・ n.2 パラッツォ・ドゥカーレ・ディ・ヴェネツィア

ヴェネツィア観光で欠くべからざる見所の一つ、かってのヴェネツィア共和国の
行政司法の最高権力が集まっていたパラッツォ・ドゥカーレ。

その素晴らしく大きく美しい建物内部のご案内を、よちよちながらも続けさせて
頂きますので、今回もどうぞよろしくお願いいたします。

これは3階の、大評議会室からの眺めだったと思いますが・・。
手前はご存知サン・ジョルジョ島で、奥に一直線をひくのがリド島・Lido。

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この高さだと、打たれた杭がラグーナ・干潟の中の航路を示しているのも良く見えます。
       


という様に、時に開いた窓から外の明るい陽光を眺め、海風を吸いたくなり・・、
そうなのです、平面図では何階の何の部屋、と見えますが、
大きな階段以外の内部の連絡通路はこんな感じでして、まるで暗い迷路的。

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つまり大きな広間の天井の高い部屋は、その階の高さなのですが、それ以外に、
いわゆる中の階が結構あるのですね。 
古いお城などにもよくあるのですが、今回もそんなこんなで、同じガイド・ブックでも
平面図と説明に違いがあり、それも漸くになんとか克服して、
・・いるとは思うのですがぁ、ははは。



この辺りもどこの部分か、・・記憶にございません。はは。

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ふっと気がつくと、窓の外で修復作業の女性がお仕事中。
コツコツと窓ガラスをたたいて、写真OKの許可を貰い、

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ガラス窓の古い接着パテの様な物、石の間の汚れの堆積、そんな汚れを清掃中の
様子でしたが、暑い日に覆いの中、しかもこの高さでご苦労さまです。



ここで一応の平面図をどうぞ。
下に書いてあるPrimo Piano・2階、Second Piano・3階は大嘘で、
これは3階と4階の平面図になります。

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3階の南棟にあるのが、大評議会室・Sala del Maggior Consiglio、
パラッツォ・ドゥカーレの中でも一番有名な大広間ですね。
東棟の先にドージェの住居・Stanza del Doge、いわば元首官邸があり、

で、右に東棟だけがありますがこれが4階部分、ここの真ん中に、
泣く子も黙る10人委員会・Consiglio dei X の部屋が見えます。
       
秘密の行程で見物した書記官の部屋とか、拷問室とかはここには出ておらず、
勿論ね、3階ロビーの横の扉から入り、一挙に狭い階段を上り、
3階と4階の中間にあたる階、と思うのですが・・。

と、例のピオンビ・鉛と呼ばれる屋根裏の牢屋、カザノーヴァで有名ですが、
これは通常の平面図には出ない屋根裏ですね、なども見ましたので、
またこれも最後にご案内を。



これは3階の窓からの中庭の眺め。
白い線が見えますが、この右の直線が、司法官たちの儀式の際の、ええと、
定めの線とでも。

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言葉と意味が曖昧ですんまへんです、本人も良く分からず、はは、ですが今こうして
見ていると、つまりは身分階級の領域を示した線とも納得でき・・。



東棟の素晴らしい眺めをどうぞ!

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ですが、あの、真ん中に3つ飛び出た窓が見えますね、実はですね、あの下に
拷問室があるのですぞ。最後の回の「秘密の行程」をお楽しみに!



ガイド・ブックからの写真でご覧頂く、3階にある、パラッツォ・ドゥカーレの中でも
一番有名な大広間、そしてヨーロッパでも有数の広さを誇る、大評議会室・
Sala del Maggior Consiglio、
評議会と呼んでおりますが、実質的にヴェネツィア国国会に当たる物。

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ご覧の様に柱が中に1本もありませんが、長さ53m、幅25m、高さは12mという
素晴らしい広さで、天井の各絵画は、屋根の桁組みによって上から吊られていて、
フィレンツェのヴェッキオ宮の、あの広い500人広間の天井も、このヴェネツィアの
屋根裏を見てヴァザーリが研究したと言います。

この大広間は平面図をご覧頂くと分かるように、採光に南面に5つ、西面に2つの
大きな窓を持っていて、
ここにヴェネツィア共和国の最盛期には、国政参事の貴族からなる1200名から
2000名にも及ぶ議員が集い国政に関する討議を行ったのですね。

大評議会の様子を描いた絵画をご覧になった方もおいでと思いますが、
この議員たちの座り方がちょっと変わっていまして、
2人が座れるベンチ式の椅子が、正面のドージェ達の座る壇から縦に、
我々日本人の意識では、正面の壇に向かって水平に座ると思うのですが、
部屋の長さに従ってか、縦列に座っていた様子。

