・ n.1 ベネットン ・ ファブリカ ・ Fabrica 見学

この水曜の午後、仲間と一緒にベネットンのファブリカ、
コムニケーション・リサーチ・センターの見学に行ってきました。

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このチャンスは先回ブログ・アップの、アーゾロ、ポッサーニョ行きを
ご案内した2人の、現在このファブリカで働き学んでいる若者達の内の一人
の日本人、山本龍さんとのご縁によるものでした。

正直言いまして、その内容が良く掴めないままで出かけ、
  建物はかの有名な設計家安藤忠雄氏の手によるもので、
  世界中から若者を集め、働きながら学ばせている・・、
言葉では分かるものの、実態が飲み込めないままに出かけたと言うのが
正直な所だったのですが、

報道係りの方から説明を受けつつ内部を見て歩き、光溢れる素晴らしい
建物の中で若者達に提供されているもの、
ベネットンが持つ財力と、その大きな影響力を惜しみなく使ってのファブリカの活動。

それらを徐々に感じ取りつつ、私の内に浮かび上がってきた言葉は、
日本の若者達よ、大志を抱け!
今ここで提供されているものを、しっかり受け掴み取り、
日本で、世界で、活躍できる下地にせよ!   でした。
       
こんなに幅広く大きく提供される1年間は、他に類を見ないだろう、と思います。
で案内してくれた報道のバールバラさんにも、
安藤さんの建築の素晴らしさもさることながら、
私はこういう見地でブログに書きます、とお伝えしました。
それを上手く、ここでお伝えできますように!!


写真は、上がまず敷地内に入った所からの眺めで、見えるのはこれだけ。
正面に2つの建物と、左の奥に何か平べったいものがちらと。

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広い空が、土地が広がる、この開放感!



ファブリカと呼ばれる建物、施設、ベネットン・グループの会社はどこにあるか、
地図をどうぞ。 トゥレヴィーゾから北に電車だと1駅の距離、
カテーナ・ディ・ヴィッロルバ・Catena di Villorbaという所。

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左の黄色い線が県道、まっすぐ伸びるグレーの線がヴェネツィアに行く鉄道線、
右のオレンジ色が高速。

ですから、電車でヴェネツィアに行く時戻る時にはすぐ横を通るので
何時も生垣の隙間から見える円柱の並びと、プールを見ていたのですが、
漸くに内部見学を、という事でした。

F A B R I C A
Via Ferrarezza
31020 Catena di Villorba TV, Italy
+39 324 6922774
http://www.fabrica.it



当日は我ら総勢7名、車2台に分乗し出かけましたが、
バールバラさんに案内され、正面の建物の間を抜け、見えたこの眺めに、
いっせいに皆の口から歓声が漏れました!

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素晴らしいお天気、青空の下に広がるこの見事さ!
水に映る光と影の鮮やかさ!


そして、何時も電車から眺めてプールかと思っていたのは、10cm程の深さの水で、
下には荒めの砂が敷き詰められ、石庭の様に筋目が付けられているのでした。



敷地の入り口から見えた右の小さい方の建物が、ヴィッラ・パステーガ・
Villa Pastegaと呼ばれる、かっての貴族の住居で、

こちら正面の1階部分がかっての厩舎、2階は使用人達の住居、
右下に見える開口部が、こちら側からの入り口。

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左側の大きなのがバルケッサと呼ばれる納屋で、1階部分は、運河を通り
ここまでやって来た船が停泊出来るようになっていたのだそう。

ファブリカの設立は1994年、当初はこちらの2つの建物を使っていたのが、
徐々に人数も増え手狭になり、97年頃から安藤氏に依頼し増改築を始め、
2000年に新しくオープン。

「ファブリカ」という言葉自体が固有名詞なのですね。 
普通ファッブリカ・Fabbricaというと工場を指しますが、bが一つのファブリカ、に。

ファブリカ・コムニケーションのリサーチ・センター、 何をどういう形で伝えるか、
という事かと、私なりに考えたのですが、これで良いのかな・・?



円柱に沿って歩き、入り口から振り返っての眺め。

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落ち葉の季節もあるでしょうし、これだけ見事に水場を保つのは大変だろうね、
と言うのが我ら主婦経験者の感想でしたが、ははは、
たまに何かのチャンスがあったりすると、学生達が入り込んだりもするんだそう!



入り口を入った所。 木の床が広がり、見える作品は
トルコの女性作家による「運命」

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横長に、右下から左上に赤ちゃんの浮遊が流れ、次第に抽象化した形に。
戦争で亡くなった母親と赤ちゃんを見てインスピレーションを受けた作家の語りは、
こんな世の中から逃げ出し、母親の胎内に戻る赤ちゃん、なのだそう。

ヴェネツィアのビエンナーレでこの作品を見たルチャーノ・ベネットンが
強い印象を受け、ここに、と。



入り口から、池の方を振り返り・・。
写真でご覧頂いた池と、円柱の列を挟んでも一つ池がありますが、
へへへ、まるで気づかずに通りましたshinkai!

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こちらがベネットンを起業した前社長であり、ファブリカを起こした
ルチャーノ・ベネットン・Luciano Benetton.

