・ 時計塔探訪 ・ ヴェネツィア、サンマルコ広場 

ヴェネツィアのご案内が続きますが、今日はサン・マルコ広場にある時計塔を。

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塔の内部から機械の仕掛けを見つつ一番上のテラスに上がり、時を打つムーア人2人、
そして塔の上から広場を眺める、というコースに参加したので、ご覧頂きますね。

上は古い写真ですが、サン・マルコ広場の海からの眺め、
正面一番奥に時計塔が見えますが、あれに上ります!



時計塔は、かってのヴェネツィア共和国の政治の中心であったサン・マルコ広場から、
商業の中心であったリアルト橋界隈を結ぶメルチェリーア通り・Mercerieの
入り口に位置し、

塔の一番下がメルチェリーア通りのアーチで、その上に青地に金の美しい星座表と
ローマ数字の大時計があり、

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その上に前面に半円張り出しテラスを持った聖母子像、そしてヴェネツィア共和国と
その守護神聖マルコのシンボルの有翼のライオン、
一番上に大きな鐘とそれを打つ2人のムーア人像、という構成。

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お気づきでしょうか、ヴェネツィア共和国シンボルのライオン像が、
聖母子像よりも上にあるのですね。

ヴェネツィア共和国は自国の政治に教会権力の介入を嫌い、以前はヴェネツィアの
ドゥオーモであったサン・ピエトロ教会は本島の一番東の端っこに置かれ、
サン・マルコ聖堂はドージェの私的礼拝堂という格付けで、
現在の様にヴェネツィアのドゥオーモとなったのは、共和国崩壊後の事なのですね。

時計塔の建設は1493年に始まり3年後に完成、当時のドージェは
アゴスティーノ・バルバリーゴ・Agostino Barbarigo、74代目ドージェ・Doge
・総督に当たり1486~1501年の任。

白い美しい髭で有名な彼の肖像は、ムラーノ島の教会サン・ピエトロ・マールティレの
ジョヴァンニ・ベッリーニの絵の中に聖マルコや聖母子と共に描かれていて、
こちらでご紹介を。
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/463330379.html
       
大変裕福な家の生まれで、この時計塔や幾つもの教会の建設、サン・マルコ聖堂の床の
大理石モザイクへの張替、キプロス島併合、そう、キプロス女王であった
カテリーナ・コルナーロのヴェネツィアへの帰還を迎えたドージェだったのですね。

対トルコ、フランス戦略等など大奮闘の働きが知られていますが、今回、以前購入の
ドージェ・I DOGI Claudio Rendina 著 を読んで意外な事を。

彼の前ドージュはマルコ・バルバリーゴ・Marco Barbarigo、
アゴスティーノの兄に当たり、こちらはドージェになり僅か1年で死亡。余りに短い任で
死亡因についても憶測がある様ですが、記録にも余り残っていない人物との事。

アゴスティーノはドージェになった当初、その振る舞い、見栄え、働き振りから称賛を
受けたものの、次第に栄華を誇り退廃を囁かれるようになり、遂に没後に
査問会が開かれるとでるわでるわ、
権力を利用しての金銭受け取り、親類縁者への良き計らい、密輸等、
凄いのは近隣国マントヴァやリミニの君主との機密漏洩の談合も。

ですが結果は証拠が無い、という事で今に至るもドゥカーレ宮のドージェの肖像群より
外される事なく、と。
       
ヴェネツィアのドージェは一種のシンボルで、彼に実権が渡る事はない、等と
今迄知らされておりましたが、政治的な決定権は持たないにしろ
一国の君主の立場にあれば、美味しい話も裏も色々なのだ、
と改めて世間を知った想いです、ははは。

カテリーナ・コルナーロについては
       
       

この時計塔への入場見物、そしてドゥカーレ宮の秘密の行程は一般公開は無く、
予約での申し込みです。

こちらがドゥカーレ宮の秘密の行程
http://www.museiciviciveneziani.it/frame.asp?pid=595&z=2&tit=_EN_biglietti 

どちらもガイド付きの見物で、イタリア語、英語、フランス語のコースのみで、
オンライン申し込みOKですが、時間詳細などサイトでお確かめ下さいね。      
私は電話で申し込み、クレジット・カードの支払い、コード番号を教えて貰いますが、
確認メールも届きます。

料金は現在、時計塔が12エウロ、ドゥカーレ宮が18エウロですが、
両方一緒に申し込むと、時計塔の方が7エウロの子供料金に!

