・ 2000年の歴史 ・ カステル・ブランド・Castel Brando

今日は我が家からも近く、ヴェネト平野の北の守りとも言うべき位置にあり、
2000年に近い歴史を持つカステル・ブランド・ブランド城のご紹介を。

ここは現在4つ星ホテルとして、音楽会、講演会も開かれる大会場も持ち、
内部に4つの博物館、リラックス施設もある、見事に蘇った山の上の中世のお城で、
先月の末、ガイドに連れられ見物して来た様子をどうぞ。

これがそうですが、手前左側白い四角い部分は、18世紀の建て増し部分で、
右側が15世紀の古いお城部分。

1-1109_t_t_GF.jpg

この写真では分りませんが、すぐ下を県道が走り、そこから見えるお城の高さ、
見事さにはいつも見惚れます。



地図をどうぞ。
お城のある村は、チゾン・ディ・ヴァルマリーノ・Cison di Valmarinoで、
ヴィットリオ・ヴェネト・Vittorio Venetoから西に15キロほど。

2-28_sh01_t_t_GF.jpg

すぐ西には以前ご紹介した、中世ロマネスクの修道院があるフォッリーナ・Follina 
そしてその西ヴァルドッビアーデネ・Valdobbiadeneまでが、
これもご紹介ずみの「白ワインの道」です。



お城の図。 この城の築かれている山頂は平らではなく、北側、向かって右が高く、
左の南側にかけて傾斜しており、同じ高さに南の増設部分を築く為の競り上げ部が。
1.下の村の駐車場から、ケーブルカーがお城まで、運んでくれ
2.ここがケーブルカーのお城の駅。400Mの高さ

3-28_sh02_t_t_GF.jpg

3.2つある塔、そして外の城壁、内側の城壁ともに11世紀から13世紀にかけての物で、
  当時は、ヴィットリオ・ヴェネト、セラヴァッレのダ・カミーノ一族の領有でした
10.南の建物のこの位置に、ガイド付き案内の申込所があります。
   土曜、日耀の、10時、12時、14時で、1間以上の、しっかりの見物時間!
9.ホテルの入口。 ガイド付き見学者は一段下の外壁部分に下りて、
6.の古い馬車などを見ながら、
         
7.城の古い部分、7~8世紀の基礎部の塔の中の階段を上がり、9の入口内に出ます。



下の駐車場からケーブルカーを。 今、真ん中辺りに、箱型の車両が見えます。

4-089_t_GF.jpg



城の外庭から、下のチゾン・ディ・ヴァルマリーノの村を見下ろします。
なにせ400Mの高さからですから、絶景と言うか、箱庭風の眺めと言うか!

5-069_t_GF.jpg

何も知らなかった昔、この村を通りつつ、どこか違う、と感じた物でしたが、
違う筈で、この村は何世紀にもわたり、ブランドリーノ伯爵家のお膝元だった訳で。



上の写真の、南側に伸びた村の部分で、

6-071_t_GF.jpg

ここよりもっと外側に広がる部分は、きちんと道が四角く通り、同じ大きさの
区画に整備された住宅地で、綺麗ですが、味がなく、こんな方が魅力的です。



村の南側を東西に県道が走りぬける、その南の眺め。
田畑が広がり、なだらかな丘陵が続きます。

7-072_t_GF.jpg



夜は、城全体が照明されますが、お祭り時には、篝火も焚かれる様で。

8-075_t_GF.jpg



15世紀の城館部ですが、内部は残念な事に19世紀の火事で多くが消滅と。
が、現在は大広間として使用されています。

9-078_t_GF.jpg



お城の地図3の、奥の塔の部分。 ガイア・ダ・カミーノの塔と名付けられた
11~12世紀の物

10-079_t_GF.jpg

ガイア・ダ・カミーノ・Gaia da Caminoは、ダンテの神曲にも登場する女性で、
ポルト・ブッフォレのご紹介の際、嫁ぎ先の町の、住居跡をご紹介しました。

ポルト・ブッフォレのご案内は



ガイド付きの案内で、現在ホテルになっている城館内も見物できます。
       
城館部分、脇の塔から入ると、7世紀から9世紀の、こんな石組みの部分があり、
兵士たちの見張り所 兼、駐屯所だった場所。

11-49_sh02_t_t.jpg



狭い塔内部の、螺旋階段を上り、上階の現在のホテル入口に出て、
左がフロント部分になっていますが、このロビーはかってここは馬車置き場であり、
直接に客人の馬車が入り、右の階段前に止まったのだそう。

12-49_sh12_t_t.jpg

この階段の壁には武器が飾られ、広い大階段が70段ほど真っ直ぐに上に続きます。
重要な客人は、城主の伯爵が下まで迎え、そうでない場合は、上で待っていたのだそう!
    
我々も上がりましたが、もし上で待たれていたら、ものすごい重圧感でしたろう。
それをも計算に入れた階段というか、いやはや。

そしてこの階段を上まで上がると、古い城館の広間に続き、そのままの高さで、
部屋が南側の新しい部分に繋がるのです。 設計者の素晴らしい頭脳と言うか!

