・ 新開志保 ・ 水彩小品展  n.1 

11月に、広島の尾道と広島市で、水彩小品展を開かせて頂きます。

今まで下描きのスケッチにのみ水彩絵の具を使っていたので、
水彩の作品にするのが難しかった、が、正直な感想です。
描き始めたもののボツになったのも何枚か、で、
新しい作品は結局10枚ほど、・・う、う、う。

でも今日は気を取り直して、現場での古いスケッチも含め、
大好きなイタリアの風景を見て頂こうと、アップいたします。
会場、会期については、最後にご案内を。


◆ アッシジ ・ 夕暮れ時   (23x19)
      
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アッシジは18年ぶりの再訪でした。
ウンブリア全体が大地震の後大修復が行われ、
アッシジもすっかり白く美しくなり、見違える様に。
       
町が観光用に一層賑やかに派手やかになった部分もありましたが、
それでもやはり穏やかな、中世の空気を伝える町に変わりはなく、
気持ちよく小路を辿り歩きました。

これは、サン・フランチェスコ聖堂に近い
サン・タンドレア小路のアーチの下の水飲み場。
ちょうど夕暮れの陽が斜めに差しこみ、時折鳩たちも水を飲みに。

アッシジ
      
       

◆ ウンブリアの屋根 ・ プレーチ・Preci  (24,5x14)

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殆どマルケ州に近い、ウンブリア州東南の山中に位置するプレーチ。

スポレートから東に続く、ヴァルネリア渓谷から少し入った所、
中世からヨーロッパ中に名声を知られた、プレーチの外科学校で
有名で、プレーチから少し南に、外科学校の起こりとなった
サン・テウティツィオ修道院もあります。
      
3泊したホテル、アッリ・スカッキ・Agli Scacchiは、かって名医を
輩出したスカッキ家を修復した物で、これはそのホテルの窓から。

家々の壁は10年前の地震の後修復され新しいのですが、
上から見る屋根瓦は、古い瓦も使われ、趣ある深い味わいの眺め。

プレーチとサン・テウティツィオ修道院・中世の外科学校を誇る
      


◆ グッビオの壁 ・ Gubbio    (25x18,5)

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この春、2週間ウンブリアを旅行した時はアッシジに拠点を置いて、
あちこち出かけました。
グッビオも、ノルチャも、スポレートも、スペッロも、その様に訪問。

ウンブリア全体が緑豊かな、農業の盛んな地域ですが、
それと共に、手工業の陶器や織物でも有名です。

陶器も町々の伝統があり、かなりの違いが見られますが、
私はこのグッビオの陶器が、如何にもイタリアらしい大らかさと、
色とで気に入りました。
       
作品ごとに見ると、日本の陶器の繊細さからは程遠いのですが、
こうしてたくさん並んだ壁は、大好き。
       
グッビオ ・ インジーノ山の麓、ローマ期からの町
   
    

◆ ノルチャ美人 ・ Norcia   (20x17)

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聖ベネデットの生地、そして何にもまして、豚肉製品で有名なノルチャ。
町の目抜き通りにはたくさんの店が立ち並び、店先には猪の剥製があり、
町の歴史から想像していたのとは少し違いました。

が、中心広場の博物館には、やはりそれなりの文化都市であった事を
うかがわせる展示があり、
壁のフレスコ画の中に、彼女がいました。

実際の彼女は、もっと、うそぶいた顔でしたが少し優しく。  
ただし、どちらが良いのかは・・?!

ノルチャ ・ そして、カステルッチョ 
      


◆ アルカ・ペトラルカ にて ・ Arqua Petrarca (22x16,5)

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ヴェネト平野、パドヴァから南に25Kほどのエウガネイの丘陵地帯に、
この穏やかな、素晴らしい小さな村があります。

14世紀のイタリアの大詩人ペトラルカが、生涯最後の地、として
選んだ場所で、彼の住んだ家が、今も博物館として残ります。

かなりな急坂の続く村の中、古い教会の前庭部分、
アーチの下に射し込む早春の陽。白い猫ちゃんが居たらよいのにと。

ジュッジョレというヤシの実を漬け込んだブランディが特産品で、
これが大変美味しかった。

アルカ・ペトラルカ ・ 詩人の里 ・ 中世の町
       


◆ カステルッチョ ・ Castelluccio    (27x21)
      
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ウンブリアの東南部にあるノルチャから、カステルッチョに行くには、
標高1521mの峠を越える30kの行程。
運転初心者の私には、行く前には少し圧迫感がありましたが、
道路標識の → を見ると、当然のようにgo!

素晴らしい風景、常に見るイタリアの景色とは
まるで異色の世界がありました。

緑滴る、春たけなわのウンブリアの里から、この雪山の眺め。
まさに、地の果て!
そして、山の襞の美しさに、夢中になりました。
       
右手前の丘の向こう、山との間に直線距離で、10k程にもなる
大平原が広がり、晩春には、大お花畑になるそう。
いつか再訪できますように!


ノルチャ ・ そして、カステルッチョ 
       


◆ カルチョーフォ ・ Carciofo   (15x19)

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美味しくて大好きなカルチョーフォ。
いつもは複数形で、カルチョーフィと呼びます。

定番料理法の茹でて、一枚ずつむしって葉の中身を食べるより、
何等分かに切り分け、オリーヴオイルで炒め、
白ワインを注ぎ、こんがりと蒸し煮にします。
これが本当に美味しい! お試し下さい!! 