ドゥカーレ宮は一般コースが13エウロで、秘密の行程見物の後、一般コースも
自由に回れますから割安という計算です。

確認メールを印刷して持参、ドゥカーレ宮は切符売り場の予約窓口に、
時計塔の方は、サン・マルコ広場の西にあるコッレール美術館の切符売り場に行くと、
切符と共にこの様な直径3,5cm程の紙ワッペンをくれますから、見える所に貼り付け、

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ドゥカーレ宮の方は中庭西の集合ポイントに、
時計塔は、塔の下の扉の前に定刻に。

所でこのワッペン、左上が時計塔、右下がドゥカーレ宮の参加用と思われるでしょう?
当然ながらね。 でも実はこれがイタリアの不思議で面白い所でして、事実は逆!
なぜそうなのかなんぞは、イタリアに長いと考えませんです、ははは。



時計塔見物の集合場所。 リアルトからの道がサン・マルコ広場に出る右角に
ある、この扉前。

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はい、そう。 道のお向かいにはジェラートの売り場がある所で~す。



ガイドの女性が管理人と共に降りて来て扉を開け、我々10名程の見物人は
狭い階段を上り、荷物を階段脇に、そしてまた狭い階段を上がりこの部分に。
       
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写真は自由に撮れますが、これより上は尚の事狭い螺旋階段で、リュックや鞄など
少し大きい物は置いて上がります。



この部分は外からだと時計のある階ですが、中は2層に分かれていて、
現在のこの部分にかっては時計の技術管理者が住んでいたのだそう。

日本でも昔は、時刻の定めは日の出と日没に従い、つまり夏と冬では時の長さが
違っていたと言いますが、やはり西洋でもその通りで、その差は手で調節されたのだと。

複雑な作りで、長い世紀の間に改修も2度ほど行われましたが、
それでも手仕事の調整で、最後の技術者も年金生活に入り、     
長期にわたる時計の停止、そして修復期間が続き、漸く2006年春に、
新たに時計塔がお披露目になりましたが、スイスのピアジェが請け負ったこの修復で、
遂にオール・オートマティックに変えられました。

で、かっての技術者の部屋に大きな分銅が下がります。 部屋の隅には
昔の銅製の分銅が見えますが、時計の文字盤を動かすだけでなく、
一番上のテラスの時の鐘を打つムーア人にも繋がっている仕掛けです。

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ガイドの女性が早口のイタリア語で説明してくれるのですが、見る撮るで忙しく、
日本語で説明して貰ったとしてもこういうのには弱いので、まぁ、・・眺めます。



部屋の隅の丸窓から広場を一枚。 この窓は上の時計の文字盤写真の右下に
見える窓ですが、機械部分の見える上階に当ります。

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高さは優に2mを超えると思いますが、古い機械の写真に比べ、現在のは
スリムに背が高く、コッ、コッと歯車が秒を刻む部分、次々と連動して動く歯車、
機械がお好きな方には、堪らないでしょうね。

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で、も一つ上階に、聖母子像のある階に出ます。

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聖母子像の部分はなぜかいつも写真を撮っておらず、最初の全体のをご覧頂くとして、
聖母子像の両脇に、向かって左に「ローマ数字で時刻」が、
右に「アラビア数字で分」が出る窓が見えますが、

あの中の仕掛けはこうなっているという訳で、紺に白の数字部分は光を通し
大変美しかった。



聖母子像の前に半円形に突出すテラスには、かっては毎時に、現在は年に2日、
この仕掛け人形が登場し、

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左のローマ数字の窓から出て、聖母子の前で天使はラッパを口に、
東方の三博士は腰をかがめつつ手をターバンに当て、ターバンが少し頭から浮いて
聖母子にご挨拶をし、右の窓に消えるという訳です。

上の写真の文字盤の下に円形の鉄輪が見る、この窪みに所定の人形が置かれる仕掛けで、
    
現在この仕掛けが見れるのは1月6日と、キリスト昇天の日・Ascensione、
復活祭から40日後、の2回で、この日は毎時、仕掛け人形がお出ましだそう。
来年早々、見に行こうかな?


聖母の口から Maria, Chi xei sti qua`? と出るのは
ヴェネト訛りで、そこにいるのは誰? という意味と・・。



ちょうどこの辺りで、街の屋根の高さほど、そして狭い螺旋階段をぐるぐると上り・・、
ライオン像の階の裏側を抜ける訳ですね、

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かってはライオン像の横に、時計塔建設のドージェ、アゴスティーノ・バルバリーゴの
像があったそうですが、ナポレオン占領当時に打ち壊されたと。
そう言われてみると、確かにライオン像は少しばかり左側に寄っていますね。



遂に上階テラスに。

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ムーア人の居るテラスは一段高くなっていて、後ろからのみ見上げる事ができ、
前側には行けません。 これは塔の最初の建設から50年後に嵩上げされたそうで、
ムーア人が良く見えないと、文句が重なったのでしょう。
近くで見ると、さすがに大きかった!

