今日はデルタ・デル・ポー・Delta del Po と呼ばれる、ポー河がアドリア海に注ぐ
三角州にある、かってフェッラーラのエステ家の狩猟の森だったメーゾラの森と、
その近くにある、中世からの、ポンポーザ修道院のご紹介です。
三角州にある、かってフェッラーラのエステ家の狩猟の森だったメーゾラの森と、
その近くにある、中世からの、ポンポーザ修道院のご紹介です。
まずは、地図で位置を。
一番下に見える赤い旗、ここにポンポーザ修道院・Abazzia di Pomposa、
その右(東)に、メーゾラの森・Bosco di Mesolaが広がります。
一番下に見える赤い旗、ここにポンポーザ修道院・Abazzia di Pomposa、
その右(東)に、メーゾラの森・Bosco di Mesolaが広がります。

フェッラーラ・Ferraraが左下に見えますが、ここからだと東に70Kの距離。
青い線が、我が家からの路線150K程で、ヴェネツィアから南に下るこの国道が
ロメア街道・strada Romeaと呼ばれる、以前ご紹介のコマッキオ・Comacchio
を通り、ラベンナ・Ravennaに続く道。
ロメア街道・strada Romeaと呼ばれる、以前ご紹介のコマッキオ・Comacchio
を通り、ラベンナ・Ravennaに続く道。
コマッキオのご案内
デルタ・デル・ポーの一帯を、も少し大きくどうぞ。
赤いAの字がポンポーザ修道院で、その右、薄めの緑色、ここがメーゾラの森。

この広さからご想像できるように、全体は1500ヘクタールを越える広大なもので、
現在は自然保護の国有林。
現在は自然保護の国有林。
上方、小さく赤丸をつけましたが、一般公開されているのはこの辺りのホンの一部。
で、今日のご紹介はこのメーゾラの森と、ポンポーザ修道院で、
この辺り、エステ家が干拓の為たくさん水門を造っていますが、その中世の水門風景、
舟を並べた橋、灯台等は、また次回のご紹介で。
メーゾラの森に出かけたのは、11月1日。 雨続きで、この朝もぱらつき、
漸くに南の空が明るくなったのを見て、出かけました。 というのも、
この日を最後に、来春3月の末まで森が閉じられるのですね、それで決行です!
漸くに南の空が明るくなったのを見て、出かけました。 というのも、
この日を最後に、来春3月の末まで森が閉じられるのですね、それで決行です!
これが入口を入ってじきにある横道ですが、鉄柵越しの写真で、入れない部分。
入口脇に、森林警備隊の建物があり、暇そうに2人程頬ずえをついていましたが・・。
入場は無料です。 追記:6歳以上は1エウロに! 2018.12.15
入口脇に、森林警備隊の建物があり、暇そうに2人程頬ずえをついていましたが・・。
入場は無料です。 追記:6歳以上は1エウロに! 2018.12.15

これが一般公開されている部分の、お勧めの3行程で、黄色1時間15分、
緑1時間45分、赤2時間30分、とあり、手前側は同じで、奥への広がりの長さが違う、
という訳で、まぁ、歩き始めました。

森の中は、歩くか、自転車、または電動車、と制限されていますが、
森の前に2軒見えた貸し自転車屋は、既に休業中。
森の前に2軒見えた貸し自転車屋は、既に休業中。
コースが始まって、すぐのあたり。
「メーゾラの森」の森という言葉から、それもボスコーネ・大きな森と、サイトで読んで
いたので、なんとなく、もっと、うっそうとした大森林を想像していましたが、違いました。
森、というより、雑木林、と呼ぶ方が似会いそうです。

雨続きで、黄葉した葉はすべて落ち、逆に明るくみえます。
所々の水溜りには、こんな風に、堆積した落ち葉が。

森の道はくねりながら、ゆるゆると続き、殆ど落ち葉に埋もれ、どうやら分る程度。
他に誰も見かけず、私一人! 静寂そのもの! まぁ、空が明るいので・・・。
他に誰も見かけず、私一人! 静寂そのもの! まぁ、空が明るいので・・・。

白く見える樹は、白ポプラだそう。 所々に、樹木の説明があります。
一人で、せっせと歩き、時々、おっ! と写真を。
珍しくもありませんが、はい、ドングリです。

こちらはちょっと珍しいかな、この森に住むという、鹿君のウンチ。
この近辺にウンチはたくさん見かけ、どうやら、通り道に当る様子。

もっと、黄葉を期待していたので、すこし残念。 が、まぁ、これで・・。

こんな倒木もたくさんあり、なんとなく手入れが行き届かない印象を受けましたが、
これは翌日、メーゾレのお城で聞いた説明により理由が分りました。

自然保護の森、というのは手入れをするのではなく、ありのままの自然を保つ事と。
ですから、生息する動物が死んでいてもそのまま、樹が倒れてもそのままに。
で、どういう変化があるのかを、5年ごとに調査しているとの事。
敷き積んだ落ち葉に雨が続き、こんな茸があちらこちらにたくさん。

