・ 民衆伝統博物館 ・ チッタ・ディ・カステッロ ・ Città di Castello

かってのウンブリアの農民生活を今に伝える、チッタ・ディ・カステッロという町の、
民衆伝統博物館をご紹介です。  
暗い博物館の中、手持ちフラッシュなしの写真が、大変ブレて申し訳ありません!
目薬などご用意の上・・、どうぞ、ごゆっくり!!

1-5057_t_t_t.jpg

最初にこの博物館を知ったのが旅行雑誌のこの写真で、実際には、この左に
大きな炉が見え、見てすぐ、行きたい!と思ったのでしたが、
写っている木のテーブルに魅かれたのかもしれません。



地図をどうぞ。 チッタ・ディ・カステッロという町はウンブリアの北部、
トスカーナからウンブリアに入ったすぐの所に。
           
2-5545_t_t_t_GF.jpg
   
この町からアッシジまでは50キロ程の距離で、他に見るべき物も多いのですが、
今回はここに直行した、ウンブリア旅行第1日目の午後。
       
地図にはついでに、今回訪れた町に線を引きましたが、北から挙げると、 
グッビオ・Gubbio、グアルド・タディーノ・Gualdo Tadino、アッシジ・Assisi、 
スペッロ・Spello、ベヴァーニャ・Bevagna、モンテファルコ・Montefalco、
フォリーニョ・Foligno、 トゥレーヴィ・Trevi、スポレート・ Spoleto、 
プレーチ・Preci、ノルチャ・Norcia、 カステルッチョ・Castelluccio
(ノルチャの東に、黒丸を付けた所)

そして、マルケ州に入り、ヴィッソ・Visso、トレンティーノ・Tolentinoなど。



勝手に博物館と言ってますが、正式にはCentro Delle Tradizione Popolari、
民衆伝統センター、とでも。
ガラヴァッレ・Garavalleという、町を南に出た郊外にあり、カーナヴィに打ち込み
連れて行って貰え、
      
ガイドブックには午前と、午後は2時からとありましたが、入口の門には午後3時半からで、
大きな錠前で閉じられていて・・、田舎の畑の真ん中で、建物は修復用に覆われており、
時間になっても開かないのではないかと心配していましたが、
5分前に、お父さんらしき人の車に送られた若い男性が到着、
門の鍵を開けて、どうぞ、と。  ヤレヤレ!

これは1階入り口前にあった、オリーヴの大きな大きな碾き臼。

3-008_t_t_t_GF.jpg

TVニュースなどで見ていたので知っていました。 この左にのびた棒の先、ハンガー状の
物に馬が繋がれ、周囲をぐるぐると回って、オリーヴをひき潰すのですね。



こちらは17世紀のオリーヴ絞り機だそうで、壁というか建物に据え付けられ、
絞られたオリーヴ油は手前に開けられた穴の中で受ける様に。

4-006_t_t_t_GF.jpg

絞り機の床に、平べったいザル状の編んだ籠が見えますね、
上の石臼でひき潰したオリーヴをこの籠に入れ、そしてこの絞り機にかけたのですね。
戦後の1960年代、まだこの種の絞り機が活躍していたそう。



絞り機の前にあった、大きな炉。
    
5-009_t_t_t_GF.jpg

1階部分にいろいろな農具があるので、あれこれ見ながらああ、日本と同じだと
楽しんだり、写真を撮っていると、一旦上に行った男性が戻ってきてあれこれ説明を。

雑誌には実際の農家を利用しているとあったのですが、
この農家は、隣に見えた黄色い大きなお屋敷、侯爵家の持ち物で、代々の専属農家、
収入の半分を受け取る、実際は70~80%ほども取られたとか、の農家だったと。

1階部分は、こうしてオリーヴ絞りやら家畜小屋、道具置き場で、2階が居住区。
建物自体は細長く、石臼とかオリーヴ絞り機、炉などは、入口部分に。



こちらも葡萄絞り機。 最初、私には見分けがつきませんでしが、
葡萄は直接この中に入れて絞るのだそう。
      
6-016_t_t_t_GF.jpg 

箱状部分の横にも穴が開き、そこからも絞り汁が出る仕組みで
この機械も最近まで使われていたとか。



棚の上には御存じ、ワイン用の大瓶が並び、手前には小さなキャンティの藁苞瓶も。
    
7-014_t_t_t_GF.jpg

彼の説明によると、キャンティのフィアスコ瓶、藁で巻かれた瓶はキャンティだけの
やり方だそう。 映画でもよく見るので、イタリア中の方法かと思っていましたが。

私がワインの量り売りを買うのに持参する瓶は、5リットル入りですが、この大きさの
半分位でしょうか、となると、大体10リットルから15リットルという事かな。



鞍 ・ 荷物運び用物入れで、奥の壁際に見えるのはロバ用の鞍だそうで、
上の棚にはもっと小さい鞍も。
       
8-017_t_t_t_GF.jpg

半円形の木でできた籠は、ロバの両脇に付け、物を運んだものだそうで、
すべて手作りの品。 「何でも、自分たちで作ったんよ」と。

       
     
テブレ、目チカチカの写真で申し訳ないです。
この籠も農民の手作りで、これにはヒヨコを入れたのだそう。
後ろに見える形も、日本にもありそうな形でしょう?

9-020_t_t_t_GF.jpg



私が大変興味を示すので、彼も(多分学芸員の有資格者)どんどん話してくれ、
奥の方にも案内してくれました。

隣の侯爵家とは土地の段差があり、ここは中間部分の半地下なのだそうで、
この細い通路は温度が低く一定しており、いわば天然の保存倉庫で、

10-021_t_t_t_GF.jpg

食料品はすべてここに保存していたそうで、見える壷はオリーヴ油用。



おまけに、ここに湧き水の泉まであるのです。 しかもローマ期からのものだそう!
手前に付いた紋章をご覧下さい!!

