今日は18~19世紀にかけての大彫刻家アントニオ・カノーヴァ・
Antonio Canovaの生家、現在は塑像博物館で彼の作品原型が
見れる、と、彼自身が眠るテンピオ・Tempioへのご案内です。
Antonio Canovaの生家、現在は塑像博物館で彼の作品原型が
見れる、と、彼自身が眠るテンピオ・Tempioへのご案内です。

地図をどうぞ。 彼の生家、塑像博物館、そしてテンピオのある
ポッサーニョ・Possagnoは、アーゾロ・Asoloの北、約11Kの距離に。
ポッサーニョ・Possagnoは、アーゾロ・Asoloの北、約11Kの距離に。
近い距離ではあるのですが、一山越えて、という印象で町に到着です。

ポッサーニョの町の人口は2000人程、海抜276m、これは博物館前の
駐車場からで、この右手に博物館・ジプソテーカ・Gipsptecaと生家、
そして生家前から北前方まっすぐ山の手に、テンピオが臨めます。
駐車場からで、この右手に博物館・ジプソテーカ・Gipsptecaと生家、
そして生家前から北前方まっすぐ山の手に、テンピオが臨めます。

一山越えて到着した田舎町とは思えない豊かな雰囲気があります。
世界中に有名な大彫刻家の生地、という誇りも勿論あると思いつつ、
今回調べて知った事なども後ほど。
こちらが塑像博物館・ジプソテーカ、濃い緑色の扉が入り口、隣は市役所。
ちょうど良い具合に、素敵な女性が・・。

上の写真の入り口部分に切符売り場とブックショップ、通路に出て左手に
生家博物館、そして正面奥に見えるのがジプソテーカ。
生家博物館、そして正面奥に見えるのがジプソテーカ。

この通路右手にも作品が見えますが、左手はお庭。
上の写真の、ワン君。 まどろむ若いご主人をじっと見守る表情が何とも!

館内は写真禁止で、これが買って戻った絵葉書で、大いに不満。
というのも、
というのも、

館内に入った途端に受ける物凄い迫力、張り詰めた空気の圧迫感、
天井の高さ、静かな光に満ちた館内の色・・
まるで印象が違います! プロの写真でこうなのですから、
是非お出かけになる事をお勧めします!!
是非お出かけになる事をお勧めします!!
それはともかく、ここには世界中に散らばる彼の作品の塑像原型が
約100体集められており、数と質、大きさに圧倒されます。
今回の作品写真はすべて絵葉書、カタログからご覧頂きます。
約100体集められており、数と質、大きさに圧倒されます。
今回の作品写真はすべて絵葉書、カタログからご覧頂きます。
塑像原型というのは、実作品の大理石像を造る前段階の、
石膏やテラコッタの実物大原型で、
石膏やテラコッタの実物大原型で、

大理石像の冷たくも柔らかい、奥から光が射す様な美しさはありませんが、
作品の素晴らしさは十分に感じ取れます。右手前は「マグダラのマリーア」。
アントニオ・カノーヴァの生涯についてはたくさん資料がありますから、
詳細は省きますが、

1757年~1822年、65年間の生涯。 4歳で父親が亡くなり、石工彫刻家で
あった祖父に育てられ、はじめはヴェネツィアで学び、そしてローマ。
若い時期からその才能を認められ、ロココの過剰装飾を脱し、
洗練された静謐な偉大さを持つ古典的作品を生み出しました。
あった祖父に育てられ、はじめはヴェネツィアで学び、そしてローマ。
若い時期からその才能を認められ、ロココの過剰装飾を脱し、
洗練された静謐な偉大さを持つ古典的作品を生み出しました。
ローマのアトリエの塑像群をここに運び、船と牛車で、という記述に時代を偲び、
ジプソテーカを作りあげたのは、遺産相続した義弟の(母親が再婚しての)
司教様との事。
ジプソテーカを作りあげたのは、遺産相続した義弟の(母親が再婚しての)
司教様との事。
上の肖像画(Thomas Lawrence作)に良く似ていますが、
こちらは自像。こちらが断然素敵ですねぇ!

