・ n.2 トナディーコ ・ 山上の古い教会と、谷間の様子は

散歩がてら出かけた隣村トナディーコの、山上の古い小さな教会内のフレスコ画や、
家に戻るドロミーティー麓の小道ののんびりした様子を、先回に続きご覧下さい。

偶然グループのサン・ヴィットーレ教会訪問に出会い、厚かましくも一緒に中に入り、
ガイドさんの説明も一緒に拝聴!したのでしたが、

この写真は内陣、後陣部のフレスコ画で、この部分は新しい、16世紀の物。

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内陣左脇部分に見られる紋章、これはガイドの説明によると、トナディーコ村の
有力一族スコーポリ家・Scopoliの物で、

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もともとは公証人一家だったのが聖職者も輩出した一族の紋との事で、
書き込まれた年代1577年も見えます。



上の写真の内陣側ですが、フレスコ画の層が4層になっているのが分かるかな?
内部はかなり暗く、これで精いっぱいでしご容赦。

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左から順に層を辿れますが、13,14,16世紀のものだそうで、古い層はそんなに
厚塗りではありませんが、最後の層は厚く、とりわけ下部が厚いのが見て取れます。
この墓地付属の教会は1995~97年にかけて外、内部共に修復が行われ、
その時にこのフレスコ画の層も発見されたのだそう。
       


教会の名に冠された聖ヴィットーレの逸話の部分。
2世紀の殉教者で、ガイドの説明によると指を潰され、目をくり抜かれ!! 
最後には斬首されたようですが、

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彼の事をあれこれ読んでいて分からない事にぶち当たり、遂にジュリアーナに電話をし
助けを求めました。

つまり彼はシリア生まれでローマ軍の兵士だったのが、エジプトで兵務に就いている時、
カトリック教徒である事を否定しなかった為に告訴され、死刑判決を受けたと。 
ジュリアーナにこの部分を読んで聞かせ、何で? と訊ねると、
何年の話? 168年か171年と書いてあるよ。
するといとも明快に、コスタンティーノ帝のキリスト教公認の勅書が出たのが313年で、
それ以前はキリスト教は異教だったから、と。

そうか、そうだったよね、とヒントを貰うと分かる事でも、その場しのぎの
付け刃の知識では時に考えの基盤にならない事も多々あり、そういう時に、
せんせ~え!と助けを求められる人が周囲に何人か居てくれるのが、有難い事!
       
この聖ヴィットーレ・San Vittoreと並んで名を伝えられるのが、聖女コローナ・
Santa Coronaで、彼女は彼の同僚の妻で、彼が拷問を受けている間、
公衆の面前で彼を「幸ある者」と呼びつつ励ましたのだそうで、
為に彼と同様に死の宣告を受け、こちらは四つ裂きの刑にされたと!

この二人の聖人は共にフェルトゥレ・Feltreの町の守護聖人であり、中世において
この一帯はフェルトゥレの支配下にあり、この教会にもその名が冠されたとの事。

なんともむごい刑罰の話が出ましたが、ガイドの話やフレスコ画の題材から
調べ始めると、例によって次々と知らない事が引っ掛かり、
つまり今回も単純にサン・ヴィットーレを調べるつもりが、同名者がずらっと出て
どれか分からず、まず時代を調べ、そして特定者を割り出しという方法でして、
聖女コローナもこの関連で知りましたが、おまけにというか、興味深い事も
芋蔓式に引っ掛かって来まして、ははは。

シロールに行くのにフェルトゥレを通りますが、町の手前のアンズゥ・Anzùという村、
山の上に素晴らしい教会修道院が見えるのですね。 通りつつ、一度は寄ってみたいもの
と思っていたのが、なんとここがサン・ヴィットーレとサンタ・コローナの名を冠した
聖堂だという事も分かりました。
       
フェルトゥレの守護聖人であるという事に由るそうですが、大変立派な建物と内部で、
サイトを見て驚きました。 関心のある方、こちらをどうぞ。
http://www.santivittoreecorona.it/storia.html

フェルトゥレ ・ ドロミテの麓、小さな高貴な町
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462862246.html
      


ここからは内部の一連の中世のフレスコ画、ガイドの説明ではヴィザンチン様式と。
 
入り口上で、扉の上辺りに地獄の火に焼かれる姿も見え、

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こちらは入り口を入っての右手で、上部は一連のキリストの生涯のモチーフで、
下段は、騎士の戦いの様子など。

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グループの皆さんに混じってセルジョも座り、ガイドの説明を。



上の写真の続きで、内陣に近い部分。 語りの絵のモチーフ以外に、
時に単純な柄の部分が挟まり、これが面白い効果を。

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こちらは入り口から見ての左手部分で、内陣に近く、聖餅入れの置かれる
装飾されたくり抜きと、マントを貧者に分け与えたという聖マルティーノの図。

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その左に続く部分に、大変興味深い最後の晩餐図があり、
テーブルに並ぶ大ご馳走にご注目を!

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上の列に丸い鉢が4つあり、その中に魚が描かれ、パンやチーズと思われる物があり、
魚の骨らしい物も散らばり、右端に見える丸まった物はこれはソーセージ類かな?
腸詰め食品類がいつ頃からの物か、また知りたいものです、
しっかりしたナイフもたくさん見え、大変なご馳走でしょう?

