・ レオナルド・ダ・ヴィンチの発明した物、考案した物

今年は何かとレオナルド・ダ・ヴィンチについての新発見が多く、最近の
科学審査の進歩に伴い、彼の作品と違うと今迄言われていた何点かが
真品であると認められたとか、
長年言われてきたフィレンツェのヴェッキオ宮の壁の下の捜査も始まる、
という様子で、彼の話題が多い事でした。

shinkaiも歩けば棒に当たるで、浦島たろ子風に世間の話題と関係なく
ウロチョロしている当ブログにも、何度か彼が登場しましたが、

ちょうどこの秋、我が町で彼の残したスケッチ類、発明や考案のスケッチ類を
長年に渡って研究され、小さいながらも動く模型を作られている、
その展示会がありました。
 
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紙に描かれたスケッチが動く、というのが大きな魅力! 出かけて行って
写真を撮らせて貰い、再度説明を聞きつつ動くのも見て、成程!と
思うのも何点か、また、これはお遊びの部類、失礼、というのもありましたが、
それらをここに皆さんにも!

上は会場、アルテストーリア・Artstoria というグループの本部横、
このグループの企画で、展示会や見学にも出かけるのですが、
良く研究され準備された方々で、説明が大変的を得ていて分かり易く、
参加できるのがいつも楽しみなグループです。
http://www.artestoria.org



会場は事務所横の大きな部屋で、
子供達の見学もあったり、実際に動かして楽しんだ様子。

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レオナルドが遺した数々の発明、考案のデッサンは夥しい数に上り、
実際に使われた物もそうでないのも、埋もれた数の方が断然多い筈ですが、
今迄にもモデルに起こした方は何人もおられるようですし、
今回ちょっと見ただけでも、デッサンを分かりやすい絵にしたりの
サイトもたくさん見つけました。
       
展示品は、ヴェネトのジローラモ・コヴォラン教授・prof.Girolamo Covolan
が1997年から取り組んだ物で、
いつもはトゥレヴィーゾを流れるシーレ川沿いのサンクチュアリー・
Oasi di Cervaraの中にある古い建物に展示されている様子。

オアジ・チェルヴァーラ ・ シーレ河の自然公園  n.1 と n.2
このサンクチュアリーも水が枯れ始めていたのを、レオナルドの発明である
水車を用い、シーレ川からの水を運び蘇らせ、コウノトリの繁殖も、という
プロジェクトの一環だそう。

この様子は、イタリア国営放送RAIの番組のYoutubeも見れますので、
こちらをどうぞ。  http://www.macchinedileonardo.it/

右に縦に3つ並ぶヴィデオの内、真ん中のが今回の展示会でご紹介の
モデルのあれこれが実際に動くのが見られ、コヴォラン教授自身が説明を。


つまり今回展示されていた物は、いわば動く小さな模型展とでもいうか、
今迄実際に作られた事が無いのもコヴォラン教授が実現したリの一部分で、
レオナルドのデッサンと並べてご覧頂きますね。


まず、ヘリコプター。
かって全日空の尾翼に、この形のデザインが描かれていたと記憶していますが、

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支えに立て、横の歯車をぐるぐると回すと、ふっと浮いたと。

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こちらは鳥の羽、飛ぶ研究のデッサンを基にした物で、左のテコを上下すると
羽が軽く動きます。 つまり鳥は、羽を上下するのに筋肉を使っている訳ではない
という部分なんだそうでして、はぁ。

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レオナルドは各地の実力領主に招かれ、戦利用の為、城の保守に、また領土内の
河川工事について、あれこれ考案したり設計したりしていた訳ですが、
(その間に勿論、絵の依頼も受け描いていた訳で!)

