・ n.1 ソンチーノ ・ 中世の大要塞と、ユダヤ人の印刷所

今日は、小さな村とも言えそうな、ソンチーノ・Soncinoのご紹介です。
  
中世のミラノ大公、スフォルツァ家の素晴らしい要塞・Rocca Sforzescaが残り、
また、15世紀のユダヤ人の印刷所であった家が、今博物館となっている、
思いがけない程の歴史を持つ、城壁に囲まれた町、です。

先週、霧の続く日に行ってきましたが、写真が多いので2週に分け
ご覧頂きます。  では、どうぞ!

なんとも素晴らしい威容を見せる大要塞で、ここは映画「レディホーク」にも
使われているのですね。 はい、先日DVDを見て、間違いない事を確認済です!

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こちらが一番の主要な正面の門ですが、ご覧の様にここだとそう大きくも見えず、

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平地の平城の様に見えますが、門に架かる橋は勿論跳ね橋で、
その下がぐっと深い空堀になっていて、外の堀には水が入っていたそう。

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この要塞は、月曜以外の午前中見物でき、印刷博物館との共通入場券で、
なんと、たったの3エウロ。 おまけにシニア料金もあり!
 
町に着いたのが午後で、要塞も閉まっていましたが、霧が少し晴れ、
薄日が射して来たので、下調べを兼ね、写真を撮りに出かけました。

追記、訂正
ロッカと印刷博物館の共通入場券は5エウロ、シニアは3,5エウロに
但しロッカのみの見学で、火・水・木・金の14時~16時だと3エウロ
開館 11月~3月 火曜~金曜 10時~12時 
         土曜、日曜、祭日 10時~12時半 14時半~17時
   4月~10月 火曜~金曜 10時~12時 14時~16時
         土曜、日曜、祭日 10時~12時半 14時半~19時
   いずれも月曜閉館
印刷博物館の開館時間は、ご案内の時に。
サイトはこちら http://www.prolocosoncino.it/Orari%20e%20Costi.php



こちら、要塞の北西部の外堀。

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映画「レディーホーク」では、この堀に水がたたえられ、手前左側の跳ね橋から
騎馬兵士が行き来していました。
今、跳ね橋は上げられていますが、翌朝見物時は跳ね橋が下ろされていて、
様子が偲ばれました。



上の写真に見える様に、外堀部分は緩やかな傾斜で降りれるので、
そろそろと行ってみました。

パッと見える感じとは大変な違いで、奥行きが広く、要塞の壁の高い事に威圧。
真ん中に低く見える半分切れた橋は、イザという時、隠れ跳ね橋が下りての
逃走用、と言うのを、翌日の場内見物で知りました。

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要塞全体の構造は、四角な中庭が2つ続き、それぞれを繋ぐ角に塔がある形で、
その4隅の塔は、上の写真に見える西端のみが円形です。

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こんな風に丸く、上部にテラコッタの聖母子像が納められています。



聖母子像。 残念な事に、キリスト像の頭部が欠けてしまって。

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外堀のすぐ北側を、川が流れます。
    
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この川が町の北側から東を囲んで流れ、要塞にも入り込み、
そして水車を回し、かってこの町は養蚕業も盛んでした。
     


要塞をぐるっと一回りしつつ、周囲に広がる野原、畑を眺めます。

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トラクターが動き、畑仕事の準備も進み、家の裏庭を通ると、
暇なワン君達が走りより・・。 春近し!



で、ソンチーノなる町はどこに?
私も1年前まで聞いた事もありませんでしたが、ガルダ湖畔の製紙業について
調べていて、偶然この町の存在を知りました。
でサイトで見ると、なんともの凄い要塞が在るではないですか?!
ソンチーノがちょうど、ヴェネツィア共和国とミラノのスフォルツァ領との境界にある為
築かれたのですね。
      
おまけに相前後して読んでいた本により、ソンチーノでエッツェリーノ・ロマーノ3世が
死んだ事を知り、行ってみたくて堪らなくなり、今回漸く訪れるチャンスが。

ヴェネツィアからだと、高速でパドヴァ、ビチェンツァ、ヴェローナ、そして
ブレーシャから南西に44kほど。 我が家からだと、総計275kほどの距離に。
地図北上のベルガモから E64(A4)を西に行くと、ミラノ。