ロビーの階段奥の壁に、交差する槍の間に入り口の窪みがありますが、分りますか、
あの入口から城の地下部分の、現在の武器博物館を見学できます。



これはこのチゾンの村のお祭りの写真ですが、城の武器博物館にも、この様な
かっての鎧、兜などの複製品があり、ここに見える細かい網目の防具もあり、
ガイドの女性が触らせてくれましたが、その重い事、重い事!
       
13-01_t_t.jpg

が、こんな防具も石弓、鉄砲の発明の前にはまるで役に立たなく、着用しなくなり、
美々しい武具も、単なる祭事の為、威勢の誇示用となったのだそう。



これは古い城館の大広間ですが、多分、中世風の大宴会の際には、
こんな衣装の女性が、花を添えてくれるのでしょう。

14-49_sh01_t_t.jpg



左は、古い城館内にあった牢獄部分。 ヨーロッパの他の城の牢獄よりも、
遅い時代の物なので、かなり人間的であると、これはガイドの女性の言葉。

15-42_sh02_t_t.jpg

ついでに付け加えますと、この城は15世紀にヴェネツィア共和国の元に入り、
ブランドリーニ伯爵に与えられた物ですが、
ヴェネツィア共和国の方針として、なるべくは強制労働の罪にし、ガレー船を
漕がす方向に持っていったのだそう。

死罪となった場合、身分ある人間は斬首、そうでない者は絞首刑で、
その違いは斬首の方が苦しみが少ない、と言う理由からとの由。
右の写真は、裁判博物館の物と思いますが見学せずでした。



先ほどの大階段の脇にあった、城主の鎧。
見事な物で、浅浮き彫りの模様が施され、黒い色が鋳れ込まれていました。

16-082_t_GF.jpg



元々のお城はローマ期に街道の見張り所として出来、中世に至り城館となりましたが、
こういった床細工は、いつの物か、古い物が残っています。

17-083_t_GF.jpg

城は、大変数奇な運命を辿り、第2次大戦時には病院として使用され、
解放後に、城の子孫が修復にかかったものの資金が続かずに断念、宗教関係の
施設となったりで、

この地方の起業家が買い取り修復、ホテルとして、文化事業のセンターとしては、
ついこの5年ほど前からなのだそう。
       


古い城館大広間の、暖炉のタイル。 オリジナルだそうで、絵柄がヴェネツィア風景。

18-084_t_GF.jpg



古い城館大広間の壁、上部にずらりと並ぶ紋章で、一族の縁組による各貴族の紋章。
確か左半分が、花婿の家柄で、右が花嫁の家の紋章だったと。

19-085_t_GF.jpg

上に赤い3つ輪のリボン、下半分が赤白の斜め縞は、ここブランドリーニ伯爵家の紋で、
赤いリボンはかのガッタメラータ将軍の紋で、なぜなら彼は、初代のブランドリーニと
同じ傭兵の同僚として働き、2人で城と領土を受けたものの、後にガッタメラータが
相続を遺棄し、ブランドリーニ家がこの城の唯一の持ち主となったのだそう。

パドヴァの、サン・タントーニオ教会の前にあるドナテッロの
ガッタメラータ将軍騎馬像の、彼の印が、こんな所にも!

ガッタメラータ将軍騎馬像のあるパドヴァは、グロリオーザさんのご案内で。
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462329045.html



傾斜地を利用して作られた、天然の要害でもあるこのお城ですが、
中庭も、こんな傾斜で成り立っています。

20-086_t_GF.jpg



この方がガイドをしてくれました。 少しまろやかに、色白の美人。
そして何にも増して、素晴らしく見事なガイドだったのですね。
留まることなく、きちんと説明してくれ、大変な勉強振りが偲ばれました。

21-088_t_GF.jpg

長い薄物に銀色のサンダル。あなたはとても美しい、撮っても良いですか、
と尋ねると、ぽっと照れてOKをくれたのですが、残念、素敵な目が写らず。



ちょうど今頃のようですが、村全体で、かってを偲ぶ古い仕事や、
古い農作業を再現してみせるお祭りが行われる様子。

22-59_t_t.jpg



そして、こんな風にお城の歴史の再現も。
こういうのは、完全にご本人が楽しんでいるのでしょうねぇ?!

24-47_t_t.jpg



現在の4つ星ホテルの、部屋の模様。 http://www.castelbrando.it

25-20_t_t.jpg



満月と古城と。

26-20_sh01_t_t.jpg


*****

ブログご訪問、有難うございます!
見たよ! の応援クリックも宜しくお願い致しま~す!


*****

コメントの書き込みについてのお願い。

ブログの記事下に、「コメントを書く」が出ていない時は、
上か右の、記事タイトルをクリックして頂けると
記事の一番下に「コメントを書く」が出ますので、よろしくお願いいたします。
非公開コメントをご希望の場合は、非公開で、と書いて頂くと、  
コメント承認制ですので、保留にし、お返事だけ公開しますので、
それもご了承下さいませ。

この記事へのコメント