11-022_t_t_t_GF.jpg

但し大変石灰分がきつく、2つの流れ口の下は鍾乳洞式にびっしりと固まっていました。



「トンボラ」というのは、日本の「当てもん籤」みたいなものしょうか。
数を書いた自分用の紙の上、自分が賭けたい数字の上に、豆などを置き、
で、親がサイコロを転がし、数字を読み上げ、いくつ当てたかを競うわけですね。

12-025_t_t_t_GF.jpg

この数字板が大変美しく大きく、由緒ありげなのに驚きましたら、
毎年の町のお祭りに広場に運ばれ、町中がトンボラに湧く、そのご本体なのだそう!

55の数字が見えませんが、これは一つ一つの数字がくるっと回る様になっている、
それを見せてくれたのでした。
左上に見えるガラスの籤入れ、あれは日本の籤をガラガラ回すのと同じですね。



で、いよいよ2階の居住部分のお部屋に。 大きな炉には赤々と火が燃やされ、
大変気持ちの良い空間になっていました。
最初彼が2階に上がって行ったのは、この為だったのですね。

13-041_t_t_t_GF.jpg

外は暑い位のお天気でしたが、1階部分はヒンヤリとしていて、
この火の暖かさが大変気持ちが良かったです。

この写真を写したのは一番最後でしたので、余り火の勢いがありませんが、
最初はもっと盛大でした。 使い込まれて、煤で真っ黒になった炉の周り。
いかにも、生活の温かみの感じる博物館でした。

この部屋が一番大きく台所も兼ね、農民一家の寛ぎの場所でもあったでしょう。
この部屋に続く奥の2部屋は、一家の寝室に当てられていたとの事。


       
隣の寝室、展示パンフレットから。 とはいえ、その様に設えて様々な物を展示
している訳で、このベッドは農民の物ではありません。       

14-328_sh01_t_t_t.jpg

ヘッドボード部分に美しい飾りが付いており、そして丈は大変短いのです。
私のベッド、195cm、を基準に考えてみて、170センチあったかどうか、と。
昔のイタリア人の背の高さが想像されます。

写真で見えるほどに実際の部屋は大きくなく、でもこういった部屋に5,6人から
時には、7,8人が寝たのだそう。



ベッドのマットレス部分は、裂いて中の詰め物が見える様になっており、
はい、中身はウモロコシの皮で、マットレスに触って見ましたが、ごわごわ。

15-031_t_t_t_GF.jpg

で、マットレスの上に乗っている木製の物、これは真ん中に炭火の入った鉢を置き、
ベッドを暖めた物なのですって。 そう、日本のコタツと同じ要領ですね。

後に小さい子供用のベッドの柵が見えますが、ここには赤ちゃんをぐるぐる巻きにした、
ホラ、よく昔の絵画に登場する、ミイラみたいに全身を白布で巻かれた赤ちゃん用の、
白い布の帯などがあり、見せて貰いました。

地織布のきちんとした物もあり、きっとこういう布は上流家庭のお母さんや、
一家の愛情が籠もっているのだろう、と見つめた事でした。



農民の衣服。 継ぎがあてられ、言うまでも無く、たいへんに着古されていて、
大方が、スモックのような上から被る形。

16-028_t_t_t_GF.jpg



これは遊ぶ人形ではなく、マリア様、お祈りを捧げるためのマリア様で、
大変大事に大事に扱われていたのでしょうね。 ちびたローソクが少し切ない。

17-030_t_t_t_GF.jpg



これは農民の靴ですが、写真ではちょっと分りにくい部分のご説明を。
上の足の甲を覆う部分は皮ですが、底の部分は、木で出来ているのです。
軽くて、暖かいのだとか。 それにしてもねぇ・・!

18-034_t_t_t_GF.jpg



イタリア版 ひょうたん。 ね、まさに瓢箪でしょう?!
私は大喜びで、日本にも同じような物がある事を伝えました!
   
19-039_t_t_t_GF.jpg

これは瓢箪ではなくカボチャだそうですが、やはり水入れに使ったとの事。



この写真は実際よりも少し派手めに色が出ましたが、植物染めの色見本です。

20-044_t_t_t_GF.jpg

イタリアにもやはり植物染めがあるそうで、単に染めるだけでなく、色の取り出し方も、
実際にかって行なっていたシニョーラを招いて、子供達の前で実演した事があったとか。
「大変、素晴らしい経験だった」と。


最後に見学代を払い、良かったら署名を、と言うので漢字で名前を書き、
見ましたら、その日の入場者は、午前中に2人のみ。多分、午後は私1人かも。
       
冬がかなり厳しい、と彼が言っていました。 訪れる人も無く、一人で火の前で
たくさん本を読むのだそうです。
「ある意味で、素敵な人生だ」と言いましたら、頷いていましたが。
ひょろっと背が高く、明るくシャイで、なかなか深い眼をした人でした。

建物がかなり雨漏りがするので、この7月頃から本格的に修復工事に入るそう。
良い時に訪れました。
楽しかったです!!


*****

ブログご訪問、有難うございます!
見たよ! の応援クリックも宜しくお願い致しま~す!


*****

コメントの書き込みについてのお願い。

ブログの記事下に、「コメントを書く」が出ていない時は、
上か右の、記事タイトルをクリックして頂けると
記事の一番下に「コメントを書く」が出ますので、よろしくお願いいたします。
非公開コメントをご希望の場合は、非公開で、と書いて頂くと、  
コメント承認制ですので、保留にし、お返事だけ公開しますので、
それもご了承下さいませ。

この記事へのコメント