・ n.3 ファルネーゼ邸 カプラローラ

3回に分けてご覧頂いたラツィオ州の北東に位置するカプラローラにある
ファルネーゼ邸、いよいよ最終回。

今回はこの豪奢な大邸宅を造り上げたアレッサンドロ枢機卿、
先回肖像画をご覧頂きましたが、教皇パオロ3世の孫に当たり、
偉大なる枢機卿と呼称される彼の寝室と、邸宅の奥の山中に造られた
素晴らしい庭園をご覧頂きますね。では、どうぞ!

写真は、豪華絢爛たる部屋の装飾に比べ、大変簡素な部屋の閂。
が、これは既に閉っていた扉の閂なので、特別な部屋ではないのかも知れずで。

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こちらが、アレッサンドロ枢機卿の寝室。
五角形の建物の北側部分は夏用、南側は冬用と、用途に従い分けられて
いるそうですが、彼の寝室は北側の西角の部屋の北隣り。

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窓の壁の厚みと装飾。
ぽこっと小さな丸いボタン式の飾り、紋章付きが可愛いですが、

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・・眺めていると、ラーメンが食べたくなり! 失礼。
       
ガラスとの内側に鎧戸があった事を示す金具が見えますが、
内側の壁上部に突出したフックが見えますか?
あれにつづれ織をかけ、部屋の装飾に、寒さよけにしたのですね。



床の模様も特別では無いですが、ベッドを置きますものね、暖炉があり、

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当時のこんな素晴らしい家具、椅子というかベンチがあり、

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壁上部と天井の装飾。
  
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天井画のモチーフは「夢」、新約聖書に由来する様子。

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この天井画の向きから考えると、窓側にベッドの頭が来たのでしょうね。



こちらは確か「天使の部屋」の装飾で、天使像の下の扉は騙し絵。

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「ソロモンの審判」の部屋。
各部屋の装飾はそのテーマに従い神話のモチーフが多く選ばれていますが、
いずれも優雅繊細。

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これは細い通路の小部屋で、びっしりと木の茂りに紋章と縄の柄。

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ほら、ミラノのスフォルツァ城内に、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたという
大樹の部屋がありますね。
規模も表現も違うのですが、建物内に木々の茂りを描き、小鳥を飛ばしたり、
青空が覗いたり・・、は良く見かけます。

きっと現代人が部屋に観葉植物を置いたりするのと同じ感覚だったのでしょうね。



北側の部屋から、奥の庭園に続く橋が見え、
平面図には橋は北側の西と東に2つありますが、

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現在の行程では西の橋を渡り、建物を出ます。
ちょうど「ソロモンの審判」の部屋に扉があり、橋に続き・・、

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振り返るとこういう様子。

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つまり建物の2階から我々は外に出て、上に見える窓3つの部分が、
護衛兵士、召使達の居住部分にあたる2階分の窓。



橋から見下ろす堀、深いでしょう?!
古い要塞の後に設計建設された、と言いますが、これを見ると1階、地階部は
完全に要塞の形を取っているのが良く分かりますね。

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このファルネーゼ邸の建設を決め、工事を始めたのが1530年。
4年後に教皇パオロ3世に選出されるアレッサンドロ枢機卿で、後に建設を
引き継ぎ豪奢な邸宅に仕上げたアレッサンドロの祖父の時代。

設計を任されたのはアントニオ・ダ・サンガッロ・ジョーヴァネ・
Antonio da Sangallo giovane.
当時はこの一帯の領土の管理も兼ねた要塞城館としての意図もあり、
こういう堅固な形も取り入れ、残されたのでしょうが、

このアントニオ・ダ・サンガッロ・ジョーヴァネという設計技師、同じ名前の叔父の
アントニオと区別するため、ジョーヴァネ・若い方、と呼ばれます。
叔父のアントニオ・ヴェッキオは、長兄のジュリアーノ・Giulianoと組んで、
古い要塞を大砲の攻撃にも耐えられる強固な近代的な物に修復した事で
有名な設計技師で、ローマのカステル・サンタンジェロとか、
リボルノのフォルテッツァ・ヴェッキオ等が有名な仕事。

Youtubeにこの邸宅を紹介したヴィデオがあり、この堀の説明もありますが、
やはり強固な事を強調しています。
http://www.caprarola.com/palazzo-farnese.html