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ソンチーノから西に3kほどの、アグリツゥリズモ・コルテーゼ・Corteseに2泊しました。
http://www.allevamentodelcortese.it

追記 訂正:記事に書いているサイトをすべて点検しながら移していますが、
      今宿は無くレストランのみ、そして馬の飼育をしているのを確認。



ここは障害競走用の馬の飼育、教育をしているのですね。
初めてお馬ちゃんの鼻ずらを撫でさせて貰い、暖かい、柔らかい! 感激!
このお母さん馬は、私が柵に近よると、こんな風に早速近寄ってきました。

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このお馬ちゃんは3歳になったところで、横棒を渡る訓練を始めた所。
こんな風に地面に寝かせた横棒を横切るのが、右の最初の1本は楽に渡るのが、
この2本めの前でためらいます。

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教育係のお兄さんが、そばにも寄り、ホラと励ましてやると渡り、その繰り返し。
       
TV中継で見る、150センチとかの高さの横棒を見事に飛び越えるお馬さんも、
最初は、こんな訓練からなのですね。 4歳になると、飛び越える訓練が始まり、
日本の競馬のように、走るサラブレットとは馬の種類が違い、
遅く始める代わりに10歳15歳になっても、現役の競走馬なのだそう。



暫くすると少女たちが集まってきて、乗馬教室も始まりました。
2日間で6人見ましたが、いずれも少女のみ! イタリアの男の子はサッカーだけ?

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この少女はまだ幼く、10歳になっているかな?
この日の彼女は手綱を持たず鞍を持ち、時に言われて、片手を横に上げたりの
練習を。 右がここのご主人、フランコさん。



この少女は、なかなかの美少女。 
それに、こんな少女達が大きなお馬さんを御しているのは、素敵な眺めです!

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上の少女の後、4人一緒の練習が始まりました。
この彼女がどうやら一番の年長で、と言っても、13,4歳と思うのですが、
一番上手く慣れていました。 そして、彼女もなかなかの美少女。

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2棟ある厩舎には今18頭ほどいるそうで、窓から顔を出すのを、順番に
撫でさせて貰いました!
一頭撫でると、すっと目を細めてくれるのがいて、こういうのは、本当に嬉しい!!



このチビちゃんは、2週間半前に生まれたそうで、お母さんが神経質になり、
見せまいと、ひっきりなしに、前を行ったり来たり。
柵の位置が高く、隙間からやっと1枚。 チビちゃんの鼻先が切れてしまいましたぁ。

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馬達だけでなく、この農場には、家鴨、鴨、鶏、それも色々な種類がたくさん!
こんな、半身色分けの、ヤギ君も。

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こんな様子では、どちらがオスでメスかも分らず、小さいながら角も持っているので、
頭突きを食わされないように、とこちらは用心。
が、彼らのこの顔つきを見ると、これは何者? と向こうも思ったようで・・!

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それに、これは何?! 家鴨の大きな様でもあり、ガチョウの血も?!
そしてこの後の、白黒と、白茶黒班も何者? そしてこの2羽の関係は?!
      
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家鴨どもといったら、まったくうるさい奴らで、警戒警報の叫びを上げながら、
金網の向こうをついて回るのです。



翌朝は恐れていた通り、前日よりももっと深い霧の朝となりました。
宿のすぐ前の、小川沿いの道。

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視界は、どの位かな? 部屋の窓からは、まったく真っ白でしたね。



こちらが母屋で、大きな農家。 一泊朝食付きで、25エウロ。
私は夕食も頼み、ワイン1本づつ飲み、勿論部屋に持ち帰り、余り!
計70エウロ払いました。 安い!!
     
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下宿しているらしい若者男女1名づつとテーブルは別ながら、朝食と夕食を。
これが意外と楽しかった、と言うのも、彼のほうがゲイで、それで彼女は気軽に、
大いに喋るのですね。
話の内容までは追求せずでしたが、彼の如何にもゲイらしい、話しぶり、しぐさに
私は、大いに傍で楽しみました!



