・ ラヴェンナ ・ ビザンチン・モザイクの輝き

今日は月一ゲストのグロリオーザさんの写真とコメントで、ビザンチン・モザイク
で名高い、ラヴェンナ・Ravennaのご案内です。 お楽しみ下さい。
***

今回はイタリア中部・ラヴェンナのモザイクを紹介します。
この街は今では内陸の小都市ですが、5世紀から6世紀にかけては西ローマ帝国の
首都として、あるいは東ローマ帝国の直轄領として栄えた歴史を持っています。
当時はポー川河口の潟に築かれた運河の町でした。

中でも有名なのは、このサン・ヴィターレ・San Vitale聖堂。

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6世紀、東ローマ帝国の首都はコンスタンティノープルでしたが、その皇帝
ユスティニアヌスが建てた聖堂で、外観はなんと言うこともない建物ですが、
中に入ると素晴らしいモザイクで埋め尽くされ、
ビザンチン美術の奏でる光の交響詩 と称えられています。



さあ、中に入りましょう。 
ちょっと暗い聖堂内部ですが、モザイクの輝きに見入ってしまいます。

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中央祭壇をアップしてみましょう。 半円蓋に若々しい、ひげのないキリストが
描かれ、ヴェネツィア・サンマルコ大聖堂などに比べて緑が多いモザイクです。

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天井には神の子羊=キリストの円光を、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの
4人の福音書記が支えています。

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後陣北側には、ユスティニアヌス帝のモザイク。 王冠をかぶり、ざるのような物を持ち、
その右側2人目の人物はラヴェンナ司教。

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南側には、皇妃テオドーラが、夫の皇帝と向かい合うように描かれています。
手に聖杯を持ち、皇妃の象徴である紫のローブをまとい、首の回りの宝石も見えます。

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テオドーラは踊り子だったといわれますが、見初められ皇帝40歳の時に23歳で結婚、
その美貌はこのモザイクでも十分に推し量れます。
現存するテオドラの肖像はこれ1点のみ。 貴重なモザイクです。



その他にも、旧約聖書の物語が華麗に描かれています。

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次にすぐ近くにある、ガッラ・プラチディア・Galla Placidia廟に移ります。

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ガッラは、ローマ帝国皇帝テオドシウス1世の娘。 皇帝の死後、帝国は東西に
分裂する中で波乱の人生を送った悲劇の皇女ですが、詳しい物語は省きます。
これも小さな建物です。



入って奥に見えるのが、ローマで火あぶりになった聖ラウレンティウスの殉教場面。
明り採りの小さな窓の下に、燃えさかる炎が見えます。

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ここの美しさのハイライトは、天井の模様です。
花で彩られた満天の星座のような天井は、息を呑む美しさです。

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入口を振り向くと、善き羊飼いとして描かれたキリスト像が半円に収められています。

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建物を出て、近くのサンフランチェスコ聖堂の横に行くと、こんな祠がありますが、
これはダンテの墓です。

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ダンテはフィレンツェを追われて、アレッツォ、ヴェローナなど15年にわたる放浪の果てに
1317年、ラヴェンナにたどり着きます。
あの「神曲」はここで書き上げ、56歳で死去しました。



少し足を伸ばして、サンタッポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂へ。 500年頃の建物で、
聖人たちの行列が見事です。 ここは規模が大きい分、雄大なイメージがあります。

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女性たちの列も、華麗に描かれています。

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その中央には、聖母とキリストが鎮座しています。

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ここにはモザイクだけでなく、彫像もありました。

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ヌオーヴォ聖堂の正面。 
この日は雨でしたが、午後にはすっきりと青空が広がってくれました。

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帰りに写したラヴェンナ駅のプラットホーム。 田舎の駅といった風情です。

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しかし、ビザンチンの首都だったコンスタンティノープル(現イスタンブール)には
その後の歴史の中で、モザイクは破壊されて殆ど残っておらず、
5~6世紀のモザイクの精華には、今やこの街でしか出会うことが出来ません。
機会があればぜひ訪れてみてください。

グロリオーザさんのブログ、「新イタリアの誘惑」は、こちらです。
https://blog.goo.ne.jp/gloriosa-jun

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先日、6月17日の夕方のニュースで、ヴェネト、アジアーゴに住む作家、
マーリオ・リゴーニ・ステルン・Mario Rigoni Stern 86歳 
の逝去が伝えられました。

暫く前に脳腫瘍である事が発見され、最後の見納めに山に運ばせ、
市長と会った後は誰にも会わず、
本人の希望により、親族のみのお葬式が済んでの、報道でした。

大変骨太の、素晴らしい作品であり、作家と思います。 ご冥福を祈ります。
彼の人となり、作品については、こちらにご紹介を。
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/463097952.html

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