塑像原型というものですが、実物にはこのように小さな青銅の釘が打たれていて、
実際に大理石像を彫りだす時の寸法を測るための目印なのだそう。
つまり師匠の作った原型に従い、工房の弟子、助手が作るための目安ですね。
こちらがエルミタージュ美術館所蔵の有名な「三美神」。
目前の近さで堪能いたしました。 やはり素晴らしい!
目前の近さで堪能いたしました。 やはり素晴らしい!

見ていて思ったのは、彼の、または男性の、理想の女性像を彫っていると。
顔はあどけなく、若く清楚、そして体は熟し加減、というか。
そう、美しく、セクシーさも程よく上品に。
顔はあどけなく、若く清楚、そして体は熟し加減、というか。
そう、美しく、セクシーさも程よく上品に。
それにしてもと、目印の釘の意味を受付で訊ねていましたら、面倒臭くなったか、
この小冊子をくれました! やったぜ、ははは。
「ポッサーニョのアントニオ・カノーヴァ・ジプソテーカの塑型とモデル」
この小冊子をくれました! やったぜ、ははは。
「ポッサーニョのアントニオ・カノーヴァ・ジプソテーカの塑型とモデル」

この像は、ワシントンのナショナルギャラリーの「あごに指を添える踊り子」
型取りした石膏像の線と、目印が良く分かりますね。

1802年、彫刻家志望者への初歩教育の為の石膏型取りの説明図で、

制作の工程 まずはデッサン。 (Leopoldina Esterhazyの記念像)

絵の下描き段階に当る、テッラコッタの像。
デッサンから、形のイメージを引き出したもの、といえましょうか。
デッサンから、形のイメージを引き出したもの、といえましょうか。

そしてこちらは石膏の実物大のモデル像で、目印の釘も打たれています。

上のテッラコッタの像とこの石膏像の間にもう一段階、実物大のモデルが
粘土やテッラコッタ、蝋などで作られ、まず外側の型が取られ、そして支えを入れての
実物大のこの石膏像、という訳ですね。
測定目印の釘の存在が気になって調べ、工房にやはり12人の助手がいた事を
知りました。 彼らがかなりの部分までを彫り、最後の仕上げを師匠自身ですね。
カノーヴァの大理石彫像の特徴としては、更に最終研磨の見事さがあるといい、
これにより、大理石像特有の美しさを引き出したと。
知りました。 彼らがかなりの部分までを彫り、最後の仕上げを師匠自身ですね。
カノーヴァの大理石彫像の特徴としては、更に最終研磨の見事さがあるといい、
これにより、大理石像特有の美しさを引き出したと。
このレオポルディーナの記念像は、彼女の一族の城にあるそう。
最初にご覧いただいた展示室に沿って、カルロ・スカルパ設計の新館があり、
ご覧のように明るい展示室で、最初のイメージ具体化の為の小モデルも展示。
手前左に「踊り子の像」、そして一番奥に「三美神像」

実はこのジプソテーカに行く前に、カルロ・スカルパ設計の「トンバ・ブリオン」を
見に行ったので、ここの新館の事は知らずに行ったものの、すぐ彼の作品と分かり。
それほどに印象深い、光と水の特徴ある設計です。
生家博物館の上階から庭と左手の棟。 ここにヴィデオ展示室や台所部分が。
ローマの松ですね。
ローマの松ですね。

逆の眺めで、庭を挟み、左手に見えるのがジプソテーカ。

庭の中の道の手前に・・
足の石像が。

カノーヴァはこの生家によく戻っていた様ですが、博物館の為に義弟が運ばせたか、
いかにも古代ローマを偲ばせます。
訪れたのは7月下旬でしたが、庭にはまだ可愛い薔薇の花が。