念の為付け加えますと・・、どちらも肩からの毛皮のみで、大小しっかり見えましたぞ。



広場側から見て右、鐘の後ろにあるハンマーを持つ方が髭を生やしていて、
ヴェッキオ・年寄り、反対側の鐘前ハンマーの男は、髭がなくジョーヴァネ・若者、
と呼ばれているそうで、
     
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鐘つきは、年寄りの方が正刻の5分前から打ち始め、それがすんで4秒後に
(この数字少し自信なし)若者が再度打ちます。

かっては腕時計がなく、時を知らせる事が重要でしたから、
途中から聞いても間違いのないよう、繰り返したのだそう。



鐘の後ろから見えるサン・ジョルジョ島の高さ、
円柱上のライオン君が海を背景に見える事にご注目を!

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街の写真、これは街の西側で、

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こちらは北東側のSS.ジョヴァンニ・エ・パオロ教会がこの高さに、
手前の白い鐘楼はS.M.フォルモーザで、背後の海もちらっと。
       
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塔見物は午後4時から始まり、ムーア人のテラスに上った時に5時前で、
ガイドがここには留まれないけど、下のテラスから5時を打つの待ちましょうかと。
勿論賛成、皆がひとしきり写真を写して下に。
       
下のテラス、というのは全体写真に見えるライオン像の階の背後にあり、
旧政庁の建物上に東西に張り出す細長いテラスの事で、
行ったり来たりしながら5時を待ちます。

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サン・マルコ聖堂の北側部分、修復の済んだ尖塔の像、井戸の傍らで
ジェラートを舐め休憩の人々・・、

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サン・マルコ広場西側のコッレール博物館方面、デッラ・サルーテ聖堂の丸屋根が
覗き、そして広場のカフェ・フローリアン。

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一纏めにサン・マルコ広場と書いておりますが、聖堂前の広い方が正確には
サン・マルコ広場で、海に開ける狭い方は、ピアツェッタ・小広場と呼びますが、
       
ピアツェッタの正面が、ヴェネツィアの海からの玄関口。

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サン・マルコ聖堂のトルコから分捕ってきた馬4頭。 本物は、聖堂上の博物館に。

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時計塔からの高い眺めとはいえ、サン・マルコの鐘楼はそれよりもまだ高く、
上の展望台から眺望を楽しむ人々の姿。

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鐘楼からの夜の眺めは
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/463331310.html       



遂に正刻5分前、ヴェッキオが鐘を打ち始めます。

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ちょうどの位置に太陽が来て、露出不足で申し訳ないす、
でも、ハンマーが離れているのは見えますよね?!

見物した2日ほど前から、若者が何か文句があるのか、ショーぺロ・ストライキを始め、
鐘つきを止めているそうで・・、
この日は一度だけ、年寄りの鐘の音が響き、翌々日から修理が始まるとの事。

YouTubeで鐘つきの様子を。 ただしヴェッキオが打ち始めるのが見つからずで。



最後は、ガイドの女性を。

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通常では見れない行程はまだまだありそうで、ボチボチ探訪してご案内を。
       
◆*◆*◆

ブログご訪問、有難うございます!

こちら北イタリアヴェネトの田舎は秋の色に染まり出し、トウモロコシ畑も黄土色、
落ち葉も始まり、葡萄を満載し、組合の醸造所に運ぶ荷車トラクターや
トラックに道で出会います。

この秋は収穫量も質も良さそうと言われながら、お天気が続いた後の雨の繰り返しで、
なかなか一斉の葡萄摘みになりません。
       
夕方のラッシュ時に葡萄満載のトラクターが町中を走り、ゆるゆる走る後ろから
ぞろぞろと車が続く様子は、イタリアの秋の風物詩です。

先日ご紹介したヴェネツィア・マッゾルボ島の葡萄摘みの様子は、
その夕方の地方ニュースで大きく放送されましたが、RAIの全国版でも
遅ればせながら一昨日「ヴェネツィア・ラグーナの葡萄、再び輝く」と。

自分の目で見ただけに何か嬉しく・・、n.1 と n.2 の記事はこちらに。
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/463331661.html
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/463332411.html
       
我がスコミーゴ村の葡萄の色は
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461295708.html      
   
季節の変わり目、お体に十分お気をつけて!
       
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