・ オリエント・エキスプレス発着駅 ・ イスタンブル

鉄道がお好きな方、アガサ・クリスティのファンの方、映画キチの方、
今日はオリエント・エキスプレスの東の発着駅、
イスタンブル駅のご案内です。

トップの写真は、駅前通りからのボスフォロ海峡の眺めで、
この通りの右側に駅があります。

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地図をどうぞ。
太線で囲った所が駅の位置で、

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右の上から順に、トプカピ宮殿、サンタ・ソフィア聖堂、ブルー・モスク。



こちらが現在の駅の正面、上の写真の通りに面した広場の奥にあり、
左上にちょっと飛び出して見える屋根がかっての正面で、後ほど。

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切符売り場や案内所がL字型にあり、こちらは脇の小さい方、
ほらね、普通の駅と変わりないでしょ。

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上の駅舎を突き抜けるとこんな感じで、
右手側は電車が到着し、人々が降りてくるのも見えましたが、
で、左手の由緒ありげな方はひっそり。

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左手の一番手前側、美しくどっしりとしていて、
扉が開いていたので入って見ましたら、暖房が入っていて、
2,3人の男性が寝場所にしていた様子。

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このステンド・グラスの扉と窓を写し、退参しましたが、
これだけで、かっての時代の香りが漂って来ますよね。



1番線、ここがオリエント・エキスプレスの発着場だったのだと、
通りがかりの小父さんが教えてくれ、
そう言えば、隣との間に垣根の網があるなぁ、と。
ええ、向こうの電車は到着して、人々が降りて行くのが見えました。

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それにしても、この1000万を超す人口を抱える街の駅にしては
本当に規模も小さく、閑散としています。
イスタンブルの街には、勿論駅が他にもあるようですけど、

我が日本の東京駅、大阪駅等など、ちょっと考えただけでも、ね。
上の地図でもご覧の様に、鉄道の線がほんの2本ほどしか見えず、
このトルコの国の人々は余り移動しないのかな?



とまぁ、それはさて置き・・、オリエント・エキスプレス、でございます。
このなんとも素敵な響きは、かっての良き時代の優雅な上流階級の
人びとと、当時の寝台車による旅行の香りを一挙に運んで来ますねぇ。
当時のポスターの絵葉書を何枚か買って戻りましたので、どうぞ。

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お気が付かれました?
ロンドン、パリ、コスタンティノープル、
パリ、ミュンヘン、ウィーン、ブダペスト、ベルグラード、コスタンティノープル、
はい、イスタンブルではないのですね。

そうだった、いつ名前が変わったのだろう?とちょっと調べました。
今回は、はい、オリエント・エキスプレスについては、
日本語版ウィキペディアが大変詳細に! 有難うございます。

オリエント・エキスプレスは1883年に運行が開始されたそうで、
第1次、2次世界大戦の停止時期も挟み、
出発経由地も様々に変更されつつ、
運行会社もあれこれ変更があったりしながらも、
西ヨーロッパからアジアの西の端を結ぶ豪華客室食堂列車として、
6日間かけての行程を、当時は一部船舶運行でしたが毎日運行。
       
街がイスタンブルと正式に変わったのは1930年のトルコ革命後、
という事で、コスタンティノープルとあるのも問題はない様ですが、
・・いや確かに「イスタンブル」という名はエキゾティズム満点ながら、
「コスタンティノープル」の方が、歴史的に由緒ある気がしますよね、
なんぞと、かってにほざいておりまして・・。

でこの列車運行は飛行機に勝てず、遂に1977年に停止され、
それでもパリ・ウィーン間は2007年まで、それも2009年に停止。

逆に後に優雅な観光列車として各地で再運行が行われている様で、
実際つい先日ヴェネツィア・ローマ間を走ったとか。
私は一度ヴェネツィア・メストレの駅でオリエント・エキスプレスの
深いブルーの客車を見た事がありますが、1977年以前と言う事はなく、
1982年からのヴェニス・シンプロン・オリエント・エキスプレス
と呼ばれる物だったようです。

須賀敦子さんの作品に、父君が若き日に乗ったオリエント・エキスプレスの
コーヒー・カップを亡くなる前に欲しがっているのを知り、
彼女がミラノ駅で貰い受けたのは、この列車だったのでしょう。



さて、この1番線の横並びの駅舎にありましたこのレストラン、
その名もオリエント・エキスプレスで、1890年から、と。

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せっせと一人の男性が開店準備中でしたが、ドアも開いており、
何もとがめられることなく中の見物に。



こちらが正面入った部屋で、奥の扉の向こうは現在修復中で、
テーブルは全てセットされておりまして、

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こちらは右奥の部屋、
はぁい、正面にすぐ分かるあの方アガサ・クリスティと、
映画「オリエント急行殺人事件」の場面写真。

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アガサ・クリスティが映画の元となった作品を発表したのは
1934年で、映画は1974年制作。

30年代がオリエント・エキスプレスの最盛期だったそうで、
彼女自身もこれで旅行をして良く知っていた汽車旅と、
裕福な商人や旅行者、果ては王侯貴族や外交官たちのご愛用の
高級な雰囲気と、そして実際にあったリンドバークの幼児誘拐殺人とを
上手く組み合わせた内容だったと思います



トルコ語のポスターをどうぞ!

