・ n.2 活字印刷博物館 訪問

引き続き有難うございます! n.2 活字博物館訪問 をどうぞ!

博物館の展示から、こちらは木製活字、キシログラフ。
       
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これもキシログラフの版木。
我々日本人には、なじみ深い物ですね。

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こちらも木製の、古い時代の物。

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これは金属板の彫り込み。

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活字のデザイン。

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古い写真で、かっての印刷工場風景。

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印刷された物をたち切っていますが、この押し切り鎌の形、懐かしいですねぇ。
そして、なんとたくさんの働く子供達。



2階にある図書室の窓から。

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現在の活字印刷の本を拝見。

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今も勿論、何軒か、何人かは手仕事の活字印刷を続けていて、
平板な紙の印刷を見慣れた目には、素晴らしく美しい印刷で、
それもまぁその筈、恐ろしくお高い値段になる本なのです。
紙はコットン紙。



そして、これを是非ご覧下さい。
翡翠の杯、玉杯、とでもいうタイトルで、  

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中はこれ。

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棚にこの本を見つけたのはジュリアーナでしたが、
中にこの印字を見つけた時、息を飲みました。
なんと素晴らしく見えるこの名前、印字の美しさ!

漢詩などは既に忘れ果てていましたが、横に並ぶイタリア語で意味が分かり、
懐かしい世界に、やや茫然となりました。

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下終南山過斛斯山人宿置酒  李白
暮從碧山下  暮に碧山より下れば
山月隨人歸  山月人に隨って歸る
卻顧所來徑  來る所の徑を卻顧すれば
蒼蒼橫翠微  蒼蒼として翠微に橫はる
相攜及田家  相ひ攜へて田家に及べば
童稚開荊扉  童稚 荊扉を開く
綠竹入幽徑  綠竹 幽徑に入り
青蘿拂行衣  青蘿 行衣を拂ふ
歡言得所憩  歡言 憩ふ所を得て
美酒聊共揮  美酒 聊か共に揮ふ
長歌吟松風  長歌 松風に吟じ
曲盡河星稀  曲盡きて河星稀なり
我醉君復樂  我醉へり君も復た樂しめ
陶然共忘機  陶然として共に機を忘れん



そして、これ、

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これも!
美しい美しい漢字の姿!!

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それに引き換え、まずい写真で申し訳ないです。
イタリア語に対応するために横書きにしているけど、
本当は、右上から縦書きで、左に続くのだと説明しましたが、
サイトで見つけた詩は、PCの世界の、やはり横書きなのでした。



各種印刷機の展示。

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どれもがまだまだ充分使える機械ばかりなのですが、世代交代で引退の身です。
こちらに集められた機械類は、全てイタリアの物ばかりで、
世界の物となると多すぎて、到底無理だそう。

とりわけ最後の2つは、アウシュヴィッツの収容所解放記念に放送されたTV番組内で、
収容所内での印刷シーンでたくさん登場し、納得するやら、絶句するやら。

そしてこれらの機械類には、作り上げた技術者たちのなんとも言えない誇りが
込められた装飾があるのですね。
打たれた銘板にしろ、小さな装飾にしろ、長く長く使い込まれる筈の機械に
相応しい物で、それがちょっと辛い想いを伝えて来ました。



見学の最後に、各自の名前の活字を一つずつ拾い、枠に並べます。
逆に打たれた活字を、また逆の向きに並べる訳です。

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こうして皆の名が揃うと、
ダニエーレ氏が微調整を行い、枠の外を詰め、上から木片でトントンと
そっと叩いて面を揃え、

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こうして版面が整い、
試し刷りをして、また活字の配合などを微調整。 

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この機械は、インキのローラーが自動で回り、インキの乗り具合も自動調節で、
脚元のペダルを踏むと紙を挟む爪が持ち上がり、

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こうしてハンドルを回すと、ぐるっとドラムが回り、印刷できる仕掛け。

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写真に写っている若者は、高校生かな、アンドレア・Andreaといい、
お母さんと一緒に見学に来ていて、写真掲載許可はお母さんに貰いましたからね。
右に写っているのがレナート・Renatoで、先日のサン・ボルド峠の写真提供者。 



この印刷実演には皆大喜びで、にこにことハンドルを回し、
で、出来上がりがこれ!

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一番上に見えるArteStoriaが、あちこち見学に一緒しているグループ名で、
ちゃんと宣伝して!と言われましたので、はい。

我々は、ただ活字を拾いハンドルを回しただけですが、
ここに至るまでの大変な仕事を見た後でしたから、皆が大満足だった訳です。


       
最後に、活字印刷の普及の年代を記した掲示を。
少し見難いのですが、

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Magonza、グーテンベルグのマインツの街 1452年
イタリアでは、スビアーコ・Subiacoが一番早く1465年
ここは確かべネドット派の修道院がある町ですね。
そしてローマ・Romaが1467年、ヴェネツィア・Veneziaが1469年。

ヴェネツィアでは、アルド・マヌーツィオ・Aldo Manuzioが1475年に、
既に商業印刷出版所を開き、ルネッサンス文化に大いに貢献した歴史もあり、
他にもたくさんの印刷所があったそうです。

ヨーロッパ圏外では、マロッコが1520年、メキシコ、ロシアと続き、日本は1582年と。
木版刷りはそれまでにもあった訳ですが、これは活字を使った手動印刷、という年で、
これがどこの誰による物か、まだ判明できずにいます。
天正四少年が手動印刷機を持ち帰った、と読みましたが、彼らの帰国は、もう少し後で。
   
日常生活からは消えましたが、500年間続いた活字印刷の歴史がこうして残り、
知る事が出来た、興味深い博物館訪問でした。

最後までお付き合い下さり、有難うございました!

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