・ n.2 スペルロンガ ・ ティベリウス帝の別荘跡と博物館

先回のスペルロンガの町のご案内に引き続き、今日のご案内は町の東の
浜続きにある第2代ローマ皇帝ティベリウスの別荘跡、洞窟と、
洞窟内から発掘された大彫像などを展示している博物館のご案内を。

海辺に面する別荘跡の写真をサイトから拝借で、右下に見える建物が博物館。

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私はローマ史に弱く、ギリシャ神話にもまるで疎いので、最初に博物館内を見学し、
ギリシャの大古典であるホメロスのオドュッセイに関連した大彫像群を見ていささか困惑。
ガイドさんの説明も殆ど聞かなかった事を白状いたしますが、へへ、

一人で館内を歩きつつ見ているうちに、船が難破しかけ、なにやら海獣たちに
喰いつかれる人間達の、その迫真の彫像を見て、これは凄い!!と感じ、
今回これらが何を現しているのかをあれこれ読み、写真も集め、
ああ、そうなのか!と納得したので、

shinkai同様、こういうのがいささか苦手、という方にも分かりやすく、
私がそうなんだ!と納得した方法でご説明いたしますので、
お付き合い頂ける様、お願いいたしますです、はい。



博物館前、  国立考古学博物館 ティベーリオ(ティベリウス)の洞窟

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入り口入ってすぐの左側、ガラス張りの天井から射し込む光の下、
シッラ・Scilla(セイレーン、スキュラ)・海の怪獣たちに襲われるオドュッセイの船。

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かなり破損し失われている部分が多く、元の姿を想像するのが困難ですが、
援けになったのは、横にあったこの写真。

セイレーン(スキュラ)という怪物がオドュッセイの船を襲っているらしいのは分かりますが、
見える女性の上半身と、男達を襲う動物との関連が良く分かりません。

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で、見つけたのがこれ。 そうなんですね、このセイレーンの下半身が6つもの海獣(犬)
に分かれ、男達に喰らいついている凄まじい場面!

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こうして見ると、オドュッセイの第12話に詠われた、オドュッセイが船にしがみつき
何とか無事に過ごせそうなものの、

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頭はスキュラの手に捕らえられ、危ない状態ですし!!
ははは、持って行かれず助かって良かった!

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ライオンにも似たこの凄まじい犬達に、むさぼり喰われる男達!!
       
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ホメロスのオドュッセイ物語は、同じくイーリアスと並んでのギリシャの大古典といわれ、
shinkaiも名前のみは知っておりますが、荒筋を読んだ程度の無知でして・・!

このオドュッセイを詠った英雄叙事詩の大筋は、トロイア戦争での勝利から
故郷に戻ろうとしつつ、ギリシャ神話の神ポセイドンの怒りを買い、10年に及ぶ
漂泊の身となり、遂に家に戻ると、亭主が既に死亡したものと思い、妻に言い寄る
男達を発見、それらを殺害、復讐する、という物語で、なかなかに凄まじい物!
       
で、このオドュッセイの逸話の中から、大きな彫像群としては第2話、
上のセイレーンが船を襲う場面と、



第9話の、一つ目の大怪物ポリフェーモ・Polifemo(ポリュペーモス)の目を
オドュッセイと仲間達が突き潰すというもので、

それがこちら。 博物館の奥隅にあり、建物の大きさと比較してご想像下さいね!

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こちらも全体の想像図を見つけましたが、これだと分かり易いでしょう?!

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一つ目の大怪物、とはいえ、こういう肉体美の像でして・・!!

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発掘された実物の方も展示されていて、

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まさに考古学者たちの細心にして忍耐の賜物である復元像に驚き、感嘆のみ!!



これは一つ目怪物の上から、目を狙うオドュッセイの顔。

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所でこれらの彫像群は、1957年西のテッラチーナから東のガエータに至る道を
建設中に偶然発掘された物で、
建設技師が考古学に大変詳しい方で、発見されてすぐに大変な物らしいと分かり、
私費で工事人たちに発掘させた様子ですが、

当初から、あれに良く似ている、とされた彫像がこちら。 
1506年にローマのトラヤヌス浴場付近で発掘され、見学したミケランジェロに大きな
感銘を与えたと言われ、現在ヴァティカン美術館に所蔵されている、ラオコーン像。

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トロイアの神官ラオコーンが、ポセイドンが送った海蛇の怪物2匹に、
息子もろとも喰われたというもので、

確かに後に確かめられたのは、このラオコーンの彫像の作者名3人と同じ、
Agesandro、Atanodoro、Polidoroの名が見つかったとの事。
そして発掘された像の幾つかは、ギリシャのヘレニズム期・紀元前180年の
オリジナルである事も確かめられたと。



これらの大彫像群を含めた素晴らしい大理石像が、どのようにティベリウス帝の
別荘に隣接の洞窟内にあったかという事ですが、

博物館にあったこの図をどうぞ。 洞窟内の円形プールの真ん中に、
最初にご覧頂いたセイレーンに襲われるオドュッセイたちの船の像、B、
洞窟の奥、右の小洞穴に一つ目のポリュペーモス像群、C、
       
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現在は無い円形プールの突き出した部分に、A アキレスを救い出すオドュッセイ
D パラス神殿の強奪
と洞窟入り口上に、E 鷲に拉致されたガニメーデ像、と配置されていた様子。
    


こちらが博物館にあった、鷲に拉致されたガニメーデ像と、顔の部分。

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と、洞窟上部にあるコピー像。

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なんとも凄い趣向のガニメーデ像を、ヴェネツィアの館で見たことがあります。
     
なぜガニメーデが登場するのか、オリンポスの神々へのお給仕の為に鷲に拉致された
というので、成る程、夏の食卓、横臥宴会場のあるこの洞窟に相応しいという
皇帝の思し召しだった訳ですね。
       


博物館内には発掘品の幾つか、壷や、彫像、モザイクも。

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そして外に出て、ヴィッラ発掘場所に向いますが、
       
庭に見えた、これは浴槽でしょうか?