遺されたデッサンの中には有名な「戦の機械」の幾つかもあり、
こちらは戦車。

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下の箱は展示用で、2つ見える輪を回すと、中の輪車が自由な方向に動く
仕掛けが見える様になっていて、

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中はこんな様子。  中に兵士が入り、歯車の梃子を回し自由に移動でき、
上下の隙間から鉄砲、または小砲を四方に撃てるという形。

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レオナルドはこれ以外にも、機関銃式に次々と撃てる小砲、巨大砲、潜水艦式
などなど、様々な近代兵器も考案しておりますし、

イスタンブルの金角湾に架ける橋の設計も売り込んでいた、と知り驚きましたが、
他にも回転する橋、2層の橋、取り外して持ち運べる橋、などなど、
まさに知れば知るほど驚くばかりの、頭脳のフル回転!

ガラタ橋は、釣り人天国 ・ イスタンブル 
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461093420.html 
      
こちらのサイトに、分かりやすい図にした考案の数々が。
http://www.leonardo3.net/leonardo/machines.htm        




これは、鎌を付けた戦車とでも! 見るからに恐ろしげな戦車のデッサンで、
前にも後ろにも、当たるを幸いなぎ倒す、鎌で切り取る式の戦車。

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モデルに作られたのがこれでして、

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まさに恐ろしい戦車ですがぁぁぁ、
ああた、こんな鎌を前に見ながら、馬が走ると思われます?!
まさに、レオナルドが馬鹿領主を前に大法螺を吹いて、ははは、
自分の売り込みを図る様子が目に見えるようではありませんか?!



これは初めてモデル化されたという、2重のカタプルタ・弩砲と日本語では
いうのだそうですが、大きな投弾機とでも。

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使い方をご説明いたしますので、はは、ごゆっくり眺めて下さいね。
読まないでも分かる(可愛くない)方は、お先にどうぞ!

右の棒の足元にある台に弾(今左に見える丸い玉)を乗せ、・・この仕掛けが
見えませんが、ぐんぐんと迫上げ、一番上の台に乗せます。
そして一番手前の歯車を回しロ―プの付いたしなう板を引き寄せ、
ロープの途中に見える継ぎ目を外し、これはちょっと引くと外せる仕組みで、
しなう板がパンと上の横板を打ち、上の腕部分が回り、回った勢いで
右の上板の弾を打ち飛ばす、
という仕組みでございます、お分かりになりましたぁ?

カタプルタは、中世の城攻めでも良く使われた様で、
弾だけではなく、火を付けた藁玉も撃ち込んだりした様子ですが、
この大きな単純な形を見た事があります。
       
サン クイリコ・ドルチャ ・ 中世街道の分岐点
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461279240.html       


この2つはなんとなしに可笑しい、現在見るから可笑しいのですが、
当時の兵士にとっては命にかかわる城壁防御、左側、と
右は逆に城壁を乗り越える為の梯子。

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左は下の横十字の棒、梃子を兵士が回すと歯車の仕掛けで、城壁の上に
突き出た十字棒が回り、向こう側から上って来た適をなぎ倒す、という物。
右の梯子は移動でき、梯子の角度調節付き。



これはもう、うふうふ笑いそうになった物ですが、

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城壁の上に穴を開け、手前側にこういう仕掛けを付けておき、いざ敵兵が
向こうに梯子をかけ上り始めたら、手前の棒を引く。
と城壁の向こうに突き出ている棒の先の横板が敵の梯子を押し返す、
という仕組みでござるよ、ははは。

       

ここからは彼の平和で、有用な考案物を。
       
レオナルドが大いに関心を持ち研究した物の中に、水とその流れ、そして歯車と
水の流れが自動的に関連して動く仕組みがあるそうで、

こちらは水車を動力源にして、水を他の場所に運ぶ仕組み。
これが上記したオアジ・チェルヴァーラで実際に活用されているものですね。

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これが模型で、水車が左回りに回ると、筒状に巻かれたチューブを通り
水が汲みあげられる仕組みで、

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つまりこれが可能なのは、水の渦巻きは常に、地球の自転により北半球では
左巻きなのを見極めたのを利用し、この筒状の物は左巻きに動き、
水を汲み上げるのですね。