ファルネーゼ邸の最初の仕事を始めたアントニオ・ジョーヴァネは、若い頃から
叔父と共にローマに出て仕事を習い、素晴らしく優秀だったのでしょうね、
じきに当時サン・ピエトロ聖堂の工事にかかっていたブラマンテ・Bramanteの
助手となり、彼の死後はラファエッロの協力者となり、法王庁の仕事を受ける様になり、
遂に教皇パオロ3世となったアレッサンドロ・ファルネーゼから、
1536年に法王庁のお抱えに任命されます。

当時のローマにあって設計技師として最高の地位に上った訳で、これにより
サンソヴィーノ、ジューリオ・ロマーノを始めとする多くの芸術設計家達が
ローマを去ったという程。

1546年にアントニオ・ジョーヴァネは死亡し、この邸宅の仕事も中断されますが、
死亡原因はマルモーレの滝・Marmoreというローマ人の造った素晴らしい滝、
これは水を運ぶ為の物だそうで、まだ見た事がありませんが、写真だけでも
素晴らしい物で、その工事中だったと。
       
   
所で、最初に見て頂いた平面図でお分かりの様に、このファルネーゼ邸は5角形。
偶然というよりも当時の大砲攻撃が始まった時代の設計論理に由るのでは
ないかと思うのですが、ローマのカステル・サンタンジェロも、はい、5角形。

この5角形の城について、フランスのブルゴーニュにお住まいのOtiumさんが注目され、
同じ5角形の城があるのを記事にされています。
興味深いこの城の設計由来ですので、是非こちらをご覧下さい。
http://otium.blog96.fc2.com/blog-entry-259.html
      


さて橋を渡り、薔薇園だったと思いますが、その横を上り、さらに石段が続き、
紅白の椿のトンネルになっていて、皆が大いに歓声を上げ!

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こうして上に上って来ると、またこの様に城壁があり、造りは大変堅固。
向こうに見える建物は、来る途中に見た元厩舎ですが、
何処とも本邸は切り離された設計になっているそう。

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広い地所の中にはこういう林が広がり、
中をだらだらの上り坂が続き、これが結構長いのですよ。

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そしてついにこの奥の庭園の前に。上から真ん中を水が流れ落ち、
手前の池に入る仕掛けで、両脇はちょっとした洞窟風の造り。

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手前の池につけられた顔。

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一番上にはこんな風にお屋敷が見え、大きな像も。
この上り階段の真ん中を水が流れ落ちるのですね。

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で、上まで行くと、さらにまたこんな風に回り込み式の階段があり、
ご覧の様に、脇にはたくさんの泉が並んでいて、

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上には、この風に馬の像、貝を捧げ持つ男の像があり、

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上の上り坂はこんな様子で、はぁはぁ、

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貝を持つ男、そして巨大な男性像が見えた下には小池があり、金魚ちゃんが。

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つまり、上から順々に水が流れ落ちる仕掛けになっていて・・。



上のお屋敷、ここにもフレスコ画装飾ですが、近寄れず・・、

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先程見えたお馬ちゃんの横を通り、

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またまたこんな石段を、はぁはぁと・・!

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そしてまたこの石段の横にもこんな魚たちが並び、ここも上から水が流れ落ちる
仕掛けなのですね。

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魚の隙間から通って来た庭を見下ろすと、こんな形。 通って来た時はまるで
気が付かない、というか、気が付かない様にしているのかも。
ここで貴人たちが優雅にかくれんぼう遊びをしたのかも、ですね。

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そしてついに一番上、お屋敷の裏に出ると、
小石のモザイク柄があり、真ん中にはやはりファルネーゼの紋。

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右後ろに見える大きな像のある所が門で、ここが庭園の最後。
左右に低い段になった泉が並び、

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こうして見ると、四季の花咲く花壇もありますが、水遊びを楽しむ夏の庭園で、
優雅な貴族達がそぞろ歩きしながらの様子が垣間見える様な・・。

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暫く休憩し息をととのえ、また下に戻り、橋の手前から右に曲がると、
出口の手前にこんな人口の洞窟があり、

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とても暗いのですが、なんとか写った、隠れている者たち。

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そしてなんとまぁ、ここは人口の水滴が落ちるのでした!
水滴というよりも雨に近い程でしたけど・・。

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何処を見ても何を見ても、凄いねぇ!という言葉ばかりが出る
豪奢優雅な邸宅でしたが、
      
出口脇に咲きかけの可憐な椿があり、なんとなしにホッと、ははは。 

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長いお付き合い、本当に有難うございました!

少し離れた場所ではありますが、ローマからは70Kの距離、
是非チャンスを作ってお出かけ下さいね。
一見の価値は充分にありますです!!


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