どういう風に議事が進行したのか、ちょっと興味深いですね。
隣とお向かいと、大いにお喋り出来る環境ではありませんか?! ははは。

またこの部屋は、外国からの賓客を迎えての煌びやかな歓迎儀式の場、
そして大宴会場となった場所でもあります。
ドージェの在位期間の一番長いフランチェスコ・フォスカリ、彼の在任中の素晴らしく
豪奢な大宴会の様子の記述もありましたので、また最後の回にご紹介しましょう。

天井の下の部分に横長の枠が見えますが、ここにヴェネツィアの代々のドージェの
肖像が2人づつ並べて描かれており、唯一黒幕で覆われた一人は、
55代マリーノ・ファリエール・Marino Farlier、
1355年に国家転覆を企て、中庭で斬首刑になった人物。
     

              
現在のここの装飾は1577年の大火の後のもので、正面には、布に描かれた絵画では
世界一の大きさを誇るティントレット・Tintoretto、本名ヤコポ・ロブスティ・
Jacopo Robustiの描く「天国」、7,45mx24,65m
と、絵の大きさから書き出すと、なにやら香具師の売り込みみたいですが、はは、

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彼の絵は、ミケランジェロのデッサンと師であるティツィアーノの色、と評されるそうで、
絵の暗さがイマイチ好みでなく、すんません、余りまともに鑑賞した事もなく・・、
今回読みました事をここに受け売りで。

現在のこの部屋は1577年の大火の後の装飾と書きましたが、この下にはパドヴァで
活躍していたグアリエント・Guarientoのフレスコ画があったそうで、
他にはジェンティーレ・ファブリアーノ、ピサネッロなどもあったのが消失で残念ですね。

でその後の作品について決めるのに1580年にコンクールが行われ、ヴェロネーゼと、
ヤコポ・バッサーノの息子のフランチェスコに決まったものの、1588年にヴェロネーゼの
死亡により、ティントレットが受けたのだそう。

現在ではこの作品にティントレットの名前しか出ませんが、「天国」は1588年から
92年にかけての制作と言いますから、改めて一人で注文を受けたのかもですね。

なにせこの大きさですから、彼の工房で弟子たちも総動員し、各部分に分けて、
実際に各片にして描きあげ、彼の息子ドメニコが現場での接続にも大活躍したそう。

各片にして、という部分を最初読んだ時はえ?!と思ったのですが、
例えば大作の中に肖像画を入れ込む場合など、仮枠に張りつけたキャンバスに描き、
つまりこの部分はマエストロ自身が腕をふるい、それを大作の中に直接に
縫い付けさせるのが常だった、というので、納得しましたが、

売れっ子作家の工房の仕事模様、またキャンバスに油を使って描く様になった
技法の自由さを大いに感じた事でした。

バッサーノ・デル・グラッパ ・ ヤコポ展を見かたがた
     
       

この大評議会室にある絵画は勿論ティントレットだけではありませんで、
全部で53枚の絵画があるそうですが、
こちらは天井画の一枚、ヴェロネーゼ・Paolo Veroneseのもの。

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吊り天井の様子はこちらでどうぞ。
n.1 フィレンツェ ・ ヴェッキオ宮
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461595223.html   
     
グアリエントについては、
n.2 パドヴァ ・ 黄金の世紀 の 1
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462330115.html
      


これは大評議会室の正面に向かって左にある、細い通路。 平面図にもあり。
ちょうど人一人が通れるくらいの幅で、ドージェたち要人は、大勢の議員と一緒に
同じドアからは出入りしなかったのでしょうね。
一同待つ議場に、すっと横から姿を現す、と舞台効果も満点ですね。       
 
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有名な部屋のご案内を続けますが、ここからは4階です。

四扉の間・Sala delle Quattro Porte、ここもティントレット、ティエポロ、
ティツィアーノの絵画のある部屋ですが、奥に続くサーラ・デル・セナート・
元老員の間や、サーラ・デル・コッレージョ・各省とでも、の聴聞会に出席する
議員たちの待合室だった様子。

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この部屋にある絵画の内、ティエポロ・Gianbattita.Tiepoloをどうぞ。

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この絵には思い出がありまして、ドゥカーレ宮の修復が始まった最初の頃は
覆い幕が現在の様にあの破廉恥きわまる広告ではありませんで、
覆われる部分のドゥカーレ宮の写真でした。

その時の覆い幕の角がちょっとめくられた形になって、中にこの絵が見える、という
アイディアの仕掛けがあり、その時の印象が強く残っています。
どこかにあの時の写真があった筈、また見つかったらご覧にいれましょう。



