・ ヴェネツィア ・ ゴルドーニの家博物館、サン・トマ広場周辺

今日はヴェネツィアのサン・トマ・S.Tomà広場近くにあるカルロ・ゴルドーニ・
Carlo Goldoniの家博物館と、広場にある「中世からの靴職人学校・
Scoletta dei Calegheri」についてのご案内を。

地図をどうぞ。 サン・トマと呼び習わしていますが、聖トンマーゾ・S.Tommaso
の事で、カンポ・サン・トマはリアルト橋の北詰を西に、カンポ・サン・ポーロ・
S.Poloを抜け橋を2つ渡り、突き当たりを右折すると出る広場で、

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2つ目の橋の手前、地図の41番がカルロ・ゴルドーニの家博物館。
ちなみに、ヴェネツィアでは広場をカンポ・campo、またはコルテ・corteと呼び、
普通使うピアッツァ・piazzaを名乗るのは、サン・マルコ広場のみです。

昔一度閉館時間に訪れた事があり、中庭の印象をしっかり覚えていましたから、
簡単に辿り着く筈が、サン・トマ広場まで行き、あれ?!



近くで訊ねるとやはり行き過ぎで、橋まで戻ります。
ちゃんと緑の幕も出ているのですが、逆行きだと分かりませんよね。

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これが通りから見える中庭で、かってはここから直接上に上がる様になっていたのが、
現在ここは鉄柵で閉じられ、少し先にあるガラス扉が入り口。
おまけに閉館日で見過ごしたのでした。

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サイトはこちらに  http://carlogoldoni.visitmuve.it/     
開館 10時~16時  閉館 水曜



で、近くのサン・トマの渡しを見に行きましたが、ご存知の通り、大運河に架かる橋は
現在4本で、その間を埋める大型ゴンドラの渡しが7ヶ所あります。

時にマイクロソフトは素晴らしい発想の変換をしてくれますが、「サン・トマの渡し」と
書きたいshinkaiに「サン・外間の私」とお応えに! トンマでなくて幸い! がはは。

大運河への狭い小路脇に、こんな立派な建物。

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折りしも渡しのゴンドラが着いた所で、待ち構えていた人々が乗り込み、
すぐに折り返して行きます。

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大運河の向こうのサン・タンジェロから戻って来る所。

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渡しは、まさに地元の人々ご用達の様子で、男性は皆立ったまま。



渡し場の横の建物の壁のライオン君。 入り口の両脇にあり、お護りの意かも。

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でもね、これはきっと元々は教会の前にあったものと思います。 というのも、
ほら、前足の所に別の動物が抱え込まれた格好でしょう? なので、どこかの教会の
建て替えの時にお払い箱になったのを持ってきたのかも。



振り返る位置に、見える小さな橋。 橋の向こうに見えるのが・・、

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カルロ・ゴルドーニの家博物館。

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翌日出直して、これは中庭。

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右のガラス扉内が、博物館の切符売り場で、鉤の手形の中庭に一旦出て、
最初にご覧頂いた階段を上ります。

この中庭が大変美しい雰囲気。 運河側からも見えた家の舟着場があり、
上に中2階式というか、納屋があり、まさに現代の車庫ですね。



上の切符売り場から中庭に出る正面の壁にこの写真。
・・私の生涯は、まさに喜劇でして・・  カルロ・ゴルドーニ
       
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18世紀のヴェネツィア生まれ、イタリア喜劇の大作家である彼について、
私の知識はほんの少々。

リアルト橋南詰めのバルトロメオ広場にある彼の銅像はこちらでご覧頂きましたが、
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462200568.html 
     



中庭の舟着場の上に張り出した天井部分。 こういう細かい装飾が大好き。

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鉤の手になった中庭を、舟着き場の位置から。 美しいでしょう?!!