これを聞いた時、ムチムチのshinkaiは思わず、え?!でしたが、
皆さんご存知でした?! ・・と仲間を集める、ははは。
      


これも水力利用の挽き臼と、小麦粉ともみ殻の選別機、

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中央上に見える丸いのが挽き臼で、水車利用で挽き臼が回り、上から小麦を
入れ粉が滑り台を通り、丸い布が筒状になった中に。

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一方水車利用の力で歯車を動かし、これが布の筒の下に見える棒を筒の下を
こする様に左右します。
これで重いもみ殻は布筒の下に残り、軽い小麦粉は筒先から出るという仕組み。



やはり水力利用の、製材機。

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水車が回り、これが上に突き出して見える鋸歯を上下させ製材しますが、
右上に見える丸い歯が左下の重りに連絡し、最後まで製材した後に、
自動的に木材を挟む枠が戻る仕掛け。

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これは実際に活動した様で、ドロミーティーの麓の村に復元され、
ヴェネツィア式製材所、だったかの名前で、グループで申し込むと見学できるそうで、
たまたま息子たちが行った時に開いていて見物出来、
動画に撮ったのを私も見せて貰ったのですね。

実際の大きさは、大きな小屋一杯に埋め込まれる仕組みで、大きな鋸歯が
ギコギコと上下するのは、ちょっとした感動もので、彼らも大いに見惚れたという話。



基材打ち、これも初めてのモデル化だそうで、ドスッと落ちるのを見て、おお!

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つまり、この重しを両側から吊っている鉤状の物が、上に引き上げられ、
上の丸い形に沿って開き、フックが外れ、重しがドスンと落ちる仕掛けで、

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ご想像下さい! ヴェネツィアの街建設為の干潟への基材打ちに、
パラッツォ・ドゥカーレ等の基礎建設にも、大いに活躍した姿を!

パラッツォ・ドゥカーレ・ディ・ヴェネツィア その1 
       


こちらは手動印刷機の圧搾の仕組みを、自動的にする改良だそう。

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つまり手前に延びる梃子を回す事により、奥の歯車の仕掛けで、
手前の紙台が上に引っ張り上げられ、ここに傾斜があるのがミソで、圧搾機の下に
上手く入り込むようになっていて、ここで上から押し付ける、という形。

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これは子供達の見学で大いに試され、インクで汚れておりました。

ソンチーノ ・ 中世の要塞と、ユダヤ人の印刷所 その2
   


回転するクレーン。

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レオナルドが考案した物を、フィレンツェのドゥオーモの屋根建設にブルネレスキが
実際に実用化して使った物で、一方向だけでなく、回転してどの部分にも使える、

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高さも上下する、というのがミソですね。



彼の大いなる関心は、歯車の組み合わせにより梃子を一方向に回すにも拘らず、
作用する向きが縦にも横にも、組み合わせる螺旋形、蛇行形により、
途切れることなく様々な動きに変化する、事にも向けられたようで、

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時計の振子運動に相当する物、扇を動かす形、等、様々のモデルも展示
されていましたが、この辺りになると、shinkaiの頭は考える事を停止で・・!
      
という所で、ご案内は終わりですが、
       
レオナルドの生きた15~16世紀、動力源ば人力と動物の力、そして自然の
風水力という時代に、当時にあっては奇想天外な想像力を働かせ、
頭脳の及ぶ限りの研究と考察を続け、これは時に現代の素材と動力元をも
必要とし、当時では実現不可能な物もありましたが、
       
一方、当時の社会状況に根差した水車利用の農機具の改良とか、製材機とか、
基材打ちなどの実用的な物、と二方向に分けられるのが大変興味深かったです。

レオナルド・ダ・ヴィンチの生家と、その周辺
       
レオナルド・ダ・ヴィンチの母親について
       
「アンギアーリの戦い」始末記と、その周辺もろもろ
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/461130197.html      



さて、ちょうどクリスマスになりますので、
最後はやはり、レオナルドの描いた聖母子を。

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そして、いちびりshinkaiとしましては、
サイトで見つけたからには、どうしてもご覧に入れたい、ははは、
レオナルド関連の一枚を!
皆さま、ブオン・ニャターレ!!

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