朝まず印刷博物館に行きましたが、ここのご案内は来週にし、
要塞の内部をご覧頂きますね。

これは要塞の正面入口、跳ね橋の下の部分。
この部分は空堀ですが、大変深く壁の傾斜は、直立に近く。

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入口を入った最初の中庭。 この右手に、先回ご覧頂いた跳ね橋に通じる、
門があります。

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この中庭が、映画「レディーホーク」に何度も登場していましたっけ。



上の写真に見える中央部から逆に、最初の中庭、入口部分を見た所。
この部分も、周囲の壁の上に通路が見えますが、現在は登れません。
   
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入口脇に見える、切符売り場の女性に尋ねました。
この要塞で、エッツェリーノ・ダ・ロマーノが死んだ、と読んだんですが・・。
彼女は、それは伝説の類で、実際はコムーネの建物で死んだのだと思う。  
コムーネに牢があったというから。

それに彼が死んだ年には、まだこの要塞はなかった、と、いとも明快な答えを。
まさに!!  

エッツェリーノは1259年に死に、この要塞は1473年に建設されたのでした!
誰だぁ、数字に弱い頭に、こういう嘘を吹き込んだのはぁ?!

エッツェリーノ・ダ・ロマーノ ・ Ezzelino da Romano III
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461059981.html

昨年、彼についての本を2冊、小説と、郷土史家の書いたものを読みました。
半伝説的人物にもなっており、おどろおどろしくもあり、なお魅かれる部分もあり・・、
       
       

こちらは2つある中庭の奥の中庭で、広く四角く広がり、左に井戸があります。
中庭の四隅に塔が立ち、見えるのは南西の塔で、
下の右に続くオレンジの建物は住居用だったそう。

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建物手前に見える階段から、周囲を囲む、壁の上に登る事ができます。



オレンジ色の住居用建物の、軒下。
裸身の男性像と、花柄、子供・天使? との組み合わせ。

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先ほどの階段を上がった上、南西の角の塔は礼拝堂に使用されていた様で、
消えかかった聖母像も見え、中央に、スフォルツァ家の紋章も見えます。
       
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両脇に、木の下に座る犬の姿、そしてその後に神々しい手が見えます。



鮮やかな色が残ります。 この犬の姿、そして神の手、木。

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周囲を囲む壁の上の道、2Mほどの幅は十分にあり、真っ直ぐに四角く
中庭を囲みます。 これは南西から北西の円形の塔に続く道。

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上の道の途中より、中庭への入口の門部分を。
全てが、煉瓦の積み重ねで、まさに圧倒される量感です。

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塔の上の道の隙間から。 彼らは、印刷博物館でも出あったベルガモの中学生。
引率の先生と総勢15,6人の小人数で、土地の女性ガイドが大変詳しく説明を。

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イタリアの、こういった土地のガイドは大変に熱心に詳しく説明してくれますが、
こういった制度は、余り日本には無いですよね。
相手が理解するかどうかよりも、それ以前の種まきの作業に似ている、
と思いますが、大切なチャンスを与えているのではないか、と思います。
       


北東角の塔と、奥の中庭への門。 塔の下に張り出した屋根が見えますが、
あそこから、地下に階段が付いていて、恐る恐る降りてみました。
暗い電球で、こういうのは余り好きでないのですが・・。

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ありがたい事に、牢ではなく、緊急時の逃走用の跳ね橋、今回最初の方の
堀の底に降りた時の写真に見えた、に続く地下道でした。



とにかく壁が厚く、その厚みを利用して何箇所か、出窓の様ににしているのを 
見かけました。 この出窓は、上の写真の塔の横に。

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要塞正面に見える由緒ありげな建物。
左に見える道は、要塞の正面の門から真っ直ぐに、町に続く道。

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西側の壁の上からの農家の眺め。 いかにも、中世の村の家、の面影。
向こうの畑は、すっかり霧に霞んで。

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南側の壁の上から、町中が見えます。 左の時計の塔がコムーネの塔で、
その左に丸く壁が見えるのが、コムーネの建物。

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要塞入口の女性が、このコムーネに牢があったというから、
多分エッツェリーノはそこで死んだのだろう、と教えてくれたので、
では、とコムーネに行き、受付の紳士に尋ねました。

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正面の建物の右手に、広場を囲む形で現在のコムーネの建物が続いていて、
受付のシニョーレは、私の質問にこう言いました。
今の建物は、改装されて大きくなり、牢もありません。 
当時は多分、隣の塔の下に牢があったのでしょう、と。

という事で最後は、塔の下に現在あるモダンなバールに行き、熱いココアを。
ゲーム機が並び、エッツェリーノの面影を偲ぶよしもなく・・。 でも、納得!

という事で、次回は、印刷博物館のご案内です。お楽しみに!


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