・ n.1 ナルニ ・ ウンブリアの、古代からの戦術的拠点の町

長い間ご案内をせずのまま、眠っていたナルニの写真ですが、この春再訪する
チャンスに恵まれ、漸くに宿題であったウンブリア州はナルニ・Narniをご覧頂きます。

先回の訪問は2008年5月8日、今回は5月18日、奇しくも同じ5月で、
同じお祭りの旗が掲げられ、町中の様子は余り変わっていないのも確認し、
とはいえ観光的に開けてきている様子も見受けられ、
今回はグループでの移動で行けなかった場所の写真も以前のにありで、
先回の青空の写真も混ぜ、ご覧頂こうと思います。

写真は丘の上240mの高さに広がる町の様子で、人口は2万人弱とありますが、
少し離れた北の平地に新市街があるので、それも含めての人口と。
 
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こちらは町の下に広がる駐車場の様子で、中央奥の駐車場の先にケーブルカーの
線路が見えますね。 駐車し、このケーブルカーと次に接続している
エレヴェーターを乗り継ぎ、町の中心に楽に出ることが出来ます。

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ナルニの町はどこにあるか、地図をどうぞ。 行政上ではウンブリア州のテルニ県に
含まれ、ご覧の様にペルージャ・Perugiaに、西のオルテ・Orteを経てローマに。

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ローマ期の執政官街道のローマとアドリア海岸のリミニを結ぶフラミーニア街道・
Via Flaminiaが、ローマからほぼ真っ直ぐ北に進みここナルニを通っていて、
古代からの戦術的地点であったというのがお分かりかと。

ナルニの北に見えるNarni Scalo・ナルニ・スカーロ、ここがナルニの新市街で、
電車の駅もここにあり、旧市街にはシャトル・バスが連絡していると。



町の上に上ってきた所から見下ろす東の眺め。見える川はネーラ川・Fiume Neraで、
マルケ州に源を発し、ウンブリアのネーラ渓谷を下る116kの流れ。

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この後ナルニの西のオルテで、トスカーナから流れ下るテーヴェレ河に合流し、
ローマに至ります。 ここで見える流れは広く、滔々として見えますが、
後ほど狭い狭い流れもご覧に。



ナルニの町の地図をどうぞ。 右側が北になり、細長く下膨れに丘の上に
広がるナルニの町。 建物類の名前が見え難く、赤字で番号を打ちました。
そして今日のご案内は、ほぼこの番号順に。

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1.アルボルノスの要塞・Rocca do Albornoz
□ 小広場に赤点は、お祭りの写真、中世の井戸のある場所
2.ドゥオーモ・Cattedrale San Giovenale
3.市役所・Palazzo Comunale
4.プリオーリ宮・Palazzo Priori
5.サン・ドメニコ教会・Chiesa di San Domenico
 上に見える赤点は、地下教会ならびに異端審問所のあった場所
6.エローリ博物館・Museo Eroli



という事で、まずは番号1のアルボルノスの要塞。 町からは一段とまた高く、
海抜332mに位置し、枢機卿アルボルノスによって1367-1378年に建設されたもの。

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同じアルボルノスの要塞に付いてはスポレート・Spoletoにある要塞が、
それ以前の1363年に建設された規模の大きなものですが、
ナルニのも堅固な造りで、1527年のローマ略奪の際の戻りの駄賃に攻撃した
ドイツの傭兵集団ランツクネヒトにも落ちなかったと。 
ただし麓にある町は略奪破壊されたのだそうで・・!
       
8年前に行った時は要塞内は公開されておらずでしたが、現在は修復済み、
公開されているそう。
4月1日から6月14日まで と 9月16日から10月31日までは、
  土曜 10時半から12時半、 15時半から18時半
  日曜 10時半から18時半
6月15日から9月15日まで
  火曜から土曜まで 10時半から12時半 15時半から19時
  日曜 10時半から19時
11月1日から3月31日まで
  土曜 15時から17時
  日曜 10時半から17時    
連休と8月は特別に公開

n.1 アルボルノス要塞 ・ スポレート
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/471736468.html

n.2 アルボルノス要塞 ・ スポレート
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/471736708.html


要塞近くからの町の眺めですが、木が邪魔。

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地図の小さな広場に赤点を打った場所ですが、ちょうどお祭り、4月最週末から
5月の第一週末に行われる「Corsa all'Anello・輪の競馬」とでもいうか、
この町の有名なお祭りの、細い糸で吊るされた輪の中を、各地区の騎馬の選手が
槍で突き通すというお祭りに因み、

飾り付けられ、一杯やる席も設けられておりました。

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広場の一角に中世の井戸もあり、

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中世の日々を偲んでのちょっとした店の屋台とでも?

