・ ウィーンのアールヌーヴォー、 アム・シュタインホーフ教会 

すっかり秋の空気となり、そろそろと旅の虫が起き出す気配も。
とは言え、経済的にも時間的にも少し無理な今は、
ならば、せめて我がブログで旅の空に。

で、今日は旅の空第1号、という事で、いつも我がブログを
丁寧に見て読み、コメントを入れて下さるBBさん、
彼女は私などよりもっとお出かけの場所が多い筈と、
何か送ってくださいとお願いしましたら、

早速届いたのが、今日見て頂くウィーンのアム・シュタインホーフ教会・
Kirche am Steinhof、1903年から4年かけて建設された物で、
19世紀末から20世紀初めにかけて活躍した設計家
オットー・ワーグナー・Otto Wagnerの最後の傑作として有名な教会。

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とは言え、例によりまるで知らずで、書いて下さった記事や、
調べた事を消化するのに少々時間がかかり。
ですが、ウィーンの地図などを見ていると、2度訪問した事のある
ウィーンのあれこれも思いだし懐かしく、大好きなクリムトの作品
とも重なり、頑張って、ご覧頂きますね。
      
記事はBBさんが書いて下さったのですが、写真も入れ替えたり追加で、
彼女の記事を下敷きにshinkai流に書き変えました。
ウィーンのアール・ヌーヴォーを感じつつ、ごゆっくり!

上はサイトからの写真で、アム・シュタインホーフ教会の正面。
白大理石の平面的な強いデザインに、丸い金メッキのドームの
美しい外観。    



地図をどうぞ。 今日ご案内のアム・シュタインホーフ教会は、
赤いA印の位置で、地下鉄U3号線でケントゥラーシュトゥラッセ迄行き、
そこからバス48Aに乗り、アム・シュタインホッフ教会に、という
少し遠い位置。

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ちなみに地図に印と番号をつけたのは、
1. ウィーン西駅  この駅からマリアヒルファー通りを下ると
2. オペラ座の前に出て、この斜め前にウィーン美術史美術館
3. シュテファン大聖堂
4. 行った事はありませんが、大観覧車のあるプラター
5. ウィーン南駅 ここからイタリア行きに
6. クリムトの絵のあるべルヴェデ―レ宮

という事で、スイス経由の西駅着でウイーン入り、
美術史美術館とべルヴェデ―レ宮に浸り込み、ブリューゲルと
クリムトをしっかり見て、ウィーンの森観光ツァーに半日参加の3日間。
南駅から夜行簡易寝台でイタリアに下った第1回目の訪問。

2回目はヴェネツィアからプロペラ機でウィーンに行き、
オペラ座近くのお高いホテルに泊まり、ははは、そんな馬鹿をした事もね、
シュテファン聖堂をじっくりと、そして再度美術史美術館を。
未だシェーンブルン宮殿も、王宮も、スペイン式馬術も見た事なし。

ですが、以前こちらで大人気だったTV番組の「警視レックス」
人間以上に賢いシェパード警察犬が大活躍したこの番組は
ウィーンの街が舞台。
映画「第3の男」の地下水道や墓地も何度か登場し見たので、
どこか遠くて近い、不思議な感慨もある街です。


さてBBさんご夫妻がこのアム・シュタインホーフ教会に行かれたのは
2007年6月の快晴の日。 その前2003年に訪ねられた折は
修復中で、足場が組まれていたのだそう。

この教会は街の西郊外にある精神病院の敷地内にあり、
こちらが正面玄関。 この左の守衛さんのいる門から中に入り、

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教会までは長い坂道を歩き、漸くにドームの頭が見え、    

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そして、見える美しい姿!    

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近ずくにつれ、こうして見えてくる細部。

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正面の4本の円柱の上の天使像、とそのアップ。
この天使像はオトマー・シムコヴィッツ・Othmar Schimkowitz
の作だそうで、

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彼と設計者のオットー・ワグナー、そして後ほど見て頂く
ここの有名なステンドグラスの作者コロマン・モーザー・
Koloman Moserは、幾つか組んで仕事をしている様子で、



こちらはウィーンの郵便貯金局に見られるシムコヴィッツの天使像、
設計はオットー・ワグナーで写真はサイトから。

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正面上部の両脇に、この様に玉座の聖人2人の像があり、
いずれも街の守護聖人である、聖レオポルド・王冠を被り、旗を持つ、
と、多分この写真の方は聖セヴェリン。

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聖レオポルドと呼ばれる方は、バーベンベルク家のオーストリア辺境伯。
辺境伯、なんぞという言葉が出るともうお手上げのshinkaiですが、
つまり、1073~1136年にご生存のレオポルド3世で、
カトリックの信仰厚く、1485年に列聖された方。
       

所で、アム・シュタインホーフ教会と通常呼ばれておりますが、
イタリア語のウィキには、S.Leopoldo教会(Steinhof)と出て
一瞬間違えたのかと焦りましたが、

実はこの建物は上記した様に、精神病院の敷地内に建てられた
いわば礼拝堂で、聖レオポルドに捧げられた物。
正式な名は、ですからウィキが正しい訳です。

例により、ではシュタインホーフとはなんぞや、と探しまわり、
結局分からずですが多分、この病院のある地名、通りの名ではないかと。
ご存知の方、お教え願います!