こちらが泣く子も黙る10人委員会の部屋・Sale del Consiglio dei Dieci.
つまり、国家の安全に対する危機、謀反等に迅速に対処する為の特別委員会
とでも言いますか、独自の強い権力を握っていた議員たちの部屋です。

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塩野七生さんの「海の都の物語」に、ヴェネツィア政府の「政治の技術」という記述に、
権力が唯一の人物に集まらない様に、複雑で重複する仕組みが描かれておりますが、
それでもなお長い世紀の間には様々な問題が起こっています。



こちらはその10人委員会の部屋の天井画、ヴェロネーゼ作。 上の四扉の部屋の
ティエポロの絵共々、主題はそれぞれに貢物を受け取るヴェネツィアの寓意画で、

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・・幸あれと願うより、こんなに儲かっている、という意味?!ははは。



さて、ヴェネツィアの豪華絢爛な部屋はまだまだたくさんあるのですが、
下の階に下って頂き、

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こちらは2階の武器庫にあるという、・・記憶にありませんが、ガッタメラータ・
Gattamelata・と呼ばれる有名な傭兵隊長の鎧兜をガイド・ブックから。

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ガッタメラータというニックネームの由来については、その狡猾さが隠された
彼の優しいやり方、からとか、彼の母親の姓のガッテッリ・Gattelliからだとか、
はたまた最近明らかにされた研究では、彼が戦いで被った兜の頂きにある飾りが、
蜜色の猫の形をしていたからとか。

いずれにしても、ガッタが雌猫ちゃん、メラータは蜜とか蜜の甘さを言いますから、
昔聞かされた「化け猫」ではなさそうですね。

ウンブリアのナルニ・Narni出身、エラーズモ・ダ・ナルニ・Erasmo da Narniが本名、
フィレンツェ、教皇の元で働き、そしてヴェネツィアに。
対ミラノのヴィスコンティ家との戦いで目覚ましい働きを見せ、ヴェネツィアの総司令官
にまで上りました。

パードヴァのサンタントニオ聖堂前にあるドナテッロ作のガッタメラータ将軍騎馬像は、
教科書にも載っており、皆さんも良くご存じと。

ナルニの町も大変素敵なウンブリアの町で、あそこのパラッツォ・コムーネにある
ギルランダイオの祭壇画、あの素晴らしく美しく見事な祭壇画は忘れられませんが、
・・町のご紹介もまだ残っておりました。



という訳で、お待たせいたしました、
4階の素晴らしい天国の部屋をご覧頂いた後は、牢獄にご案内いたします、はは。

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初期のドゥカーレ宮1階にも牢獄があったのが、収監者が増えたか、17世紀になり
運河の向こう側に新しい牢獄の建物が出来、有名な溜息橋で繋がるようになります。



今回見た牢獄は如何にも小綺麗に修復済みで、ひんやりした空気、薄暗い石牢、
分厚い頑丈そうな扉はともかくも、大部屋などはちょっとした寄宿舎並み、とでも。

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一番最初、昔に見た牢獄はこんなちょろい物ではなく、暗い暗い怖気立つ程の
石の穴倉だったのをよく覚えています。
今頃は様々な思惑を恐れ、見物の子供たちへの影響も考え、
適当な所を見せているのでしょうね、きっと。

追記:牢獄についての感想、昔見た監獄は、という件ですが、確かに
   「ポッツォ・井戸」と呼ばれたもので、大変酷い物だったと記憶しますが、
   あれはドゥカーレ宮の下にあり、現在は見学域に入っていないのではないかと
   気が付きました。 
   というのも、牢獄見学は溜息橋を渡り、ドゥカーレ宮の東の新しい監獄の建物
   だけなのですね。
  「秘密の行程」で見る事の出来る天井下の牢獄「ピオンビ」は貴族も入れられて
   いたもので、「ポッツォ」よりはましの部屋で。2019.3.11


これは、溜息橋の上の窓。 ガラスが嵌っていて、手を振るなんぞは出来ません。

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小さな隙間から覗く世間、花のヴェネツィア。
この窓を見る為の、今日もまたいっぱいの観光客様さま。

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という所で、ドゥカーレ宮のその2をお終いにして、
また次回をよろしくお願いいたします!
     
このドゥカーレ宮を始める前は、長い説明ばかりで見て下さる人も少ないかも、
と心配しましたが、変わらずの訪問者数で本当に励まされています。
有難うございます!  よたよたながらも、頑張りますです。 
      
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