・ パドヴァ ・ 聖アントニオの街

今日は、月一ゲストのグロリオーザさんの写真とコメントで、
パドヴァ・Padovaのご案内を。

ヴェネツィア・ミラノの大幹線上、そしてフィレンツェ~ボローニャ、ローマへの
分岐点でもあるヴェネトの大きな街で、近年市内電車が通ったり、
移民問題でもTVのニュースに事欠かない街でもあります。 ごゆっくり、どうぞ。
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今回はパドヴァの紹介です。ヴェネツィアの隣町という感じで、電車だと約30分、
普通列車でヴェネツィアから往復5,8ユーロという手軽な小旅行です。
スクロヴェーニ礼拝堂・Cappella degli Scrovegni.  
駅を降りてポポロ大通りを真っ直ぐ南下すると、左手に、ジョットの壁画で
あまりにも有名なスクロヴェーニ礼拝堂があります。

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ここは完全な予約制ですが、日本からでもサイトから予約が可能です。
ただし、カードはVISAかマスターカードしか使えません。
1時間前に切符を受け取り、温度調整室で15分間ビデオを見たうえ、
15分間だけ見学が可能という厳重な管理体制がなされています。

各々の絵もさることながら、抜けるような天井の青に包まれた幸福感が、
何ともいえないものでした。
写真撮影は禁止なので、この写真は借り物です。



エレミターニ教会・Eremitani.
礼拝堂のすぐ隣りには、エレミターニ教会があります。
ここで最も目を引くのはマンテーニャの「聖クリストフォロの殉教」です。

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ただ、第二次世界大戦の時の空爆で大きな破壊を受け、
一部は消失してしまっています。



そのアップ。 とても生き生きした人物像ですよね。

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空爆で倒壊したときの、建物の写真も飾られていました。

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内陣のフレスコ画です。

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入口左側にはヤコボ・ダ・カラーラの墓があります。 ペトラルカの詩句が
刻まれていますが、ラテン語なので内容はわかりません。

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サンタントニオ聖堂・Sant'Antonio.  
ポポロ通りから続くガリバルディ通りに戻って、さらに南に20分ほど歩くと、
左側に、大きなサンタントニオ聖堂が見えてきます。

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パドヴァに住んでいた事もある作家坂東真砂子のエッセイ
「イタリア 奇蹟と神秘の旅」では、
「たこ焼きのように並ぶ丸屋根、そこから突き出した鉛筆状の尖塔」
と表現されていますが、まさに巨大なたこ焼きがいくつも並んでいます。



聖アントニオはポルトガル生まれですが、すぐにパドヴァに移り住み、
フランシスコ会修道士として数々の奇蹟を起したといわれています。

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彼は聖マリア・マテル・ドミニ教会所属だったのですが、
聖マリア・デ・チェッラ修道院で亡くなりました。
彼の死後もいろいろの奇蹟が起こり、信者達は修道院に巡礼に訪れる
様になりました。 同修道院の権威も高まり寄付もどんどん集まるのに、
ドミニ教会のほうは無視されがちになってしまいます。

これに対してドミニ教会側は、豪華な棺とそれを収める巨大な聖堂を
自分の隣りに建設し、法王に画策し、ついに遺体を取り戻すことに
成功したそうです。 
その聖堂がサンタントニオ聖堂です。 結構生臭い話ですね。



その聖堂の壁面には聖人たちの像が刻まれています。

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内部の光景です。 これではないのですが、棺の置かれた聖アントニオの
礼拝堂には、次々と信者たちが訪れて石棺に手を当てたり、祈りを捧げたり
する姿が絶えませんでした。恐れ多くとても写真は撮れません。

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棺の周りには「per grazia ricevuta」と記された手紙などが
山のように置かれていました。「祈願成就」とでも訳せばいいのでしょうか。
結婚や病気からの回復などはわかりやすいのですが、交通事故の写真も
あったので、不思議に思いましたが、
これはお祈りをした帰りに事故に遭ったが、奇跡的に早く回復した事を
感謝する手紙でした。



反対側のサン・フェリーチェ礼拝堂は、ゴシック式の美しい様式で、
ジャコボ・アヴァンツォのフレスコ画「十字架刑」が飾られています。

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サンタントニオ広場。  外に出たら、ロウソクの売店を見つけました。
とても長いもので、11月にヴェネツィアのサルーテ教会の祭りで
見かけたロウソクを思い出しました。

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広場には、ドナテッロ作のガッタメラータ将軍騎馬像があります。

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ヴェネツィアのパオロ教会広場にある、ヴェロッキオ作のコッレオーニ騎馬像
とともに、ルネサンスの騎馬像の傑作といわれるものです。



隣りのサンタントニオ信者会2階には、16世紀ヴェネツィア派のフレスコ画が
18枚飾られていますが、最も注目されるのがこれ「新生児の奇蹟」。
生まれたばかりの赤ん坊が、母親にかけられた嫌疑を晴らす場面ですが、

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ティツィアーノが独力で制作した最初の作品といわれています。
後に「画家の王」と呼ばれるようになったティツィアーノの原点ともいうべき
作品とその空間を、完全に独占状態で堪能しました。
この建物にまで来る人はほとんどいないようです。



その先に広大な公園があります。 プラート・デッラ・ヴァッレ・
Prato della valle と呼ばれるこの場所は、昔ローマ劇場のあった所で、
18世紀の建造です。80体にも上る彫像がずらりと並んでいます。

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バラエティに富んだ彫像たち。周囲には食べ物などの市が開かれて
にぎわっていました。


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グロリオーザさんの旧ブログ、「イタリアの誘惑」は、こちら。
http://jun-gloriosa.cocolog-nifty.com/blog/ 

「新イタリアの誘惑」は、こちらに。
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グロリオーザさんの、パドヴァのご案内、いかがでしたか?
私も久し振りに、パドヴァに出かけたくなりました。
      
スクロヴェーニ礼拝堂のジオットの壁画も、エレミターニ教会の壁画も、
近年修復されましたが、
とりわけ、スクロヴェーニ礼拝堂のジオットの作品は、あの名高いアッシジの
サン・フランチェスコ教会下院の壁画と同じモチーフで、こちらの方が
サイズが小さい分だけ密度が濃く、傑作という批評家の説もあります。

エレミターニ教会のマンテーニャの作品は、遠近法を最大限に使っての
迫力あるものですが、この聖クリストフォロは、優しい力持ちの大男、という
中世に大いに愛された聖人との事で、他の人物に比しての大きさも納得です。

ヴェネツィアから近いので、楽に訪れる事ができます。 是非どうぞ!


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