という事で、通年毎週土曜午後3時からガイド付きで見学出来るそうで、
既にこの様に開館待ちの方たちが30人程。
       
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お待たせいたしましたぁ! 中にどうぞ!
まず主祭壇、シムコヴィッツによるモザイク画。

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こちらは大モザイク画右脇の聖ピエトロ。

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こんなに年寄りに描写された聖ピエトロは初めて見て、      
左に聖パオロ像があるのが、抜き身の剣がギラリと光る凄い物!



大壁画の前の、素晴らしい祭壇に灯が灯った所。
丸い掩蓋風で綺麗ですねぇ! シムコヴィッツ作。 

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祭壇の足元に見える向かい合った天使像。

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こちらは説教壇とその天蓋部。

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この教会は精神病院の敷地内にあり、患者と職員の為の様ですが、
設置位置から様々な患者対応策も設計に含まれており、

例えばこの説教壇も直接には上に上がれず、祭壇脇の聖具室
から階段がつけられているとか、主祭壇へも直接立ち入れないよう、
大理石の低い柵があるそう。



灯りと、

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祈りの時間を知らせる鐘。

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この天井部、素晴らしいですねぇ!
青空を想わせる素敵なブルー。

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立方体の素晴らしい教会堂内には、東西にある素晴らしい
大きなステンドグラス、コロマン・モーザー作から明かりが差し込みます。

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こちらは祭壇脇のステンドグラス。 作風から見て、
これもコロマン・モーザーでしょうね。

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そしてこれも大モザイク画2枚の内の1つ、受胎告知。
作者名が分かりませんが、

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今回見た中でshinkaiが一番驚いたのがこれ!
と言うのも、普通イタリアで見る受胎告知の大天使ガブリエルは、
もっと優しい姿形でして、ね、そうですよね、思い出して下さいな、

所がこの天使は、もう、まったくの男天使でして、
腕まくりをし、力強く恐ろしい程の迫力で迫り、
これが百合の花を手にしていなかったら、
・・不義密通の厳しいお咎めとまちがえそうな、ははは。
アルプスを越えると、やはり違いますねぇ!

BBさんご夫妻は、修復中の2003年にもご訪問との事でしたが、
その時の様子をこんな風に。
       
世紀末芸術の美しさにため息をつき見学したものですが、
2003年の時、誰も居ない教会の周りを写真を撮りながら
歩いていましたら、何処からか作務衣の様な衣服を着た、
下駄履きの日本人の男性が現れました。

ここら辺りにお住まいのご様子で、なかなか雰囲気のある初老の男性でした。
少しお話をしましたが、そのお話の仕方、間の取り方が何とも心地よく、
魅力的なのです。

お別れしまして直ぐに振り返りましたが、その男性はもう何処にも
いらっしゃいませんでした。
それが一番印象に残ったアム・シュタインホフ教会の訪問でした。

この教会、お時間があったら是非にお出かけになる事をお薦め致します。
との事です。 お出かけを!



今回最後は、送って頂いた写真の何枚かを省きまして、
教会の設計者オットー・ワグナーの代表作を幾つかどうぞ。
いずれも写真はサイトから拝借。

上で、建物上部の天使像を見て頂いた郵便貯金局の内部。
明るく光りの射しこむ大きなホール。
当時にあっては大変斬新でモダンな建物だった事でしょう。

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こちらはウィーン郊外に建てたオットー自身とその家族の為の夏の別荘。
ネオ・パッラーディオ様式というそうで、なるほど!

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マヨリカ荘と呼ばれる集合ハウス。
壁面も明るい可愛い植物柄ですが、庇部分が凄いですねぇ!

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こちらは私も見た覚えがある、そして「警視レックス」に何度も登場の
地下鉄のカールスプラッツ駅。

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殆ど知らないウィーンの街、見ていない所がたくさん。
またいつか行けるチャンスがありますように!

BBさん、有難うございました。
また何か見繕って送ってやって下さいね!

*****

遂に10月に入り、ああ、早いものですねぇ!
秋から春までの成人教室の年会費を払い、来週にはオープニング
があり、今月の末には既に2つのお出かけプログラム。

トレンティーノのサン・ロメーディオ修道院とトゥム城見学、
こちらはバスで日帰り。
そして我が町コネリアーノのグラッパ蒸留所の見学。
       
張りきって写真を撮り、ご案内いたしますね。

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