・ トスカーナは、麦秋の色、刈り入れの季節 


今日はトスカーナ、オルチャの谷の麦秋風景、そして
レ・クレーテ・セネージ・le crete senesiと呼ばれる、
かっては海の底だったという波打つ丘陵地帯のご案内です。

まずは暑中お見舞いを兼ねて、涼しい色を!
ラベンダーの花にとまる緑の蝶。

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これはシエナの北に位置する、モンテリッジョーニ・Monteriggioni
という、城壁に囲まれた小さな町に行った時のもので、
町の門に通じる坂道にラベンダーが花盛り。
辺り一面、良い香りに満ちておりました。



クレーテ・セネージ、またはシエナのクレーター、という呼び名を
ご存じなくても、殆どの方がトスカーナの波打つ丘陵風景の
写真はご覧になっていると思います。
そう、あの風景がクレーテ・セネージです。
  
で、一体どのあたりにあの風景があるのか?
地図でご覧のようにシエナのほぼ南東に広がり、南に続く
オルチャの谷あたりまで。
ここで次第に緩やかな丘陵となりつつ、でもまだ見る事が出来ます。

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地図の中の赤い線がその見所ルートを示していますが
私は今回シエナから、アシャーノ・Ascianoを通り南に、       
ピエンツァ・Pienza に出る道を行きました。




上の地図でシエナからの道が分岐しているのが分かりますが、
この道に入り込むとすぐに、あ、始まった!と分ります。

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後に長く続く、この異様な白い岩肌。       
そして手前の平野は大きく波打ち始め、
刈り入れのトラクターがあちこちで盛んに活動中。




この白い岩肌、貝殻を伏せたようでもあり、
ある本の表現では
象が、体を地中に埋めながら歩いている、と。
太古には海中だったというのが、素直に頷ける風景です。  

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丘の峯にずっと糸杉が続いている道が見え、
ムクムクと好奇心を誘われ、
その地道を、もうもうと白い土埃を上げながら、辿ってみました。
   
かっての城、要塞をホテルに改装したのが1軒、農家が何軒か
点在するのが見え、上の地図には見当たりませんが、
カステッロ・ディ・レオニーナと標識に。

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谷の向こうにも農家が見えますが、
その間に広がる麦畑の刈りあと。

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そして、こんな池も点在。

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地図でご覧のように、アシャーノへの道はかなり蛇行しつつ、
そしてずっと上り道。
交通量の少ないのを良い事に、あっちを見、こっちを見、
あ、良いなぁ、と思うと道脇に車を止め、
カメラを持ってそのあたりをウロウロ。

この道を行ったのは7月3日。 まさに、トスカーナは麦秋の色、
刈り入れの真っ最中。
これは、ぐるぐると周囲から攻め、今、真ん中が残った所。

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この風景はアシャーノより手前数キロの谷で、この波打つ丘を、
緑滴る写真で見た事があり、そうか、ここだったのかと。
今、蟻のようにトラクターがゆるゆると。

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アシャーノの町は小さく特別な事もなく、ただ、中世の建物が
博物館に使用され、部屋のフレスコ画が大変素晴らしく、
また写真撮影禁止の、古代の墓の発掘品が充実していて。
私には猫に小判ですが、とても残念。




刈り入れの、トラクターの描く面白い線。

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アシャーノの手前の畑で見た、オリーヴの実。
小さく膨らみかけていて。

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アシャーノからピエンツァに抜ける道筋も、上がり下がりの素敵な
美しい道で、地図に見えるトゥレクアンダ・Trequandaという町も
通りすがりに見ただけですが、良さそうな感じ。
ええ、良い美しい町は香ってきます!


昨秋始めてオルチャの谷・Vald'Orciaを訪れ、美しさに魅せられ、
今回はじっくり見るつもりで、ピエンツァの東、
モンティキエッロ・Monticchiello を基地に4泊。
       
ここだと北東に位置するモンテプルチャーノ・Montepulcianoに9K、
ピエンツァ・Pienza に10K、サン・クイリコ・ドルチャ・
San Quirico d'Orcia に19K、
一番西に位置するモンタルチーノ・Montalcino にも33Kと、
オルチャの谷をゆっくり行ったり来たりできるという訳。


モンティキエッロからは、どこに行くにも、まずぐるっと谷を下って
下の十字路まで行き、それから各方角に向かいます。
モンティキエッロからピエンツァ間の、丘陵の麦秋を。
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クレーテ・セネージも、オルチャの谷も同じシエナ県ですが、
少しイメージが違い、ご覧の様に波打つ丘陵は同じですが、
       
オルチャの谷はなだらかに優しく広々と、波打ち始めます。

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殆どピエンツァに近い、丘陵の広がり。   
奥に少し、白い岩肌が覗いているのも見えます。
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オルチャの谷の素晴らしい町村は、また其々にご案内をね。

       


これもピエンツァ近く。 大変なお天気で暑い日が続きましたが、
太陽が雲に隠れると一転して色が変わります。
広い大地に雲が模様を描く、その面白さ。

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今回は撮影モードでチョイチョイ、チョンボをし、
ピン甘の写真が時々出ますが、ご勘弁くださ~い。




麦畑と麦畑の間、道脇の叢には、野草の花が咲き乱れ。

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ここから、サン・クイリコ・ドルチャからモンタルチーノに向かう道筋。
ピエンツァ近郊とはまた少し違い、もっともっと広がリます。
空も、広く大きく感じられます。

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丘の峯にたった1本の木。 こんな風景があちこちに。

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丘は緩やかに広々と波うち、道が白く細く続きます。

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昨年の秋、この糸杉たちをこの土の色の中で見ました。
今回再び枯れ色の中で見て、次回は、緑の中の糸杉をと!