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映画館では見ておらずTVで見ただけですが、
出演者では、ローレン・バコール、リチャード・ウィドマークなどは
良く覚えておりますが、
ショーン・コネリー、イングリット・バーグマン等覚えておらず、
ショーン・コネリーは好きなのになぁ・・、
荒筋も良く覚えておりますが、謎解きが面白いのでここではパス。



奥の部屋にあったこの方の写真、
今回お札の肖像にもどこにも、至る所に見かけたこの方、
近代トルコの立役者、初代大統領のムスタファ・ケマル・アタトゥルク・
Mustafa Kemal Atatürk。

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イスタンブルの空港もこの方の名前で、
ムスタファが両親の付けた名前で、選ばれし者の意、
幼年兵学校時代、数学が得意な彼に先生がケマル・完全な、を付け、
トルコ近代化に大いに貢献した彼に大国民議会から送られた姓が
アタトゥルク・父なるトルコ人 なのだそう。

仲間が言うには口髭を生やしていたと言い、滞在中に見たのは、
髭なし、眉尻がくっと上を向いた素晴らしい目の持ち主で、
じゃあ、あれ誰?と言っていたのが、
最後空港の売店で写真を売っていて、店主にこれ誰?と訊ね、
髭ありもなしも彼と分かり、晩年は髭を剃っていた様子。

トルコの近代化、と書きましたが、脱イスラム化を推し進め、
イスラム教を国教としない事、アラビア文字を使わない、
太陽暦の採用等など。

現在ヨーロッパ連盟に加わる運動中ですが、
既にアラブ諸国とは30年代に一線を画していたのかと、納得。  
アタトゥルクの肖像あれこれは、こちらに。     
       
     
     
レストランのワゴンが可愛い、というか、ご愛嬌。

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そうそう、イスラムの国ですから飲酒は一応禁止、
ですが、レストランでもホテルでもビールもワインも飲めます。

国民全員がイスラム教徒ではないので、モスクに行くのも強制ではなく、
お祈りも、ミナレットからの呼びかけが聞こえますが、
道端でお祈りをしたりもなく、ラマダン(断食月)もあるものの、
イスラム教徒でない人々は彼らを尊重し、
彼らにとっては断つのが辛い煙草を遠慮するのだそう。

レストランのサイトはこちらに
メニューも言葉だけで写真がでませんが、もの好きなお方、はは、どうぞ。

余談ついでにもひとつ。
今頃飛行機内では、経費削減でヨーロッパ便、アメリカでもお水も出ず。
が、今回のターキッシュ・エァーでは嬉しい事に!!
2時間の旅でもきちんと食事が出て来まして、うふん、

しかもビーフかチキンか選べるという、飲み物も、ビールでもワインでも
欲しい物をリクエストでき、イェイ、
ビールがヨーロッパのよりも日本のに近いピリッとした味で、
ああ、美味しゅうございましたぁ!

これからお出かけの方、ガイドも言っておりましたが、
トルコはワイン産出国ではありませんで、めちゃ高い上に美味しくない
そうですから、ぜひビールを、ね。

そして、イタリアのコーヒーをご存知の舌には、
トルコ・コーヒーは、小さい声で、泥水並み、と仲間がね、ははは。
shinkaiはもっぱらチャイ・紅茶で、熱々のチャイに角砂糖を落とし、
美味しいだけでなく、ガラスのコップの透明の赤色が、本当に綺麗!
       
    

建物の端にあった鐘。
かっては、ご乗車お急ぎ願いま~す!と鳴らされたのでしょうが、
現在は、金色に塗られて引退の身。

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こちらは、駅舎のかっての正面入り口を入った部屋、
切符売り場でもあったでしょうし、待合室でもあったでしょうか。
この部屋は修復が済み、かってに見物できるようになっており、
天井の高い、当時を偲ばせる格調ある大きな部屋。

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まだまだ隣の並びは修復中で覆われており、
プンと、ニス塗りたての匂いが立ち込めておりました。



天井部分、

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脇の扉、飾り、

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ホーム側の扉、窓、

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正面入り口の扉と、窓のステンド・グラス。
扉の飾りは、アール・デコ調ですね。 こちらは閉じられており、

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再び新しい駅の出口から出て、ぐるっと角を回る所に、
この小さい機関車模型、と思うのですが、ありました。
本物にしては小さすぎるような・・。

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こちらが現在修復中の、かっての表玄関。
あと何年かしたら、新装なった全体の姿が見れる事でしょう。

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駅舎が後ろに見えますが、海側に進んだ所で見た線路の一部。
かっては駅から港側に、引き込み線が敷かれていたのかもですね。

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という所で、オリエント・エキスプレス、
コスタンティノープル駅のご案内はお終いですが、
       
最後におまけを。
駅のレストラン内にあった、懐かしいポスターで~す!

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