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だらだらと細い小路を下り、こんなアーチもくぐって来ると、

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このガリバルディ広場・Piazza Garibaldiに出てきますが、この広場が
町の下から坂道を上ってくると出てくる広場で、古い中央に泉もあり、
奥の角の建物がなかなか良い雰囲気でしょう?

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所がです、今年の写真に写る奥の建物は、こんな色!

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綺麗に修復されたのは
良いですが、あの鄙びた面影はなくなり、しかもパステルカラーでちょっと残念!
       


泉の真ん中の噴水塔?の周りには、如何にもの中世の顔が付いていて、
暑い日で、鳩が2羽水を飲み。

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広場の南側から眺める聖堂サン・ジョヴァナーレの姿がなかなか!

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脇扉前の階段と、扉と、獅子の像。

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階段上から見る町の人々。

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聖堂の右側はこんな感じでアーチが開いていて、

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これが8年前に行った時には、このアーチを潜って行くと町の旧中心部に出るのが
ピンと来ず、焦って探し回った記憶が!
       


上の写真のアーチを潜ってくると、聖堂前のロッジャがこんな様子で、
こちらから聖堂内に入れます。

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内部もこんな感じで、町中はお祭り一色!! サイトではお祭りの前の時代衣装の
行進や、この聖堂内で祝福を受ける様子もありました。

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町の旧中心部を探し回ったと上記しましたが、その時ガリバルディ広場から
西に抜けた場所も見ていて、
       
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町のすぐ西はこんな感じの深い谷で、見える谷底の川はネーラ川、そう、東に見えた
広い流れが、ナルニの町の北から深い谷を細く流れて、今この西側に。
そして西に下りオルテ、そしてローマに。

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こちらは町の北麓を流れるネーラ川を渡るローマ期の橋、ローマから東へ
アドリア海のリミニに抜けるフラミーニア街道が通る、アウグスト帝が紀元前27年に
架けたアウグスト橋。

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推測できる橋の長さは160m、高さは30m. 残念な事に1055年に落下したそうで、
1724年の研究では、この橋の石の強化の為、中心の鉄に鉛ではんだ付けを
していた事も分かったそう。

いやぁ、この橋をガイドブックで見て、どうしても実物が見たく、橋の袂に
出れる筈の道をさんざん調べ、でも見つけられず探し回り、下の道は遂に断念。
後に撮った写真を見ると工事中で閉めていた様子でしたが、
それでも橋は見たく、ははは、

遂に車で町の中を突っ切り、町の北に降りる細い酷い坂道をガタガタと。
そして歩いて現在の橋まで行き、撮ったことを思い出します。
う~ん、8年前はまだまだ元気で、がむしゃらでしたねぇ!



再びご案内に戻りまして、
       
これは聖堂横のアーチを潜って出た広場の、右手の壁にあった写真。
町のお祭りの40周年を記念しての、記録写真の展示会。

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勝った地区に勝者のシンボルであるパリオ・幟旗が出る、町を揚げて
興奮する競技競馬なのでしょう。



ナルニの町の中心ガリバルディ通り・Via Giuseppe Garibardi. 右奥に塔が
半分見えますが、あそこがプリオーリ宮で、その向かい側に市役所・コムーネ。

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写真の左手前にチラッと階段が見えますが、



通りは両側からの建物を支える為のアーチが幾つも続く鐘楼への道・
Via del Campanileで、道を辿ると奥に聖堂の鐘楼が見えて来ます。

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さて元のガリバルディ通りに戻りますが、8年前はちょうどお祭りが終わってすぐに
出かけた様で、町の飾り付けがまだそのままで、

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通りのお店のショウウィンドウもすべてこんな感じに、つまり現代風をあからさまに
見せない工夫がされていて、

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旗のみでなく、お家の窓からも飾り布が垂らされていましたね。

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横に伸びる小路を何気なく覗いて気がついた壁の穴。これは門を閉める閂の穴で、
きっと小路の奥に立派なお屋敷でもあったのでしょうね、

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ここは土地の特産品を食べさせる店の様で、残念、歓迎されても、ははは、
お昼を済ませたばかり!