台所の、長い浅い石の流し台と銅の鍋。18世紀から19世紀の初頭というと、
近いようでもあり、遠くもあり・・。

いかにもアトリエの雰囲気の部屋が、家の最上階に。 トレッタ・小さい塔と呼び、
生家にいる時はここで絵を描いていたといいます。
生家にいる時はここで絵を描いていたといいます。

天井の高い部屋にたくさんの胸像があり、高校の美術室を思い出しました!
こんな衣服の展示もありましたが、時代の雰囲気ですねぇ。

ローマではヴェネツィア共和国大使館に寄宿し、後に共和国がナポレオンに倒され、
美術品がフランスに分捕られた際には、彼の分捕り品をイタリアに取り戻した、
そんな一面も彼の人生に。
生家のすばらしい一室には、あの「パオリーナ・ボルゲーゼ」の塑像も。
最初にもご覧頂きましたが、2つ折りの絵葉書で。

生家には、彼の絵画作品、油絵テンペラ画も展示されており、男性の肖像画等は
素晴らしいのですが、女性を描いた物は、上手ながら並の出来、失礼!
博物館のサイトはこちらに。
http://www.museocanova.it/
http://www.museocanova.it/
博物館は 月曜休館、12月25日と元旦、復活祭がお休み
開館:火曜~土曜 9時半から18時 日曜 9時半~19時
開館:火曜~土曜 9時半から18時 日曜 9時半~19時
ジプソーテカ前の道を渡ると、遥か、登り道の先にテンピオ・寺院が見えます。
素晴らしい視覚効果!

参拝道が延々と、波打ちながら続きます。
いよいよ辿り着くと、この空間!

ローマのパンテオンにも似た巨大なテンピオ。 彼自身が設計し、自費で
工事に掛かったそうですが、実際に出来上がったのは没後10年、
ここに彼のお墓があります。
工事に掛かったそうですが、実際に出来上がったのは没後10年、
ここに彼のお墓があります。
テンピオの前面にこんな風に石のモザイク。
角にはちゃんと細い石が嵌め込まれ角度を出し、嬉しくて笑いが出ます。

丸い建物部分はこんな柄。 幾何学模様が大好きで・・。

遠くからだと、前列の円柱のみ見えるのですが、ロッジャ部は2列の並び。
何とも凄い空間。
何とも凄い空間。

円柱の太さをご覧下さい。

パンテオンにも似たテンピオを、自分用に欲する感覚。
この辺りになると良く分かりませんが。
円柱の手前に見つけた、靴の泥落し。こんな半円形は初めて見ましたが、
当時は地道だったのが分かりますね。

テンピオ内部には、脇の小さい細い入り口をくぐる感じで入りますが、
内部は円形の教会で、今回は内部ご案内はパスで。
テンピオの前庭からの眺め。 東に向かい、小さい村が幾つも続きます。

参拝道の脇道に並ぶ家々。

大変豊かな感じのする町、と書きましたが、近辺から産する粘土を使っての
テラコッタの煉瓦焼きが、国中に出荷されていたそう。
その生産で潤った村なのですね。
そして第2次大戦時には村中で、クロアチアからの避難ユダヤ人の
十幾つもの家族を受け入れ匿い、ドイツ軍のパルティザン狩りが酷くなっても
何家族もが匿い通し、後年表彰されたとの事。
出会う町の人々の応対が少し違うのも、今迄の深い歴史にも寄るもの、
との思いも持ちました。
参道から外れた道を下って行くと、こんな古い家の壁があり、
そして葡萄畑、小さい果樹園・・。

訪れた日は暑い盛りでしたが、すでにこんなに大きな梨の実。

カタログにあった地図で、ヴェネトの様子を。 太い線が高速、赤い線が
幹線道路、ポッサーニョまで、トゥレヴィーゾ・Trevisoから45Kの距離。

トゥレヴィーゾからバスの便の乗り継ぎ、またはベッルーノ迄電車で行き、
そこからバスで、という方法もある様子で。
Moovit のサイトでどうぞ。 日本語も選択できます。
https://moovitapp.com/
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