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サボテンにたくさんの実がつき、熟れていて・・!

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草むらに咲く花。

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今日最初に見て頂いた上からの眺望写真に見える、博物館と遺跡との間の
木々は刈り取られ、見晴らしが良くなっていて、

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こちらが全景。 海のすぐ傍の大別荘で、一番手前は兵舎や馬小屋だったそうで、

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その向こうに広い中庭を取り囲む形で住居や召使達の住まい、台所、フォルノ、
パン焼き釜部分などが広がります。



壁の造りがとても厚く、見事なサイコロ型の石の斜め積み。

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そして床はレンガの杉綾模様に。

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山に沿った東側に洞窟が見え、屋根の掛けられた部分には、

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こんな風に、フレスコ画装飾された部屋がある様子ですが、ここは見ておりません。
きっとこの奥まった部分に、皇帝の居室、寝室があったものと。       

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これはヴィッラ跡の一番の南西角にあったもので、水洗トイレ跡なんですと!

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どう使ったのか良く分からず隣にいたエレオノーラに訊ねると、
ローマのオスティアにも有った同じ形と言い、見ていないshinkaiが再度訊ねるのに
ガイドさんが気がつき、ははは、詳しく説明してくれたのですが、

周囲に水が流れていて、今は無いものの、石とか木製の突き出した椅子式おまるがあり、
それに腰掛て用を足し、拭き取るにはスプーン状の物でぬぐったのだと!
       
もうちょっと詳細にお尻にお知りになりたい方は、図がたくさんのこちらを。 
http://www.romanoimpero.com/2011/04/latrine-romane.html

ガイドさんの話では、水洗とはいえ、やはりかなり匂ったと! ふむ、さもありなん!!



この別荘は、元々ティベリウスの母方の祖父、つまり初代ローマ皇帝アウグストゥス
の妻にもなったリディア(リウィア)の父、が持っていた物と見られ、
紀元後1世紀の始めに拡張し、自然の洞窟にも手を加えたものと。


さて、洞窟の正面からですが、上部にガニメデの像が見え、手前に広がるのは生簀、
魚の養殖をしていたプール! で、洞窟の正面に四角くプールが見えますね。
その真ん中に草の生えた四角い部分が見えるのは、夏用の食卓!

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図をどうぞ。 白く点々の付いた道が見学用に歩ける道で、上に遺跡群があり、
中庭を囲み住居部が広がる様子、北に離れて兵舎、厩舎があり、
洞窟の中に丸いプールがあり、これは直径12mで、真ん中に島が見えるのは、
ここにセイレーンと船の像があった場所で、手前に方形プール、その中心部の
色の濃い部分に夏用食堂。

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魚の養殖をしていた外側の広い四角いプールは海水ですが、淡水魚も山からの
水を引いて養殖していたとの事なので、円形とその手前の小さい方形プールは淡水か、
もしくは海水とが混じるようにされていたのかも、ですね。

洞窟の奥に、左右に奥まる小洞窟があり、右は奥にポリュペーモス像群が
置かれていた部分で、この手前には小さな滝があり、水の遊びが出来た様子で、
左には横臥食堂があったそう。



外側の大きなプールには、今も悠々と大きな魚が泳ぎ、狭い道を列を作って歩く我らは、
うっかり落ちると魚に食べられそう、と笑う位の大きさ! ははは。

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洞窟内の大きさはかなり広く、手前に円形のプールがあり、奥に見える小洞窟は、
手前に小さな滝があったり噴水があったりで、
その奥に一つ目の怪人の目を潰すオドュッセイ達の群像があった場所。

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これはそこから流れ出す水を、円形プールに導く溝。
多分円形プールでは淡水魚も飼っていたろう、と想像する水の流れ。

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洞窟内から見渡す現在のスペルロンガの町。 夏の暑い日、海風の吹き込む
この涼しい洞窟内から海を眺め、あの正面に見える夏用の食卓で、
美女をはべらせ、養殖している新鮮な魚を食べ、音楽を聞き・・!!

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こちらは左にある小洞窟の方で、奥に横臥食堂があったと言いますが、
      
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この一部に最近修復が済んだという、皇帝の寝室もあったそうで、
覗きこむと、床に黒いモザイクの跡が見えました。

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壁脇にある穴、これは何かとガイドさんに訊ねましたら、花を生けていたのだそう! 
なんと優雅な!!

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いやぁ、紀元1世紀に生き栄華を尽くしたローマ皇帝の、夏の別荘なのでしたぁ。



洞窟のすぐ傍まで迫る海、見える石積みは防波堤。 位置から見て、
かっては船の停泊も出来たのだろうと。

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近くの砂浜に出来た波の紋。

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スペルロンガの町を望み、

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夏の夕暮れにはこんな風に!! 

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そして頂く海の幸。

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う~ん、ローマ皇帝の権力栄華には及ばずとも、我らもきっと彼と同じ位の幸せは
味わえているのですね、そう思われません、皆さん?!
    
  
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