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そして、日本の建築家(設計家では無く、建築家と自称されているとの事)
というよりも、既に世界で名高い安藤忠雄氏。
皆さんの方が、私なんぞよりずっとお詳しいでしょうから、ただこの写真1枚を。

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上の玄関部の右奥に、下に下る階段が見えましたが、そこを下ってくると、
この開けた楕円形の広場を囲む建物となり、確かに地下1~2階なのですけど、
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明るさと開放感から、地下の重い印象がまるで無い事に、まず皆が驚きました!



天井部のカーヴ。 素材はコンクリート、白とグレーの2色、
そして窓の金属とガラス。

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確かにコンクリートの打ちっぱなしで、入り口前の水場の設定にも、
カルロ・スカルパの設計に通じる物を感じはするのですが、
水場の下に筋をつけた砂が入っている事は既に書きましたが、

安藤氏のこのセメントの打ちっぱなしは、スカルパのセメントよりはもっと
キメが細かいすべらかさを持ち、ローマ期のフォーラムみたいな広場を作る
構築美の大きさと、神経が行き届いた繊細さが、上手く溶け合っている感じが。

何ぞと、素人の単純な感想をとお見逃し頂きたいのですが、
スカルパは色を使っていても、凝った部分的意匠にしても、
どこかに日本への趣味的感覚、といった物を感じるのですけど、

ここでは色が無くとも、無機質な色に光と影が加わり、幅を持ち、
そしてそしてこの開放感!!  きっとその日その日のお天気の変わり具合い、
季節の空の色もすぐ傍らに感じる事でしょうね。



建物の防火設備の図ですが、建物の様子をどうぞ。
左下部分に水場があり、真ん中に楕円の広場、その右の円形は図書館。

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広場を囲む形の、南側の通路兼小会議場とでも。
奥のディスプレイの写真は、ずっと一人でスライド・ショーを。
左壁上が開口部となっていますが、

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こんな感じの仕事場。
ね、こういうのをみると、私はそわそわして来ます、羨ましさで・・。

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近くにあった映画「ノー・マンズ・ランド」のポスター。
ボスニア戦争を描いたものだそうで、2001年にカンヌ映画祭で、最優秀脚本賞、
そしてアカデミーの最優秀外国映画賞をとった作品。

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で、なぜこれがここに、と思いましたら、このファブリカで、
ここの若者達が、編集をしたのだそう!
他にも中国映画のポスターがありましたが、話を聞きながら、
なんと贅沢な学びの環境よ!!と。



こちらはデザイン部門の仕事場。
たまたま全体ミーティングがあったそうで、空っぽですが、
雑然としたこの雰囲気が良いでしょう?!

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ベネットン・カラーと呼ばれる色を使い、各自がそれぞれ
自分のプロジェクトに従いデザインし、
製品化するのは、それ専用の工場でとの事。
ですから、そのままプロト・タイプと言うか、一点物ですむ物もあると。

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勿論各自がやりたい事に取り組むわけですが、地元との結びつきも大変重要に
考えているので、こういったガラス製品も多くデザインする、との事。

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お皿も勿論見かけましたが、今、ダイキン・イタリアからの要請があり、
無機質なエアコンでも、美しい存在になり得る、に取り組んでいるのだそう。



壁にかかるデザイン作品のポスター。 若者達のセンスが並びます。

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このデザイン部門で働いている山本龍さんも言ってましたが、
今は4月のミラノの会場出品で大忙し中なのだそう。

これは山本龍さんのデザインした、大理石と金属で成形した一輪挿しの花瓶。

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龍さん個人のサイトは  http://ryu-yamamoto.com/

彼らがデザインした作品の製品販売は、ボローニャに店があるそうですが、
こちらのウェブ・サイトで購入も出来るそう。
http://store.fabrica.it/collections/all



こちらが円形の図書館で、こういう本が並んだ眺めは、
どこで見ても涎が垂れそうになりませんか?!

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上の写真の向こうから2人目に横顔の見える方が、ご案内のバールバラさん、
そして我が仲間たち。

図書館で、ファブリカが発行している雑誌「COLORS」なども見ましたが、
興味深い本も教えてもらいました。
「イランの居間・Iranian Living Room」という本で、イランの家庭内、
居間に入り込んだ写真集。

外ではスカーフで髪を覆う女性達が、ヘアダイの方法を見たり、
また犬とは一緒に外に散歩には行けない法律があるそうで、
イランの犬はずっと居間にいるのだそう・・、などなど。
http://store.fabrica.it/collections/frontpage/products/iranian-living-room



広くて美しい図書館の眺めをどうぞ。

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サイトから全体が良く分かる写真を拝借。 天井からは、地上の明かりが。

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図書館の中でのこの方は、現ベネットンの社長のアレッサンドロ・Alessandro、
今50歳くらいと。

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彼の奥さんはデーボラ・コンパニョーニ・Deborah Compagnoniと言い、
スキー大回転の選手だった方で、オリンピックで金メダルを3つも取っておられる美人!


という所で、n.1をお終いとし、n.2に続きます。


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