年明けに相応しい最初の話題はと考え、今日ご覧頂くのは勝手に重々しく
「暦月の間」と呼んでいる、カレンダーの様に月毎の様子をフレスコ画で描いた
トレントの城の、アクイラの塔・Torre Aquilaの部屋の装飾のご案内を。
「暦月の間」と呼んでいる、カレンダーの様に月毎の様子をフレスコ画で描いた
トレントの城の、アクイラの塔・Torre Aquilaの部屋の装飾のご案内を。

トレントのブオンコンシーリオ城・Buonconsiglioは、クリスマス風景を
見て頂いたトレントの街の最初の写真にチラッと出た、
街の北東の高台にある現在は博物館の城塞で、オリジナルはローマ期の城だった様で、
13世紀から街の城壁要塞を兼ね、その後の何世紀間の拡張を経て、
アルプス一帯においても一番大きな要塞城の一つなのだそう。
アルプス一帯においても一番大きな要塞城の一つなのだそう。
城の中の写真もまだ整理できておらず、へへ、 この装飾の部屋は唯一写真禁止で、
城のブック・ショップで買って戻った本からの写真で、ご覧下さいね。
城のブック・ショップで買って戻った本からの写真で、ご覧下さいね。
城の全体図をどうぞ。 上の写真は左側からですが、余りの大きさに真ん中までしか
写っておらず、今日ご案内のアクイラの塔・鷲の塔は一番右端に。
写っておらず、今日ご案内のアクイラの塔・鷲の塔は一番右端に。

ちょっと字が見にくいですが、大きな円形の塔の見える左の白い部分が
カステルベッキオ・旧城。
右に広がる白い部分は16世紀に建設のマーニョ・パラッツォ・Magno Palazzoで、
カステルベッキオとの間に見える茶の部分が、17世紀に統合部として建て増しの
ジュンタ・アルベルティーナ・Giunta Albertina.
カステルベッキオ・旧城。
右に広がる白い部分は16世紀に建設のマーニョ・パラッツォ・Magno Palazzoで、
カステルベッキオとの間に見える茶の部分が、17世紀に統合部として建て増しの
ジュンタ・アルベルティーナ・Giunta Albertina.
1390年から1419年までこの一帯の司教領主として君臨した
ジョルジョ・ディ・リヒテンシュタイン・Giorgio di Liechtensteinが、
カステルヴェッキオを要塞城から君主の居城風に変え、
アクイラの塔も、彼が街の東側の管理の為に建設されたものだそう。
ジョルジョ・ディ・リヒテンシュタイン・Giorgio di Liechtensteinが、
カステルヴェッキオを要塞城から君主の居城風に変え、
アクイラの塔も、彼が街の東側の管理の為に建設されたものだそう。
大きな城の長い変遷については以下略と致しまして、はは、
カステルヴェッキオのテラスから、街の眺めをどうぞ。

アクイラの塔には城壁の上の長い狭い渡りを行きますが、
塔の中の部屋はこんな感じで、素敵でしょう?!
これは南西側で、部屋への入り口はこの写真の右手前側に。
これは南西側で、部屋への入り口はこの写真の右手前側に。

この部分は左の5月から10月の部分で、薄暗い中に広がる濃密な風景と
人物の醸す空気は本当に素晴らしく、ほっとため息がもれます!
今日は前半の1月から6月までのご案内とし、後半はまた初夏の頃にでもとし、
まず、1月をどうぞ。 3.05x2.27m
そう、一面の雪景色!!
そう、一面の雪景色!!

下半分では貴族たちが雪合戦の真っ最中で、楽しそうに雪だまを投げつけたり、
スカートに抱えたり・・、
そう、5世紀以上も前から雪合戦があったのですねぇ、ははは。
こういう雪景色というのは、西ヨーロッパでは初のものと。

画面上部に見える城はステニーコ・Stenicoにある城と確かめられており、
右には雪の中の猟師2人。
それぞれが猟犬2頭を連れ、上の猟師は肩から兎や鳥の獲物を下げ、
その脇の草むらには狸が隠れ、上の森には狐がうろつき・・。

2月 1.27x2.22m
貴族たちの騎馬戦と、右下に鍛冶屋の工房。

2月のモチーフに騎馬戦を選んだのは、多分カーニヴァルの季節の関係だろうと。
上部の桟敷席や窓から20人もの女性たちが顔を覗かせ、楽しい。
下では騎馬合戦が繰り広げられ、左では従者たちが着付けをさせ、
戦う者の足元では、砕け散った武器の破片を拾ったり・・。

一方、貴族たちの着飾った衣装にも、祭り騒ぎにも一切関係なく、
素朴で実用的な衣服を着けた一般庶民がせっせと仕事を。
素朴で実用的な衣服を着けた一般庶民がせっせと仕事を。