奥のコースの道筋で、写真ではかなり明るく見えますが、実際は暗い舞台装置の様に、
青い空気で、その中に、こんな苔むした樹が。
青い空気で、その中に、こんな苔むした樹が。

上側の部分、つまり雨に打たれる部分に苔むしている樹が多く、今のこの時期、
落葉で明るく透けて見えますが、
夏など、かなりうっそうと茂った、薄暗くヒンヤリした森なのだろう、と想像した事でした。
落ち松葉に、新しい仲間。

この森にある木々の種類ですが、白シデ、樫、ナラ、白ポプラ、トキワガシ、
海洋性松(日本の松とも違いすらっと高く)、園芸松(上がこんもりのイタリアでよく見る)
ビャクシン(旧約聖書にある、レダマの木)、
その他にも名札が出ていましたが、雨に打たれて消えていました。
森に着き、歩き始めた時は曇り空で、人の気配もせず、少々陰鬱でしたが、
一番奥のコースを歩く内に、陽が射して来ました!

すると一度に森の中の印象が、一変! 落ち葉の積もった香りが立ち、
木々の隙間に見える空気が、青く。
この道は奥の広い道で、車も通った跡が見えますが、
ほとんどの道はもっと狭く、自転車の跡が、所々に見えるだけ。
ほとんどの道はもっと狭く、自転車の跡が、所々に見えるだけ。
黄葉した葉が雨で落ち尽くし、残っている緑の葉がなにやら早春の印象で、
森の芽吹きの季節を想像。
森の芽吹きの季節を想像。

さぞや、素敵な事でしょう! 明るい緑で覆われたこの森に、春に、もう一度?
突然、ドドッと、目の前を鹿が横切って行きました! わっ、わっ!
あっという間の事で、そう大きくもない鹿、角がなかったような・・。

で、これが残されたつめ跡。
近くには、結構跡が見つかりましたから、道を横切るポイントなのかも。
これは、旅行雑誌MERIDIANIから。

メーゾラの森には、鹿・Cerbi, Daini、狸などが生息しているそうで、
ここの鹿は、他に類のない特有の因子を持ち、かっては狼もいたとか。
ここの鹿は、他に類のない特有の因子を持ち、かっては狼もいたとか。
サイトや、旅行雑誌ではこういった鹿の写真が見れますが、年に何回か、
特別なガイド付きの見学があり、それだと、彼らの生息地にも近づけるのでしょう。
特別なガイド付きの見学があり、それだと、彼らの生息地にも近づけるのでしょう。
かって、このメーゾラの森は、ポー河の支流に挟まれた島だったそうで、
それで、こういった特有な動物が生息している様子。
現在は自然保護の国有林で、ぐるっと金網で囲まれ、森林警備隊が見回りを。
鳥達もたくさんいるのですが、森の中を歩いていくと、どこで見ているのか
バタバタと飛び立ち・・。
それで、こういった特有な動物が生息している様子。
現在は自然保護の国有林で、ぐるっと金網で囲まれ、森林警備隊が見回りを。
鳥達もたくさんいるのですが、森の中を歩いていくと、どこで見ているのか
バタバタと飛び立ち・・。
少しでも写真が見れるサイトは
https://www.aqua-deltadelpo.com/cosa-vedere/oasi-e-centri-visite/bosco-della-mesola-mesola/
公式サイトは Riserva Naturale Bosco della Mesola
http://www.ferraraterraeacqua.it/it/mesola/scopri-il-territorio/ambiente-e-natura/parchi-riserve-naturali/riserva-naturale-bosco-della-mesola-parco-delta-del-po
住所:44026 Mesola FE (Bosco Mesola via Frassini 24)
tel 0533.794285
開園:3月から10月 火曜 金曜、土曜 祭日 朝8時から日没1時間前まで
https://www.aqua-deltadelpo.com/cosa-vedere/oasi-e-centri-visite/bosco-della-mesola-mesola/
公式サイトは Riserva Naturale Bosco della Mesola
http://www.ferraraterraeacqua.it/it/mesola/scopri-il-territorio/ambiente-e-natura/parchi-riserve-naturali/riserva-naturale-bosco-della-mesola-parco-delta-del-po
住所:44026 Mesola FE (Bosco Mesola via Frassini 24)
tel 0533.794285
開園:3月から10月 火曜 金曜、土曜 祭日 朝8時から日没1時間前まで
最後に森の入口に続く直線の道に出て、お天気も回復、森開放の最後の日でもあり、
2組ほど、こうした自転車での親子連れも。

入口脇にあった、ヴェネツィア共和国のライオン君。

エステ家最後の領主アルフォンソII世は、ヴェネツィア共和国との国境防備になる、
という理由で、森を買い取ったようですが、時代は移り・・。
***
ここからは、ポンポーザ修道院のご案内を。
メーゾラの森から、ロメア街道を南に8Kほど、11世紀の創設になる、
ベネッデッティーノ派のポンポーザ修道院があります。
ベネッデッティーノ派のポンポーザ修道院があります。
修道院の周囲は整備され、美しいすっきりとした公園になっていて、祭日でもあり、
少し向こうを通る街道筋も車が少なく、悪評高いトラック群も通らずで・・。

