。

上記した様に、1492年のペストの終焉後、そしてギルランダイオ自身の没年
1497年から、彼の最晩年の作品であるのが分かり、工房の助手の手もかなりと。
それにしても、やはり鮮やかな素晴らしい作品と思います。
       

リミニのマラテスタ家最後の領主となった、パンドルフォ4世(1475-1538/39)は、
シジスモンド・パンドルフォの孫にあたり、父親は偉大なるロベルト・
Roberto il Magnificoで、その愛人エリザベッタ・アルドブランディーニ
との間に生まれ、たった7歳の時に父親を亡くします。

でそれからが大変! 母親が大変な陰謀好きというかなんと言うか、一族内の
権力抗争が絶えず、おまけに何が何でも息子を自分の思い通りにさせたがる、
息子の結婚も代理人結婚とはいえ、わずか10歳のとき!
花嫁のリミニへのお輿入れは数年後だったようですが。

政治的センスに欠け戦略的にも余り優れない彼は、何度も戻る試みをしながらも
リミニから追い出され、終にはフェッラーラ大公のアルフォンソ・デステにすがり
極貧の内に暫く過ごし、最後はローマで亡くなるという哀れな生涯。


母親と妻についても調べましたが、いまだ生没年も分からず、
妻の方は夫よりも先に、フェッラーラでかも、亡くなった様子。
それにしても、この女性像は美しい!

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こちらはシジスモンド・パンドルフォのメダル。

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説明文を写した写真の順序が間違っていないなら、最初のメダルは、
カステル・シズモンドの塔の中、3m以上の高さの天井に注意深く3箇所に
穴を開けて詰め、塞いであったものだそう。

下の写真のは、シジスモンドの礼拝堂の円柱を支える象の背中から発見されたもので、
1450年10月の事であろうと。
まだ何かどこかに埋まっているかも、の気がしません?! ははは。



こちらは多分シジスモンド・パンドルフォの衣装の色柄の復元と。
昔の衣装によく見るアザミ柄ではないかと・・。

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上の柄の写真を見て思い出し、探し出したのがこれ! 何年か前に雑誌で見た
覚えがあったのですが、意外に簡単に見つかり、
ファーノ・Fanoの領主パンドルフォ3世のファルセット・Farsetto.

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美しいでしょう?! ファルセットは当時の男性が甲冑の下に着用した胴着。
パンドルフォ3世(1370-1427)はこれを着用した姿で埋葬されていたそうで、
1995年に発掘され復元されたものと。
パンドルフォ3世というのは、シジスモンド・パンドルフォの父親にあたります。

ファルセットの再生というか復元は、長毛の絹のビロード、色は深紅色、
胴の部分は前後4つの部分から成り立ち、2枚の麻布の間に詰め物をし
全体にキルティングが施され、その糸は絹糸!
前部には直径1cmのボタンが2cm間隔で付けられていると。

深紅色と金、そしてこの胸の厚さ! 素敵ですねぇ!
多分世界に一つ、というこの再現された胴着は、2009年にファーノの博物館で
公開されたのだそう。

と、次回に予定しているシジスモンドの墓所見学にちょこっとにじり寄った所で
今回のご案内はお終いですが、



最後はお付き合い下さった皆さんの気晴らしに何か、美味しそうな物をと、
サイトからあれこれ探し、 リミニはやはり海の幸かなぁ・・?!

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そうそうロマーニャ名物に、ピアディーネ・Piadineがあった!
ピアディーネとは、こんな風に薄焼きした物に何でも好きな物を挟んで食べる奴で、
こういうのは世界共通ですがぁ、注文すると熱くしてくれ、チーズがとろっとね。

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ここリミニのは、ピアーダ・Piada といい、どうやら大判のようで、ははは、
生ハムにパルミッジャーノのうす削り、ルーコラ、

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野菜のグリルをはさみ、

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何でも好きな物を入れて、ぐるっと巻いてかぶりついても良し!

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小鰯のから揚げ?! おお、おお、これはシー、シー、Sììììì!!!

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ははは、つい食べ物に取り乱し、はしたない所を・・、

また次回もよろしくお願いいたしますぅ!!


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