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鐘のある塔と、その向こう側の大きなアーチの見えるのがプリオーリ宮、
つまりかっての執政官の館で、
      
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入っていませんが、大きなアーチの内はロッジャ・開廊にでフレスコ画が描かれ、
天井部分には輪が下がり、多分ここに罪人のさらし台・ゴーニャ、鳥かご式かも、が
下がっていたのかもと・・!



これは塔との境にある、多分執政官のお達しを告げた壇と。

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道の向かい側にはコムーネの建物があり、入り口扉と、少し見える建物内部。

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扉の上の壁に残る彫像がこれで、右の獅子像の、なんとも言えない稚拙な表情が、
子犬みたいでもあり、ははは、可愛いでしょう?!

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その右にある彫像群がこちらで、1枚目はこの春ですが、細部のは8年前の物。

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獅子の目をむいた顔も人間的で笑えますが、その下の女2人が両側にいる像にご注目。
左の女性が剣を持ち、寝台上の人間の切り取った首を手に下げ!

ユーディットのお話でしょうか? 他のは騎士の騎乗試合の様子のようなのと、
出会いの様でもあり・・。



町の目抜き通りに並ぶ建物は大きくどっしりと古びていて、如何にも古い町の風格、
かっての繁栄を偲ばせます。

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コムーネ宮の先に道が広まった感じの広場があり、ここに聖堂前の広場のと同じ形の
泉があり、その先は道が細く少し下り坂のマッツィーニ通り・Via Giuseppe Mazzini.

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ここに12世紀のサンタ・マリーア・インペンソーレ教会・Santa Maria Impensole、

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入り口の中央扉と、その周囲の飾り彫り、

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内部は素朴な3廊式。

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右側廊のフレスコ画が残っていた部分で、アーチの形から、元は何があったのかと。

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我々は番号5の元サン・ドメニコ教会の地下の教会、そして異端審問所の見学を終え、
そのついでに内側から元のサン・ドメニコ教会、今は教会活動を止め公会堂、
音楽堂となっているのを見学し、ビザンティンの床モザイクなども見学したのでしたが、
なにせ写真禁止で。

この地下教会、そしてかっての異端審問所はちょっと衝撃でしたので、
次回に改めてご案内を致しますね。


で、ここでは以前に撮った修復中のサン・ドメニコ教会の正面と入り口をどうぞ。

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12世紀に、元はローマ期のミネルヴァに捧げられた神殿跡に建てられたもので、
元の名は、初めて聖母に捧げられた名を持つ教会で、サンタ・マリーア・マッジョーレ・
Santa Maria Maggioreと言い、
ドメニコ会派に預けられたので、サン・ドメニコ教会とも呼ばれるのだと。



入り口扉の彫が素晴らしく、中で工事中だったのですが、

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じっくり撮ろうとしている所に、中からシニョーレが出て来て、写真はダメです!と。
いや、中には入らないから、と言ったのですが、ダメってさ。



これは地下教会の見学を終えて出てきた所にいたワン君と飼い主君。
       
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そしてタータがやって来て、ワンの前に行った途端に、こんな感じ! 
タータの傍に行くぅ!

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何だ、お前はぁ! ああいうのが趣味なのかよぉ! ゆったったぁ、きゃはは。



これはどこの塔にあった彫像か覚えておらず・・! ナルニの町のストリート・ヴューは
中心の通りのみで探せませんでしたが、キリスト様と思い。

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町のショウウィンドウにあった写真。 この町の宝の1つとshinkaiは思う、
素晴らしく美しい、ギルランダイオの「聖母被昇天」

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これは町地図6のエローリ博物館にあり、感嘆して本も買って戻っていますので、
いつかご紹介を。     



この博物館にはパドヴァのサンタントーニオ聖堂前にある、ドナテッロの
ガッタメラータ将軍騎馬像の、胸部のコピーがあり、
そうなのか、実物はこんなに大きいのかと感心したり。
       
そうなんですね、ガッタメラータ将軍はナルニ出身のエラーズモ・ナルニが本名で、
博物館にあったのでしょうが、

それを眺めていた時、すぐ外の隣の屋根の上に出てきた猫ちゃん。
ガラスをコツコツとやったら、びっくりして眺めましたっけ!

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ガッタメラータのガッタとは雌猫の事でもあり・・。
という、新旧の写真を取り混ぜての、歴史あるナルニの町のご案内でした。
 
長いお付き合い、有難うございました!
      

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