◆ わが猫 ガボさん   (11x15)

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我が家の長男猫は、代々「ガボ」を受け継ぎ、彼は3代目でしたが、
余りにも彼にぴったりの名で、多分、永久欠番になると思います。

長男ながら母親役も勤め、私が次々拾ってくる猫さん達の面倒を見、
17歳の長寿を全うした、大変に頭の良い猫さん。

猫の名を呼ぶのに、クンとか、サンとか、ちゃんとか、同居の中で、
相手を自然にランク付けしているのに気がつき、可笑しくなりますね。

が、彼と私の短くも長い生活を振り返り、
彼が私にくれた愛情を思い出すと、少し、胸に迫るものがあります。



◆ わが猫 ハク     (11x15)

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我が家の4匹のうち唯一の女の子で、  
彼女は大いに女である事を意識し、楽しんでいましたね。
私よりも、楽しんでいたのではなかろうか!

「ハク」という名は友人がつけたもので、「裸足の”伯”爵夫人」に由来。
 
猫でも、メスは骨細で華奢な体をしている事を彼女は教えてくれ、
これは私にとっての大発見。
が一番の狩人で、家の中によくトカゲやヤモリが転がっていましたっけ。



◆ わが猫 ケン君   (14x19)

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ケンという名は、開高健さんから勝手に頂いた名前。
当時の私はかなり彼の文章にいかれていたので。

目つきの鋭い、時に「シンカイ組 ケン」と友人達にからかわれる、
そのくせ、神経が本当に繊細で、鼻のホクロが素敵な猫さんでした。

このスケッチの中で、なんと目が優しくなった事!
私の思い出の中、彼らはいつもそこに。



◆ わが猫 フィニ    (14x16)

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我が家唯一のアビシニアンの血統猫。 
友人の家から4番目としてやって来たので、「最後」の意味をこめ、
フィニと命名、でもいつもは、フィーちゃん と。  
最盛期11キロの巨体を誇り、16歳まで長生き。

13歳を過ぎて後私が抱っこすると、彼も私の首に手を回し、
ぎゅっと抱いてくれるテクを覚え、なんと喜ばせてくれたものか!

このスケッチを日本の友人に送ったら、
彼女は久し振りのフィニに、涙をこぼしてくれたそう。幸せなフィニ!  



◆ 梨    (12x11,5)

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こちらの店先、スーパーでも、葉付きの果物をよく見かけます。
大きさも様々、形も不揃い、でも、美味しい!
野菜も不揃い、不恰好、でも美味しい!
小さな葉のついた梨を、見かけました。



◆ 林檎    (21x13)

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フジとかゴールデンとか、日本と同じ名前の林檎がたくさんありますが、
さて、これは何でしたっけ?
赤い色の入り方が面白いと思って2つ並べて描いたものです。

そうそう、日本では見かけない林檎にコトーニャ・Cotognaという種があり、
この種は、煮ると煮崩れてジャムに最適。
畑で盗んだ林檎で、いえ、実行犯は私ではありませんが、
自家製のジャムを作った事があります。 美味しかったぁ!!
  
 
***

これよりは古い作品、イタリア風景を、現場のスケッチ作品でご覧頂きます。
鉛筆、不透明水彩(グワッシュ)使用で、説明も古いHP掲載時の物。

◆ シエナ・Siena ・ カンパッチョ少路   (30x23)   

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古い家並みの入り組むシエナの街。  
いくつものアーチが重なり、少路が抜け、中心地へと連なる。
すり減った石畳には、滑り止めの小さな穴が穿たれ、
色も形もそれぞれ違うレンガ壁。

その壁の厚みに、歴史の重さがある。
厚い壁に小さめのドア。そこだけが現代の色をしている。 



◆ シエナ ・ サンタ・カテリーナの家の近く  (22,5x31)   

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巨大でガラーン、という感じのサン・ドメニコ教会の前を、
中心地に向かって下ってくると、ここに出る。

くりこんだアーチの中に窓があり、右側の塀もアーチの中に入り込み、 
建物の下を道が潜り抜けている。
左側は、出窓も張り出し、建物の間も分かれている。  
中はどんな形?  どの位の広さ?

描きながら、眺めながら、疑問だらけ。
こういう家に住んだら、少しは中世の人々とも、
親しい気持ちになれるだろうか?

*アッシジの聖フランチェスコは、イタリア国の守護聖人ですが、
  このシエナ生まれの聖女カテリーナは、
  確か、イタリアの守護聖女だったと。



◆ シエナ ・ パッラ・ア・コルダ少路   (26x22)   

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中心地にほど近い少路だが、 
車は入ってこないので、座り込んで描く。
夕方近く、隣にドスンと座り込む若いお兄ちゃん。 
「やぁ、僕が出かける時始めていたけど、もう殆ど出来たね!」
       


◆ シエナ ・ サン・ドメニコ教会前から   (30,5x22)  

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バス駅の近く、サン・ドメニコ教会側からシエナの中心地の眺め。
シエナは丘の街。  向かい側の丘の上、一段と高い場所に
シエナのドゥオモがあり、それを幾重にも取り囲むように、
古い家並みが連なっている。

この家並みのそれぞれに、この窓のそれぞれに、
中世以前から、延々と繋がる歴史がある。
そんな事を実感させる、シエナの街並み。

シエナのパリオ ・ イタリアのお祭り
      

新開志保 水彩小品展 
* 尾道 孔雀荘 11月1日(木)~15日(木)火曜定休9時~18時
  尾道市西土堂町4-8 Tel 0848-25-2109
                        
* 広島 無垢画廊 11月19日(月)~24日(土)10時~18時
   広島市中町5-19 Tel 082-246-0690(広島TV向かい)

会期中、会場でお喋りできます事、楽しみに!


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