どっしりと、西日に聳える鐘楼を見た時、アクイレイアのあの聖堂と鐘楼を思い出し。
見事な存在感です!

n.2 アクイレイア と、 アルティーノ
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462970554.html
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462970554.html
隣接するサンタ・マリア聖堂。

修道院は6世紀から7世紀に遡る歴史を持ち、ポー河の支流に挟まれたこの地で、
ラヴェンナの領主の庇護の下、11世紀頃には宗教と文化の一大中心地だった様子。
この右側に、3方を囲まれて回廊があり、(奥の建物に、礼拝堂や、多分図書館も)
南横に大食堂。 今のこの背後には裁判所・palazzo della Ragioneが。
南横に大食堂。 今のこの背後には裁判所・palazzo della Ragioneが。
このテラコッタの壁に、魅せられました!

正面壁は、3つのアーチ、両脇に2つの窓、所々に石の彫刻、
後はすべて、煉瓦とテラコッタの陶板装飾。
煉瓦の色違い、陶板の飾り板。 素朴な、そして華やかな。

素晴らしいとは聞いていましたが、実際に見て、納得!
こちらは鐘楼の一部ですが、テラコッタに埋め込まれた、この緑色!

最初すぐには気がつきませんでしたが、なにかチラチラと光るのが、目の隅に。
それで! マヨリカ焼きの小鉢が、要所要所に埋め込まれているのです!
なんとまぁ! 気がついて感動しました。
マヨリカ焼きで有名なデルタ・Derutaの陶器製造は、8世紀に遡るとの事なので、
この聖堂、鐘楼が造られた10~11世紀には当時の最新技術、流行だったわけで、
それを取り込んだ職人のアイディア、修道院の財力に、思いが行きます。
真ん中に見えるような、動物の図柄は少なく、日本の藍の染付けを思わせる柄も。
そして、煉瓦の並べ方による柄の作り方。 円柱の上部には丸い形の煉瓦も。

右上の円形装飾の面白さ。 そしてその中央の小鉢の柄にご注目を。
八角形に延びる星型の間に、P O M P O S I A と入って入るのが見えますか?

この柄の色違いをかなり見かけました。 という事は、発注品なのですね。
さて、どこに?! やはり、デルタでしょうか? 色々想像し、楽しみました。
こちらは、鐘楼部分。 煉瓦の並べ方を工夫して。
黄土から、オレンジ、茶の壁に、青や、緑の小鉢の色。

教会内部、奥から入口を。

内部は3廊式ですが、側廊部は補強も兼ねてか、通り向けできる程度のくり抜きで、
区切られています。
区切られています。
どっしリとした典雅な美しさで、全ての壁はビザンティン様式の壁画で覆われ、
床面もかなりの色数のモザイクで、少しの動物柄を除き、ほとんどが幾何学模様で
埋め尽くされています。
床面もかなりの色数のモザイクで、少しの動物柄を除き、ほとんどが幾何学模様で
埋め尽くされています。
アクイレイアの聖堂を小さく賑やかに、というイメージでしょうか。
上の写真位置からの、向かい側のフレスコ画で、14世紀中頃の物。
下の段の右端、最後の晩餐。 丸いテーブルで、ぐるりと取り囲んでいるのが珍しく、
写真禁止でしたが、エエイ、ままよ!

一般に見るのは細長いテーブルで、ユダのみがこちら側にいますが、
ここでは、こちら側右から二人目が手を後ろに回し、何か握っているのが見えます。
こういった壁画は、大概は照明を暗くしていますが、ここは煌々と過ぎる位の照明で、
大丈夫かいなと心配を・・。
大丈夫かいなと心配を・・。
入口内側の壁。 最後の審判ですが、古い時代の審判図によくあるように、
地獄絵が面白く、写真が取れず残念!
地獄絵が面白く、写真が取れず残念!

こちらは回廊部分で、真ん中に井戸が。 聖堂の壁の印象は、
グラードの聖堂に良く似て、典雅で、重々しく。
グラードの聖堂に良く似て、典雅で、重々しく。

こちらは、ラジョーネ宮と呼ばれている回廊の向かい側建物の、テラス部分。

当時ここの僧侶達が裁判権を持っていて、裁判所だったとの事。
現在はブック・ショップ兼お土産物店で、周辺に3匹の猫ちゃん在住。またいずれ。
という事で、猫ちゃんならぬ人間様のカップルを。

当日朝、急遽宿の予約もないままに出かけ、途中のバールで教えて貰い。
秋の陽は、つるべ落とし。 みるみる暮れて、やっとたどり着いた宿の前で。

内心、焦っていたのでしょう、3枚とも、少しピンボケ!
という事で、次回のデルタ・デル・ポーの風景をお楽しみに!
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