ところでこの壁画には3月が欠けています。
というのも、ちょうどの部分に螺旋階段があり、それを覆っていた木の板の上に
描かれていた3月分が、火災で失われたのだそうで、残念!
というのも、ちょうどの部分に螺旋階段があり、それを覆っていた木の板の上に
描かれていた3月分が、火災で失われたのだそうで、残念!
この壁画は上記のジョルジョ・ディ・リヒテンシュタインがボヘミア人の画家
ヴェンチェスラオ・Venceslaoに描かせた物で、
1397年に街の記録に残る事から、1400年前後の作と見られます。
1397年に街の記録に残る事から、1400年前後の作と見られます。
月毎の境を細い螺旋形が囲う円柱で仕切り、貴族社会の様々な行事と、
その季節を表す一般庶民の仕事、季節の色や畑仕事を一つの画面の中に平行させた、
こういうスタイルは当時大いに好まれたものなのだそう。
その季節を表す一般庶民の仕事、季節の色や畑仕事を一つの画面の中に平行させた、
こういうスタイルは当時大いに好まれたものなのだそう。
月毎の貴族社会と農民の生活を描いた素晴らしいものでは、以前ご紹介の、
ランブール兄弟の「ベリー公のいとも豪華なる時梼書」がありますが、
ランブール兄弟の「ベリー公のいとも豪華なる時梼書」がありますが、
こちらはミニアチュールの優雅な大傑作、おまけに1世紀後の15世紀の作で、
大きさも、描く早さの違いもあり、一概には出来栄えの差の云々を言えませんね。
それに対しこちらの壁画には、一般庶民の生活の匂いが感じられる気がします。
そして大きな壁画での暦月の間としては、フェッラーラのスキファノイア宮に、
1470年代にコスメ・トゥーラ・Cosmè Turaやフランチェスコ・デル・コッサ・
Francesco del Cossaが携わったと言う素晴らしいものが。
剥落部分も多いものの、壁画の厳しい美しさはまさに一見の価値あるもので、
残念ながらここも写真禁止ですが、いつかご案内したいもの・・。
残念ながらここも写真禁止ですが、いつかご案内したいもの・・。
ベリー公のいとも豪華なる時梼書
フェッラーラ、スキファノイア宮の暦月の間 サイトでどうぞ。
フェッラーラ、エステ家のお城 その1と2
4月 3.5x2m
この月は様々な題材が描かれていて、春を迎えての農作業のさまざまが、
愛情込めて登場です。

左下には馬と牛2頭に引かせて土を耕しているお百姓2人、茸の生えている
林の中で兎を追う犬、囲われた畑の中では水をやったりの仕事中。
水車小屋から荷運びの男が牛車で、その後から荷を担いだ男が。
林の中で兎を追う犬、囲われた畑の中では水をやったりの仕事中。
水車小屋から荷運びの男が牛車で、その後から荷を担いだ男が。


水辺では白い衣服の巡礼が休み、傍らの家々は藁葺き屋根、
釣瓶のついた井戸が見え、犬が一人のんびりと。
岩山の麓の畑では馬に引かせた鋤を使い、もう一方は種まき中。

そして下の右端では、貴族の女2人が着飾り、
一人は月の境の円柱に手をかけ、5月に入り込もうと・・。

5月 3.5x2.4m
春、花咲き乱れる緑の野で遊び戯れる貴族の男女、
4組のカップルと、左端に2人の若い娘と中年の男。



咲き誇る薔薇の描写も美しく。

上には、山麓の城から小川を渡り、林の傍の草原で野外宴会を楽しむ男女がいて、
大理石で作られた泉からは水がほとばしり流れ・・。

こんな春の野外の愉しみを描いたフレスコ画はここにも。
スポレートのアルボルノス要塞 その2 と 1
6月 3.5x2.4m
この場面も5月に続く貴族たちの屋外の楽しみと、右上には働く農民達。
この場面も5月に続く貴族たちの屋外の楽しみと、右上には働く農民達。

下半分の左に5人の音楽を奏する楽人、右に5組に分かれて踊る貴族の、
左から2人目は司教様で、楽人のラッパに付く赤い旗もこの司教様の紋だそう。


上部左はやはり5月同様に城からピクニックに出かける貴族の男女がいて、
犬たちが喜んで走り回り、草むらには野鳥の姿も見えますね。
犬たちが喜んで走り回り、草むらには野鳥の姿も見えますね。

右側には牛たちがのんびりと寝そべり、乳を搾る女、桶で運んでくる女性、
そして板葺の小屋の近くでバターを作る男と、桶に詰めている女ですね。

細長い筒のような容器に乳牛をいれ、上から棒で突きバターを作る容器は
山の博物館で見ましたっけ。
山の博物館で見ましたっけ。
という、カレンダーの壁画1月から6月。 素朴で温かみのある題材でしょう?
かなり農民達の仕事に詳しい表現もあり、画家の育った環境を
偲ばせる楽しさも感じます。
また後半のご案内もお楽しみに!
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