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中庭の井戸。
    
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この家で、1707年2月25日に生まれた事を彼自身が記しているそうですが、

この家は借家で、大家はリッツォ家・Rizzoで、井戸にriccioと彫られているそう。
建物は16世紀の半ば迄ツェンターニ家・Zentaniが借り受けており、そこから
ツェンターニ(チェンターニ)邸と呼ばれていると。



鉤の手に中庭が曲がり、ここに入り口に続く階段。

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水の都であるヴェネツィアでは、運河からの入り口が正面玄関で美しく、
こちら小路からは、少し狭い感じですね。



階段手すりのライオン君。 小さいながらもきっちり彫られ、手の込んだ作りで、
借家というのが驚きです。 

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見上げると、建物の入り口。

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14世紀から15世紀初頭にかけての、ヴェネツィア・ゴシック様式の典型的な建物で、
そう大きくはない、というものの土地の狭いヴェネツィアにあって、かなり上等住宅と。

ゴルドーニ家はモーデナ出身の中産階級で、父方の祖父母からヴェネツィアに移住し、
17世紀の終わり頃から一家はこの家に。 が、祖父カルロの浪費で経済状態が
良くなく、父親のジューリオ・Giulioは妻と息子を残しローマに。

医者として働きながら息子を呼び寄せ、カルロは哲学の勉強をリミニで始めるものの、
母親恋しさか、はたまたキオッジャの喜劇に刺激を受けたか勉強を放棄、
父親についてあちこち移りながら、次第に喜劇作家としてのキャリアを積んでいきます。



建物の2階の入り口から入ったサロンでは、ヴィデオで彼の生涯の紹介が見られ、
そしてその横に2部屋あり、一つがこの部屋。

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ご覧の通り、マリオネットが展示され、小さな舞台も設えられています。
どの部屋も大変明るく、修復されたとはいえ美しい作りの建物、部屋。



可愛いマリオネットの人形。 衣装も、女性の胸の膨らみもなかなか!

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マリオネットは、父親が息子の愉しみに実現させた様で、彼自身がその思い出を
懐かしみ、思い出に繋がるこの家についても書いているとか。



マリオネット人形があれこれ展示されていましたが、この背景の絵の写真にドキッ。

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絵は、ヴェネツィア・アッカデミアにある(まだ未見)ピエトゥロ・ロンギ・Pietro Longhi 
の「小演奏会・Concertino」で、描かれているのは、アントニオ・ヴィヴァルディと。

この絵については、一度ご紹介をしており、
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461262801.html       
 
ヴィヴァルディについてあれこれ読み、この絵には少し違う感想を持ち始めていたのですが、
ゴルドーニとヴィヴァルディはヴェネツィアで同時期に生き、オペラ上演での交渉もあった様で、
この絵がこの博物館で使われているのは、やはりこの人物がヴィヴァルディと見なされている、
という事なのでしょうか。

この家博物館の切符売り場横にブックショップがあり、
「ヴェネツィアのヴィヴァルディ・VIVALDI A VENEZIA」Virgilio Boccardi著 
CANOVA出版  を見つけて購入、現在読んでいます。
       
小説仕立てで読みやすいものの、人物、出来事、年代など等、すべて事実に
即しているとの事。
一度彼のちゃんとした伝記を読みたいと思っていたので、毎晩白ワインをお供に、
ゆっくりと読んでいます。



マリオネット人形の仕組み、の展示。 まさに、文楽の人形と同じだなぁ、と。

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人形を撮った所で管理の女性がお出ましで、シニョーラ、部屋の全体は良いですが
細部は駄目です、との仰せで、はい、有難く!まだ写していなかった全体を写し、へへ。
写真の表示にXが付いてはいたのですが、フラッシュが駄目?という事なのかと・・。



もう一つの部屋には、彼の作品の本の展示がありましたが、私の興味は
部屋の真ん中の模型に。
当時のヴェネツィアの劇場と、ゴルドーニの住んだ家を示す大きな木の模型で、
一つずつ駒をはめて場所を確認出来る仕掛けでしたが、これは小冊子から。

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劇場の位置 (緑に白地)
1. トロン・ア・サン・カッサン・Tron a San Cassan
2. ヴェンドゥラミン・ア・サン・ルーカ・Vendramin a San Luca
3. グリマーニ・ア・サン・サムエレ・Grimani a San Samuele
4. サンタンジェロ・Sant'Angelo
5. グリマーニ・ア・サン・ジョヴァンニ・グリゾーストモ・
   Grimani a San Giovanni Grisostomo
6. サン・モイゼ・San Moise`
7. サン・ベネット・San Benet

ゴルドーニは、ヴェネツィアだけでも9ヶ所に移り住んだそうで、赤い印がその位置を示し、
薄緑で囲ったのが、現在の生家博物館。

最初に見たヴィデオでも、彼の移り住みが映りましたが、目まぐるしい程あちこちに!
最後はパリで、1793年2月6日に没しています。

模型には、確か11箇所ほども劇場があり、この地図の北にもあった様子。

当時のヴェネツィアはローマと並び一番劇場の数が多く、イタリアのみならず、ヨーロッパでも
群を抜いてオペラ、コンメーディアが上演され、活気に満ち繁栄していた事が良く分かります。
ゲーテの「イタリア紀行」にも、ヴェネツィアでの劇場通いの様子が描かれていますね。
       


カタログより、サン・ベネット劇場のディナー舞踏会、フランチェスコ・グアルディ、
1782年頃。 当時の華やかな劇場の様子をどうぞ!