この山の中で魚となると川魚でしょうか、それともキリスト教徒を現わす
シンボルの意かな?それとも、描いた人の願望かな?!

◆追記です◆
コメントを頂き、テーブルに見えるのは魚の骨ではなく、ザリガニであると
教えて頂きました。 有難うございます!
これで納得です、このヴェネトの教会にもザリガニを描いた最後の晩餐図がありますし、
教えて頂いたトレントの北西に位置するCarisoloという村のSanto Stefano教会にも、
ザリガニを描いた最後の晩餐図があるそうです。
検索をかけ、素晴らしいフレスコ画に内外とも覆われた教会であるのと、
我が家からの距離が、3時間半程であるのも調べました。
    
はい、行って、見たいものです。次の目標が出来ました!
       
       
       
一通りの写真を撮り終え、説明も大分聞いた所で教会を出て坂道を下り、村の方に。
こちらが現在市役所になっているスコーポリ邸。

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トナディーコの村の家並の様子、近郊の村の様子などは
n.1 夏の思い出 ・ 山の家、庶民の避暑地
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461527165.html

n.2 夏の思い出 ・ 山の家、庶民の避暑地
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461527243.html

山の家の夏休み ・ ドロミーティの山 ・ ハイキング
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/468199874.html



建物の前から教会を見上げると、この高さ!

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村を抜け、なだらかに広がる草地を小礼拝堂に向かいます。
薪を備蓄したり、刈り取った草を納めたり、農機具を仕舞っておく小屋が点在しますが、
マージ・Masiと呼ぶそうで、

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草地には野草が生い茂り、緑が目に優しく、

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北の山の奥には、ドロミーティーの高山が顔を覗かせ、 

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じきに、この小さなサン・ジャコモ礼拝堂・S.Giacomoに。
この礼拝堂については個別の資料が見つかりませんでしたが、古の街道筋に
保護や願かけの為に作られた一つ、という事。

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上からの眺めでは、薪小屋と大きさが殆ど同じ位でしたよね、が、壁はかなり厚めに
しっかりとした石造りで、前に四角い石組みの跡が残り、入り口を囲っていた様子。



覗くと、丸い天井部にこんなフレスコ画が残り、キリストを囲み下に4使徒のシンボルの、
鷲と有翼のライオン、雄牛、そして天使像。

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下に見えるオレンジ色の帯状風には子供の顔、天使が並んで描かれ、窓枠部分や、
アーチへの繋ぎ部にもフレスコ画の装飾が見え、キリスト周囲の色の感じが、
山上のサン・ヴィットーレ教会の後陣画に良く似ているので、同じ16世紀頃の作かと。



背後からの様子はこんな感じで、ちゃんと後陣の形に丸く。

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ゆっくりと、草地の間を蛇行して続く小道を行きます。
近くのベンチには年配のシニョーレと、これまた年配のワン君が寝そべり・・、

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なかなか面白い顔のワン君でしたので、またご覧頂きますね。

この緩やかな上りとカーヴを持つ小道は、この谷間にある村を幾つも通り抜け、
何キロも奥に続いて行くのだそう。
こんな風にきちんと整備され、歩いても良し、マウンテンバイクでも良し、
素晴らしいハイキングが出来るそう。



1本だけ大きく咲く向日葵があり、

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パタパタと音がして、奥の山の方からヘリコプターが頭の上を。

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セルジョが、救急ヘリコプターだから、何か山で事故があったのかもと、
夜の地方ニュースを見ましたが、幸いに何も報道がなく。



シロールの村の入り口まで戻るとこんな泉があり、常時冷たく美味しい飲み水が流れ、
あ、木製じゃないの?! いや、中に鉄管が通っているよ。
そうね、鉄管だけだと、冬に凍結するのでしょうね。

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インゲン豆も美味しそうにプックリと膨らみ、この赤の斑入り、緑色、
濃い紫と3種見かけました。

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お家の窓の外にいたトカゲ君。 一見すると長い綺麗な尻尾でしょう?
でもね、良くご覧になってね、途中で柄が違っているでしょ?
きっと一度生え代わった名残なのですね、ははは。

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ここからシロールの集落が始まりますが、このお家閉っているのです。

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5月早々に羊と牛を連れ山に引っ越しているそうで、9月の末に戻って来るのだと。
そういえばクリスマス市に来た時、中からめぇぇと聞こえましたっけ。



セルジョが家の前に置いた荷車式花壇、近所の人たちにも好評だと嬉しそうに。

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コンドミニオの壁も全部塗り替えていて、こうして写すと白過ぎる位ですが、
隙間も埋めきちんと整備、殆ど全て家の手入れが済んだ様子でした。

彼らの家に行き、昨年は壁のアーチの上に山の花束を、今年は白木の長持ちに
花の絵を描き、ペンション無料滞在OKとなりますが、ははは、
来年は、白木の箪笥に似たような花の絵、そしてその次の年は入り口扉脇に
マルモット(オオリス)の絵を、と、既に注文を受け、山行きも確定、という有様。
約束を果たせるよう、良く遊べるよう、元気で頑張りましょう!
      

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