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ここからは、サン・クイリコ・ドルチャの南10K程にある
カスティリオーネ・ドルチャ・Castiglione d'Orcia近郊。

シエナからサン・クイリコ・ドルチャを通り、ローマに向かう道の
オルチャの谷を行く道は、カッシア街道・La Cassiaと呼ばれる
ローマ期からの道。

そしてこの道は、遥かイギリスのカンタベリーから続く、
フランチージェナの道・La via Francigenaとも呼ばれ
フランスを通る一大通商路、大巡礼の道でもあったのですね。
今回そんな事も改めて知りました。

これは珍しく四角な、大きな麦藁の山。

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道は緩やかに上下しつつ、なだらかに蛇行して続き、
なんとも写真を撮りたくなる風景が展開し続けます。

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交通量は結構あるのですが、道脇に所々退避所風な場所が
作られていて、それがまさに撮影ポイント場所なので笑えますが、
ありがたく利用させて頂きますが、      
時に、大型バイク御一行様も同じ場所に止まったり!




ヴェネト平野でも我が家の近くでも、丸い麦藁の束は見ますが、
これだけ広い大地にゴロゴロ転がっているのを見るのは、
まるで違った趣!
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変な例えですが、この無造作加減、数の多さは、
プロと、アマの違いのような・・! ははは。
       



何にもない白い地道。 向こうに広がるのは青空だけ。
こんな道がたくさん、いたる所に。

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刈り入れの済んだ畑と、まだの畑と。
こうしてできる曲線と、丸いアクセントが、なんとも面白く。

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麦の穂を何十年ぶりかに見ました!
こんなにチクチクと長く、こんなに枯れた色でしたっけ?!

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刈り取られた畑の色、まだこれからの畑の色。 丘のなだらかさ。

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時々こんな濃い色の部分を見かけます。
なぜか良くわからないまま、抽象画を連想。

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昨秋、偶然写した写真の中に、写真集でよく見掛ける礼拝堂が
あるのに気がついたものの、移動する間には見つけられず。

が、ヴィタレータ・Vitaleta の礼拝堂と言い、サン・クイリコと
ピエンツァの間にあるという事を、偶然にレストランの奥さんが
見せてくれた写真集で知り、出かけました。

道筋から谷を隔て、遠くに見える場所は楽に発見。
が傍に行って見たいのです!

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道を行きつ戻りつ、写真集にあった分かれ道を探しますが
見つかりません。 紛れ込んだ農家の奥さんに訪ね、再度挑戦。
それでも分らず諦めて戻る途中で、ああ、やっと!!
やっと、傍に行けました!

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個人所有の小さな礼拝堂で、丘の頂上部にあるため、
写真の為に後ろに引くのが難しい位置。
礼拝堂の足元にすぐ、青空が広がります。
       
やはり一度、緑の季節に見たい!




道に迷いつつかなり遠くまで行き、そのお陰で今回初めて、
緑に埋もれた丘を見る事ができました。

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緑のトスカーナ、緑に埋もれたオルチャの谷を、是非次回に!




ラ・フォーチェ・La Foceという場所、糸杉の並木が続く
九十九折の坂道を、トスカーナからウンブリアに移動する朝
見に寄りました。

すぐ横に広がる見事な起伏。

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これが、その坂道。

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昨年秋は夕暮れ時で、自由行動も出来にくい状態でしたが、
さて実際にこうして見ると、どう写したら良いのか、難しい道。




道は谷の向こうにあり、坂はかなりの下り道の悪い地道ですが、
まぁ、急ぐわけでもなし、折角ここまで来たのだから、と
ボチボチと下り、そして上ってみました。

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ええ、見かけよりはずっとずっと急な坂道だったのに、
何でこの写真の中の道は、なだらかそうに見えるんだろ・・?!




4泊したモンティキエッロは、ピエンツァ市に含まれる
丘の上の小さな町で、西の丘の上に広がるピエンツァが、
町の門を出た所から望めました。
夕暮れの写真をどうぞ。

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夕暮れの色が段々濃くなり、細い細い三日月が。

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これは既に夜の10時近く。
丘の上は、風も結構強く腕をさすりさすりで、
夕食のワインの心地よい酔いも、醒め加減となり・・!


昨秋、オルチャの谷を訪れた時の様子をこちらでどうぞ。
トスカーナ ・ シエナ南部、ヴァル・ドルチャ
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/460854939.html  


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