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17~8世紀のイタリアの劇場の様子、一世を風靡したカストラート歌手については、
「カストラートの歴史」 パトリック・バルビエ 野村正人訳 ちくま学芸文庫 に詳細に。



こちらは、渡しとは別の位置から大運河を。

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ヴェネツィアの大目抜き通りとでも言う大運河には、右にも左にも素晴らしい邸宅が
目白押しですが、大運河を往復して写しましたので、またご紹介を。



近くの塀から覗く木々に秋の色が。 庭の少ないヴェネツィアでは珍しい光景。

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ゴルドーニの生家の先の橋を渡り、暫く行くと突き当たりの壁で、こんな風にマリア像。

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そこを右に折れサン・トマ広場に。



井戸があり、広場の北端にこの美しい建物。

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右奥に見える鐘楼は、デイ・フラーリ教会・S.M.dei Frariのものですが、
この正面がサン・トマ教会と、shinkaiめは長~~い年月思い込んで来たのです!

ゴルドーニの家博物館が閉館だった日のお昼を広場のレストランで食べながら、
(ニース風サラダ、アンコウの尻尾のグリル。旨かったぁ!)

予てより美しいと思っていた正面壁のマリア像を見つつ、レストランのカメリエーレに
サン・トマは、靴職人の守護聖人ですか? と質問を。



というのも、正面壁のマリア像の下、入り口上の半円に聖人らしき人物と、
蹲る人が見えますね? その部分をアップすると・・

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人物像の下に靴の形が3つ、真ん中の一つは女物のサンダルらしき形ですが、
これに見覚えがあったのです。

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昔ヴェネツィアの靴職人のギルドとして紹介されていた写真を見ていたのですね。
で、サン・トマが守護聖人かと尋ねたのですがぁぁ、

靴職人の守護聖人は聖アニアーノ・Anianoで、これは教会ではなく、広場の南にある
大きなバロック式、突き当たった高い壁がサン・トマ教会、と知ったという訳! きゃいん。
 
名を控えた紙が紛れ、もう一度家で調べ直し! ですが結果として、大変興味深い事も。
半円の人物、立っている方は聖マルコで、靴職人アニアーノを治した場面との事で・・、



入り口の扉にこんな表示。 Scoletta dei Calegheri・スコレッタ・デイ・カレゲーリ。

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カレゲーリとは、ヴェネツィア訛りで靴職人の事で、その学校だというのです。??!!
お昼を食べている間に、学校、図書館が閉館。 が、サイトで調べ疑問解消。



ヴェネツィアに於ける靴職人の仕事は古く、13世紀に靴職人とスリッパ職人の職業組合が
出来ると共に、職人学校も作られたのですね。
この仕事は長い下積み修行がいるのだそうで、最初はサン・サムエレ・San Samueleに。

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面白いのは、靴職人・calegheriは使い古しの皮で靴やブーツを作る事は許されず、
一方スリッパ職人・zavateri・ツァヴァテーリはスリッパやツッカケに、新しい皮を
使ってはならない、と決められていたそうで、なめし皮の供給は行政官の仕事だったと。
       
14世紀には近くに靴職人の信者会も出来、現在もその紋章が見られ、皮の広場・
certe della pelleと呼ばれる、なめし皮倉庫のあった広場もあるとか。

現在のサン・トマ広場に移ったのは15世紀半ばで、この職業は大変に繁栄し、
18世紀の終わりにはヴェネツィアに340の工房、1172人もが働いていたと。

残念ながら、現在は手作りの靴工房は殆ど無くなり、サン・トマの学校の近くに1軒、
サン・マルコ区にもう1軒残るのみだそう。

偶然の事から知った興味深い、職業の歴史でした。


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